御代田オリジナルのバードハウスをつくろう 親子ワークショップレポート|2022 #05
こんにちは、ミヨタデザイン部です。
御代田町から望む浅間山の雪化粧が美しい季節、いよいよ本格的な冬が訪れようとしています。今回は、10月22日にエコールみよたで行われた親子ワークショップ「御代田オリジナルのバードハウスをつくろう」をレポートします。
講師を務めてくれたプロダクトデザイナーの熊野亘さんのインタビューと併せてお届けします。
シジュウカラの気持ちになって細部までこだわる
カリモクや天童木工など国内外の家具メーカーとコラボレーションする熊野さんがデザインしたオリジナルのバードハウス(巣箱)を、親子で作り上げていくこの日のワークショップ。あらかじめ製材された木材を使い、講師の補助を受けながらノコギリ、釘、トンカチ、ドリルなどの道具を駆使して、製作していきます。
「今日のクライアントは、シジュウカラです。止まり木はどんな形が喜ばれそうか。巣に入る穴は何ミリで、どの位置に穴を空けると出入りがしやすそうか。親子で相談しながら進めていきましょう」と熊野さん。鳥の気持ちになって考え選んだ止まり木の形状や巣穴の位置によって、そこに住む鳥の住み心地はもちろん、バードハウスそのもののデザインに個性が生まれます。
プロダクトを手掛けるにあたって、熊野さんは「ユーザーの立場になって、ディテール(細部)にこだわること」を一番に意識すると言います。誰がどんな風に使うものなのか。どんな機能があると使う人にとって便利なのか。はたまた、そのプロダクトを生産する人にとってスムーズなのか。いろいろな視点に立って考えることで、ディテールにこだわったデザインが生まれるのだそうです
協力し合いながら、手と頭を動かして完成させた思い思いのバードハウス。持ち帰った巣箱は冬のあいだに庭先に設置しておくと、住人となるシジュウカラは春先に巣作りをはじめます。鳥の中でもいち早く春を告げるシジュウカラは、市街地でもおなじみの鳥です。春を待つ楽しみがひとつ増えましたね。
ワークショップを終えて、講師・熊野亘さんに話を聞きました
ーワークショップの手応えはいかがでしたか?
当日は事前に木材と設計図を用意して、順を追って組み立てるように作ってもらいました。どこまでをこちらで用意して、どこまでを参加者自身にやってもらうか。ワークショップではいつも悩みますが、ほどよいバランスでできたのかなと思います。
ー今回作ったバードハウスには、デザイン的にどんなこだわりが詰まっていますか?
鳥たちは小枝や綿を持ち込んで、バードハウスの中に寝床=ベッドを作るわけです。そのときに平らな床に積み上げていくのと、すり鉢状の床に積み上げていくのとでは、どちらが鳥たちが巣を作りやすいだろうとまずは考えました。すり鉢状の床にすることで、巣作りがしやすいだけでなく、水分や汚れが下に落ちて環境衛生面も良さそうだなと。そこで床のデザインが決まり、屋根は切妻(きりづま)屋根と呼ばれる、雨や雪が積もらない、いわゆる山形の形状にしました。また、巣作りが終わったら人間の手で中を掃除してあげないと翌年、鳥たちが帰ってこないんです。そこで寝床の部分だけをすぽっと取り外せるようにして、鳥たちにとっては巣穴に入るための玄関となる止まり木が、人間にとっては寝床を取り出すための取手になるようにしたんです。
ーワークショップを通して、参加する親子に伝えたかったことは?
自分の手でものを作る楽しさはもちろん伝えたいことです。手を動かしながら知識や技術を得る。そして重要なことは、それをまた別の何かに活かしてほしいんです。違うものを作ってみたり、続けていってほしいですね。今回のワークショップが、何かのきっかけになればいいな、と思います。
ー今後、御代田町でやっていきたいことがあれば教えてください。
作ったものを実際に使ってみるところまでやってみたいなと思いますね。以前、学校の授業でもやったことがありますが、たとえば、削り出した木のスプーンで、カレーを食べてみる。実際に使ってみることで気づけることがあって、改良するアイデアも生まれますから。
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