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2022吉田寮祭ヒッチレース 姨捨編



0,はじめに


 これは3年ぶりに開催された吉田寮祭ヒッチレースにおける記録である.このような文章を書くのは苦手なのだが,ヒッチハイク中にお会いした方が是非とも文章に残して公開してほしいとのことだったので,ここに記録を残すことにする.つたない文章であるがお付き合いいただけると嬉しい.なお文章を書くのがめんどくさくてヒッチレース終了からかなりの時間がたってしまったため記憶があやふやな部分もあることを了承願いたい…

1,スタート前吉田寮


 7/2,0時ちょうど.歓声とクラッカーの音が鳴り響き,吉田寮玄関前にて吉田寮祭開催の宣言が行われた.自分がこの時間から吉田寮の前に集まっているのは他でもない,吉田寮祭の名物企画「ヒッチレース」に参加するためだ.「ヒッチレース」とは吉田寮祭の中でも1,2を争う過酷な企画であり,深夜目隠しされた状態で車に乗せられ日本各地に無作為に捨てられる.参加者は無一文の状態からヒッチハイクで車を乗り継ぎ京都大学吉田寮にたどり着かなければならないという企画である.(今年度は熱中症対策のため帽子,水分,熱中症になった時用の保険証,お金,スマホなどの携帯が義務付けられた.しかし,スタート前に所持しているお金は使ってはならない,スマホは時刻確認,カメラ,Twitter等での実況以外には使ってはならないなどの基本的な縛りは例年通りである.)

吉田寮祭公式パンフレットより

開催宣言のあと参加者は吉田寮食堂に集められた.今から運命のくじ引きが行われる.このくじ引きで運転手が決まり今回のヒッチレースの行く末が決まるのだ.くじ引きの結果,早稲田大学の方で現在単位互換制度を使い同志社大学に通っている方がドライバーに決まった.早稲田大学…??初手から癖のある経歴の人に当たりとても面白い.同じ運転手のくじを引いた自分をいれた3人がドライバーの車に乗り込んだ.この方はとても親切な方&よい車に乗っており,とてもとても快適に目的地まで届けてくださった.しかも車は吉田寮祭のポスターが全面に貼られた特別仕様.車に乗る前からわくわくした気持ちでヒッチレースがスタートした.

ドライバー自慢の吉田寮祭特別仕様車

2,目隠しをはずす


 車に揺られること数時間ついに目的地に到着した.運転手の指示で目隠しを外すと…
「え?????めっちゃ田舎なんだけど?????」

目の前に広がる美しい景色


降り立ったのはとても景色のいい風景が広がる田舎.場所はどこか分からない.さて,問題なのはここで参加者3人のうち誰が下りるかだ.ドライバーの提案で,この場所から最も遠い場所を予想した人がここに降ろされることになった.ここで降りたら面白そうだなと思った僕は,「フランス」と答え見事最も遠い場所を予想することに成功した.かくして僕のヒッチレースは幕を開けたのである.

3,姨捨スタート


 どうやらここは長野県姨捨のようである.

近くにあった看板.姨捨棚田…?どこ…?
google map より

姨捨ってこんなに僻地にあったんだ… ヒッチレース中はgoogle mapを使えないので姨捨が長野のどこにあるのか把握できていなかった. 
 朝焼けのきれいな景色を堪能した後,長野から名古屋経由で京都に帰る計画を立てて,とりあえず家のありそうな方向に向かって歩き出した.少し歩いたところに民家を発見.そこのお父さんの話によるとすぐそこに姨捨駅があり,その駅をまっすぐ行って右に曲がると人がたくさんいる場所があるとのこと.しかし,姨捨駅に向かう途中で左に曲がればインターがあることが分かったので道を変更してインターに向かうことにした.「インターの入り口で乗せてもらえたら一気に京都に近づくのでは?」そんな期待を胸にインターを目的地に設定した.

4,人生で初めてのヒッチハイク


 インターへたどり着いたものの肝心なことを忘れていたことにい気が付いた.そう,僕は姨捨が長野のどこにあるのか把握していないのだ.つまり,高速道路の上りと下りどちらが名古屋方面なのか分からないということである.インターの上りと下りどちらの入り口も見に行ったがヒントが得られず困っていた.一か八か「松本方面」と書かれた入り口の近くで車が来るのを待つことにした(田舎&早朝なのでインターから乗る人は10分に1台くらいだった).
 車が1台やってきた.この車は何となく勇気が出ずにスルー.人生で初めてのヒッチハイクは緊張するものである.2台目車がやってきた.勇気を出して車に向かって親指を立てた👍 すると,なんと1発でヒッチハイクに成功!まさか初めてヒッチハイクが1発で成功すると思っていなかったから喜びと同時に驚きを感じた.行き先を聞くとどうやら松本に向かうようであった.松本が姨捨の南,すなわち僕の進みたい方向であることを確認できたのでお願いして松本まで連れて行ってもらえることになった.

google mapより.約43km移動

5,松本へ


 乗せてくれたのは姨捨在住の男女二人組.これから松本の四柱神社に参拝に行く途中だという.しかもその四柱神社はなんでも願いの叶うパワースポットだという.ヒッチレースにぴったりの神社ではないか.田舎のインターチェンジの入り口でビニール袋をぶら下げてヒッチハイクをする怪しげな男をよく乗せる気になりましたね.と聞くと面白そうだったからと答えてくれた.なんて寛容な方なんだ… 雑談をしながらあっという間に目的地である松本の四柱神社に到着した.

