#1:国際コーチ資格、ICF試験、合格への道 → サンプル問題1の解説
ICF試験のサンプル問題は、下記リンクから見ることができます。
Credentialing Exam Content - International Coaching Federation
今日はサンプル問題1を解説しますね。
1.サンプル問題1
「コーチが新しいビジネスを立ち上げている見込み客と面会しています。
コーチと見込み客は、すぐに打ち解ける関係を築きます。
コーチはこのクライアントとコーチングを行う機会に興奮しています。
会話を終えようとしている時、見込み客が、その新しいビジネスの名前を簡単に言及します。コーチはそのビジネスを認識しています。
なぜならコーチは同じコミュニティ内で、より確立された競合他社に投資しているからです。
コーチはどのように行動すべきでしょうか?」
1. 何も言わずに、競合するビジネスへの投資家としての役割とコーチとしての役割を切り離して保つ。
2. ビジネスの名前が聞き覚えがあることを共有し、その晩にそれが競合するビジネスかどうかを判断するための精神的なメモをする。
3. 見込み客がコーチとしての指導を追求する場合にのみ、競合するビジネスへの投資家としての役割を共有する。
4. 競合するビジネスへの投資家としての役割を共有し、クライアントとの間で利益相反の可能性を認める。
解説を見る前に、上記4つの行動のうち
ー どの行動が一番良いのか?
ー どの行動が一番悪いのか?
を選んでみましょう。
さぁ、考えてみましたか?
三好がはじめてこれを見た時に、コーチエイ資格の試験とは、全く違う視点の質問なので、びっくりしました。
でも、コーチとして「こんな質問はダメだよな。この時には、こんな質問がいいんだ」という基本をICFコアコンピテンシーや倫理規定に従って学ぶ場、再確認するためには、良い勉強になりますよね。
2.コアコンピテンシー1
倫理に基づいた行動をしていることを示している
この質問は下記コアコンピテンシー1に関連する質問なので、もう一度、おさらいしておきましょう。
JapaneseTeamCoachingConpitancy_2024May_Final.pdf (icfjapan.com)
1. Demonstrates personal integrity and honesty in interactions with clients, sponsors and relevant stakeholders
クライアント、スポンサー、および関連する利害関係者とのやり取りにおいて、個人の真摯さと誠実さを示している
2. Is sensitive to clientsʼ identity, environment, experiences, values and beliefs
クライアントの自己認識、とりまく環境、経験、価値観、信念に慎重に配慮している
3. Uses language appropriate and respectful to clients, sponsors and relevant stakeholders
クライアント、スポンサー、および関連する利害関係者に対して適切かつ敬意を表す言葉を使用している
4. Abides by the ICF Code of Ethics and upholds the Core Values
国際コーチング連盟が定める倫理規定を順守し、コア・バリュー(品位、卓越性、協働、尊重)を支持している
5. Maintains confidentiality with client information per stakeholder agreements and pertinent laws
利害関係者との合意および関連する法律に合わせて、クライアント情報の守秘義務を守り続けている
6. Maintains the distinctions between coaching, consulting, psychotherapy and other support professions
コーチング、コンサルティング、心理療法、その他の支援的職業とを区別し続けている
7. Refers clients to other support professionals, as appropriate
必要に応じて、クライアントに他の支援的職業の専門家を紹介している
3.解説
この解説は、下記YouTubeをベースにしています。
ICF Credentialing Exam Sample Question 1 Explanation (youtube.com)
テクニックとしては、4つの行動を
―2つの良い行動
―2つの悪い行動
に分けます。
そうすると正解が導きやすいです。
サンプル問題を思い出しましょう。
「コーチが新しいビジネスを立ち上げている見込み客と面会しています。
コーチと見込み客は、すぐに打ち解ける関係を築きます。
コーチはこのクライアントとコーチングを行う機会に興奮しています。
会話を終えようとしている時、見込み客が、その新しいビジネスの名前を簡単に言及します。コーチはそのビジネスを認識しています。
なぜならコーチは同じコミュニティ内で、より確立された競合他社に投資しているからです。
コーチはどのように行動すべきでしょうか?」
1. 何も言わずに、競合するビジネスへの投資家としての役割と、コーチとしての役割を切り離して保つ。
【解説】悪い行動
何も言わないため、透明性 (transparency)と誠実さ(honesty)がない。
他の悪い行動と比較して、どちらが最悪か考えます。
他の悪い行動は3ですが、3では、少なくとも投資家としての役割を共有しています。1は何も言わないので、1が最悪の行動になりますね。
2. ビジネスの名前が聞き覚えがあることを共有し、その日の夕方に、それが競合するビジネスかどうかを判断するためのメモをする。
【解説】良い行動
「後から確認する」という行動は、良い行動の部類に該当しますね。
他の良い行動と比較して、どちらがベストか考えます。
他の良い行動は4ですが、利益相反の可能性を認めている4の方が、良い行動となります。
3. 見込み客がコーチとしての指導を追求する場合にのみ、競合するビジネスへの投資家としての役割を共有する。
【解説】悪い行動
「見込み客がコーチとしての指導を追求する場合にのみ」という条件が付いており、透明性 (transparency)と誠実さ(honesty)がない。
4. 競合するビジネスへの投資家としての役割を共有し、クライアントとの間で利益相反の可能性を認める。
【解説】良い行動
クライアントとの間で利益相反の可能性を認めているので、透明性 (transparency)と誠実さ(honesty)があり、一番良い行動ですね。
4.追加解説
この追加解説は、三好の12年間のコーチ経験をベースにしています。
難しく考えずに、もっと自然に考えてみましょう。
コーチングの見込み客が、新しいビジネスを立上げようとしている、
コーチは、そのビジネスの競合他社に投資している。
あなたが、そんなコーチの見込み客だったら、どんな行動をして欲しいと思いますか?
