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町の貯金「財政調整基金」の話

個人にはいろいろな懐事情がありますから、時には貯金を切り崩して生活、ということもあると思います。

でも、役場がいつもそれでは困ります。

役場では、予算が余るとどうするか。

ズバリ、貯金をします。たいていは、地元金融機関の定期預金です(今は悲しくなるくらい利子が少ないですが…)。

もうちょっと詳しく言うと、決算の時にお金が余ると、余った額の半分以上を必ず貯金します。その貯金のことを、「財政調整基金」といいます(あとの半分未満は、繰越金として翌年度予算に送る)。財政調整、の意味は、町の収入(歳入といいます)が多くて余った場合には貯め、収入が足りなくなったときの調整財源として使う、ということです。

個人の貯金が尽きたら、憲法に基づいて何らかのセーフティーネットで救われますが、役場だとそうはいきません。だから、基金の取り崩しを前提とした予算はできるだけ組まない方がいいのです。

しかし、私が就任してすぐに議会にかけられた平成31年度(令和元年度)予算までは5年連続、財政調整基金による繰り入れを前提とした予算が組まれていました。少ない年で5800万円、多い年で2億5930万円です。

いくら基金がたくさんあったとしても、その年に入ってきたお金以上に使うことを前提として予算を組むことは、よくない。就任後初めて自分の考えを十分に入れて編成した令和2年度当初予算では、歳出を精査して、細かいコストカットも行い、6年ぶりに繰り入れなしで編成しました。

その後、コロナ禍でのいろいろな経済対策のために結局は基金の取り崩しを決断しました。基金は災害時の備え、が代表的な用途なので、コロナ禍で使うというのはまさに趣旨通り。悪いことではありません。

ただ、この間、ふるさと納税を一生懸命集めたり、コストの調整もしたりという地道な努力を続け、今のところの見通しでは、基金の繰入額以上に、基金の積み立てができそうな状況になってきました!(つまり差し引きで黒字になったということ)

今年度の決算が終わって積み立てを済ませると、財政調整基金の残高は27億円をちょっと超える程度になるかと思います。

いま令和3年度の予算が議会審議中ですが、県内で2番目に安い介護保険料を値上げせずに維持する決断ができたのも、国保税の資産割を7年かけてゼロに持っていくことに決められたのも、結局は町全体の会計に余裕があればこそです。

ここから先は、災害に備えるインフラ整備などお金のかかる事業がたくさん出てきますが、時には思い切った予算組みも必要になるでしょう。貯めるばかりが能ではありません。厳しいコスト管理をしてもなお大きなお金が必要な時には躊躇なく使いたいと思います。

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