四柱神社.早朝神主さんが太鼓を鳴らしていた
土下座するといい(?)とのことだったので僕も習って土下座してきた.右が僕です

お祈りを済ませた後,朝食をごちそうしていただけることになった.小腹がすいていたころだったのでとてもありがたい.まだ8時前だったので空いている店が少なかったが,松本駅前にある「珈琲美学 アベ/ABE」に行くことになった.

朝からにぎわっていた.駅前の人気店
おいしいモーニング

おしゃれな店内でおいしいモーニングを堪能した.正直ヒッチレース中は食事にありつけないと思っていたので,朝からこのような贅沢をさせていただき感謝の気持ちでいっぱいであった.この店をあとにし,再び四柱神社に行戻って,交通安全のお守りを買っていただき,加えて1000円のお小遣いもいただいてお別れとなった.このお守りと1000円があればヒッチレースを乗り越えれそうである.ほんとうにありがとうございました.

6,松本市内


 お別れしたあと,せっかくの機会だと思い.松本城に向かった.

入場料が高かったので外から見ていた

ここからまたヒッチハイクをしなければならない.松本城の駐車場なら観光客を捕まえれられると思ったが,思ったよりも車が停まっていなかったので松本のICを目指して歩き始めた.松本ICに向かう途中で本屋に寄り地図帳を立ち読みした.長野県の地理を把握するためだ.松本の南の方に飯田ICというほどよさげなところがあったので,そこに向かう車を捕まえる方針にした.

ヒッチハイクで使った紙

松本ICの近くでヒッチハイクをすること10数分,一台のスポーツカーが停まってくれた.富士急ハイランドに向かう途中のカップルだ.飯田には向かわないが関東方面と関西方面の分岐の途中まで乗せてくれると言ってくれた.カップルの車に乗り込み走ること20分前後,カップルとは分岐の手前のみどり湖PAでお別れした.

google map より 約20km移動

7,救世主


 無事に高速に乗ることができたのでここから引き続き飯田方面に向かう人を探す.一般道よりも高速の方が長距離移動をする人が多いので期待は大きい.トイレの前で再び飯田ICの紙を掲げること数分,香川ナンバーの車が停まってくれた.香川…?まさか香川まで帰るわけないよな…?話を聞くとどうやら本当に香川まで帰るそうだ.事情を話し京都まで乗せていってもらえることになった.まさか長野から一発で京都にはいれると思ってもいなかったので,うれしさとあっけなくヒッチレースが終了してしまう悲しさを感じていた.乗せてくれた方は香川の会社で営業をやっている方で,今回仕事の関係で松本に来ており今から香川の会社に帰る途中とのことだった.営業の話とか仕事の話をしながら順調に進んでいき,お昼を食べていないという話をしたらありがたいことにお昼ご飯をごちそうしてくれた.

めっちゃおいしかった

この方は京都で降りるわけではないので,その手前の草津SAで降ろしてもらった.ここは大きなサービスエリアなので京都方面に向かう車もあるはずだ.丁寧にお礼をいいお別れした.

google mapより 約300km移動

8,帰還


 ここからはとんとん拍子であった.すぐに草津SAで京都東ICで降りる人がつかまり京都東ICを降りて少し行った山科駅の手前あたりで降ろしてもらえた.ここからは徒歩で吉田寮まで向かう.7kmを1時間半ほど歩くと吉田寮祭の看板が見えてきた.姨捨で捨てられてから約11時間半.吉田寮に到着し僕のヒッチレースは幕を閉じた.

吉田寮前に置いてある吉田寮祭の看板

9,総評
  今回初めてのヒッチハイク&ヒッチレースだったためスタートからとても緊張していたが結果として大変満足いく内容であった.普段出会えないような様々な人と出会い,たくさんの人の優しさに触れることができた.また,とんでもない豪運によりすぐに車を捕まえることができたため,参加者の中でもかなり早い時間に帰ってくることができた.ヒッチレースは面白いお土産話を持って帰ってくることが目的なのでその点から言うと僕のヒッチレースはあまりにもうまくいきすぎて面白みに欠けていた.特に香川行の車を捕まえてからはあり得ないほどのとんとん拍子に事が進んだ.それでも,このヒッチレースでの体験は僕にとって初めての体験の連続でとても楽しいものであった.
 きっとこの楽しさを求めて,僕は来年もこの過酷なレースに参加してしまうだろう…

google mapより 総移動距離 約380km


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