1. 何も言わずに、競合するビジネスへの投資家としての役割とコーチとしての役割を切り離して保つ。
【追加解説】悪い行動
自分が見込み客だったら、「何も言わない」コーチを信頼できないですよね。「そのビジネスに投資しているから、知っているよ」など何か言ってもらうだけでも、全然違いますよね。だから一番悪い行動ですよね。
【倫理規定の観点から解説】
競合するビジネスに投資していることは、クライアントにとって利益相反の可能性がある重要な情報です。これを隠すことで、コーチの誠実性や透明性が欠けることになり、クライアントとの信頼関係が損なわれる可能性があります。
ICFの倫理規定では、コーチは利益相反を適切に開示し、透明性を保つことが求められています。
クライアントが真実を知った場合、コーチへの信頼が大きく損なわれる可能性があります。
2. ビジネスの名前が聞き覚えがあることを共有し、その晩に、それが競合するビジネスかどうかを判断するためのメモをする。
【追加解説】良い行動
ビジネスの名前が聞き覚えがあることを共有してくれた。
更に、メモしてくれている。
悪い印象はないですよね。
【倫理規定の観点から解説】
コーチは、何か気づいたことを共有しようとする姿勢を示していますが、それだけでは不十分であり、利益相反の可能性についても具体的に開示する必要があります。精神的なメモを取るだけでは、透明性を欠いており、クライアントに対して十分な誠実さを示していません。
3. 見込み客がコーチとしての指導を追求する場合にのみ、競合するビジネスへの投資家としての役割を共有する。
【追加解説】悪い行動
コーチングの契約をしないと教えてくれないって、嫌ですよね。
【倫理規定の観点から解説】
クライアントが指導を受けるかどうかに関わらず、競合するビジネスに投資している事実は早い段階で開示するべきです。クライアントがその情報を元に判断できるようにするのがコーチの倫理的な責務です。指導を受けるかどうかを先延ばしにするのは、クライアントにとって不公平な状況を作り出す可能性があります。
情報開示を、クライアントの行動に条件付けることは、公平な関係構築を阻害します。
4. 競合するビジネスへの投資家としての役割を共有し、クライアントとの間で利益相反の可能性を認める。
【追加解説】良い行動
きちんと情報開示してくれて、利益相反の可能性まで認めてくれたら、このコーチは包み隠さず話してくれるから、信頼できるなと思いますよね。
【倫理規定の観点から解説】
これは最も透明性が高く、倫理的な対応です。コーチはクライアントに競合ビジネスへの関与を開示し、利益相反の可能性について率直に話し合うことで、クライアントがその情報に基づいて決定を下すことができます。ICFの倫理規定は、利益相反の状況を正直に開示することを重視しており、信頼関係の維持に必要な行動です。
5.ICFの倫理規定
サンプル問題1は、ICFの倫理規定では、下記2つが関連していますので、この機会に覚えておき、実際のコーチングでも活用できるようにしましょう。
ICF CODE OF ETHICS 国際コーチング連盟の定める倫理規定 – ICF Japan Chapter | 一般社団法人国際コーチング連盟 日本支部
6. 社内コーチ/組織内コーチとして活動する際は、コーチングの合意から継続的な対話を継続する中で、コーチングのクライアントおよびスポンサーとの利益相反または潜在的な利益相反を制御します。 これには、組織内での役割、責任、関係性、社内記録、社内機密、およびその他の報告義務への対応が含まれる必要があります。
18. 利益相反または潜在的な利益相反について、関係者と共に問題に向き合う、専門家の支援を求めるか、一時的に中断するか、あるいは専門的な関係を終了するなどにより解決します。
皆さん、どうでしたか?
次回は、サンプル問題2の解説を行います。
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最後まで読んで下さり、ありがとうございました。