町を歩いてミニチュアの秘密基地をつくろう。親子ワークショップレポート|2022 #04
こんにちは、ミヨタデザイン部です。
9月24日に開催された建築家・大野友資さんが講師を務めた親子ワークショップ『町を歩いてミニチュアの秘密基地をつくろう』のレポートをお届けします。
いつもと違う見かたで見てみる=見立てとは?
ところでみなさん、“見立て”という言葉をご存知ですか?
歌舞伎や芸術のフィールドでも使われるこの言葉を、建築家の大野さんはこう解釈します。
建築家が建物を創造するとき、この見立てる作業とは、とても重要な要素なのだと話します。
そこで今回のワークショップは、この“見立て”をテーマに行われました。参加者に用意されたのは、ミニチュアの人形と紐や布やテープなどの小道具。課題は「これらの材料を使って、秘密基地を作ってきてください」というものでした。
会場は、町の子どもたちにはお馴染みのエコールみよたの館内。階段でも踊り場でも、屋外の生垣でもOK。好きな場所を見つけて、そこにミニチュアの世界を作る。作ったらそれをスマートフォンで撮影して、最後にみんなで講評会をしましょうという流れでした。
「今回は、建築家という職業の紹介にもなるといいなと思ってました。図面を描いたり、現場へ行ったり、一般的に想像する設計の仕事よりも前に、僕ら建築家はまず敷地や周辺の環境をよく観察して、そこからイメージを膨らませます。そのプロセスをごく簡単にですが、追体験してもらえる内容にしたいと考えました」
見慣れていた景色が思わぬ空間へと変わったり、思いもよらない場所で新しい世界が広がったり、参加者は親子であーだこーだと話し合いながら、時間いっぱいまで小さな秘密基地づくりを楽しみました。
最後に行われた講評会では、子どもたちのユニークな視点を、講師の大野さんがひとつひとつ丁寧に取り上げ、いろんな視点を持つこと、世界を多様な解釈で捉えることの大切さを伝えていきます。
ワークショップを終えて、講師・大野友資さんに話を聞きました
ーワークショップの手応えはいかがでしたか?
参加者のみなさんが、エコールの中をウロウロしながら宝探しをするように真剣に敷地選びをしていた様子が印象に残っています。中々場所を決められない人も、即決できた人も、何度も敷地を変えている人もいましたが、こんなにも空間を積極的に観察する機会もなかなかなかったのではないでしょうか。
ーワークショップのテーマや内容を選ぶ上で大事にしたことは?
ものを作るワークショップが多い中で、「観察」をテーマにすることは割と早い段階で決めました。手先の器用さとか、身体能力とは直接関係のない、視点や発想の面白さにスポットを当てることで、幅広い年齢を対象に、みんなで楽しめるものにできると思いました。
後は、僕自身が楽しめるものであることにこだわりました。一方的にこちらが知見や技術を与えるだけではなくて、ワークショップを通して、参加者と同じ目線で面白がったり発見したり、むしろ一番おいしい役になるといいなと。ホストする側のモチベーションとしても、そこは大事にしました。
ー秘密基地づくりをサポートする中で、参加者にどんな声をかけていましたか?
実は、ほとんどテクニカルなアドバイスはしていないんです。それよりも、質問をしてまわっていました。「この人は何をしているの?」とか「この段差はどうやって登るの?」とか。あなたが観察して思いついたシーンを、僕はここが面白いと思ったよ、こういう連想をしたよ。という「気づき」を、できるだけ沢山色んな角度から伝えることで「気づき方」について考えるきっかけになったらいいなと。
ーワークショップを通して、参加する親子に伝えたかったことは?
空間を認識する解像度が変わると、世界の感じ方が変わる。ということが伝われば嬉しいです。見慣れた場所でも、ちょっと解像度を上げるとそれまで見えていなかった小さな地形や光の加減、温度なんかが見えてきます。イームズ夫妻の「Powers of Ten(1977)」のように、視点を変えることの楽しさは世代を超えて普遍的なものだと思うので。
ーミヨタデザイン部に期待していることは?
出自も経験も、国際色豊かなメンバーが沢山いるので、御代田、長野、日本という枠を超えて、デザインを通していろいろな文化圏との交流の機会を増やしていけたらいいなと思っています。
ー今後、御代田町でやっていきたいことがあれば教えてください。
建築を始めとして、自分の職能で御代田町に関われることがあればとても嬉しいです。マレットゴルフコースの設計など、してみたいですね。
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