#5:国際コーチ資格、ICF試験、合格への道 → サンプル問題5の解説
過去の投稿は下記の通りです。
#0 合格への道, 背景 : https://note.com/miyoshicoach/n/nf9f634e17c19
#1 サンプル問題1: https://note.com/miyoshicoach/n/n6c73b6adad7e
#2 サンプル問題2: https://note.com/miyoshicoach/n/n1ecca7d5f755
#3 サンプル問題3: https://note.com/miyoshicoach/n/nc591a4897932
#4 サンプル問題4: https://note.com/miyoshicoach/n/ned46a05bfcc8
ICF試験のサンプル問題は、下記リンクから見ることができます。
Credentialing Exam Content - International Coaching Federation
今日はサンプル問題5を解説しますね。
1. サンプル問題5
最近、コーチはクライアントと一緒に退職計画を立てるために動き始めました。
クライアントは地元の小学校で30年間教鞭をとってきた、尊敬される教師です。
クライアントは常に高い準備と整理がされた状態でコーチングセッションに臨み、セッション間の進捗状況を定期的に報告し、コーチングの会話で焦点を当てる具体的なトピックを特定しています。
クライアントは退職を楽しみにしていると共有していますが、退職計画を非常に事実のような方法で話します。
現在のセッション中、クライアントは退職が始まるまであと2週間しかないと共有します。彼らはいくつかの残りの計画に焦点を当てたいと考えています。
突然、クライアントが泣き出し、
「この学校で半分の人生を過ごしてきました!私は生徒たちが大好きで、同僚は私の親友です。もう毎朝学校の正面玄関を通らなくてもいい日々がどうなるのか想像できません!」と言います。
コーチはどうすべきでしょうか?
1. しばらくの間、一時停止し、その後、クライアントに今日焦点を当てたい残りの計画を特定してもらうように尋ねます。
2. クライアントが本当に退職したいかどうかを確認しますか。
3. 退職は重要な人生の転機であり、感情的な反応が正常であることを認めます。
4. 一時停止し、次にクライアントに対する過渡期がどのような感情的な影響を与えているかを認識し、その感情に時間を割りたいかどうかを尋ねます。
解説を見る前に、上記4つの行動のうち
ー どの行動が一番良いのか?
ー どの行動が一番悪いのか?
を選んでみましょう。
さぁ、考えてみましたか?
2.コアコンピテンシー5
今ここに在り続ける
この行動は下記コアコンピテンシー5に関連する行動です。
JapaneseTeamCoachingConpitancy_2024May_Final.pdf (icfjapan.com)
1. Remains focused, observant, empathetic and responsive to the client
クライアントに対して、集中しており、観察者であり、共感的で、反応良く対応し続けている
2. Demonstrates curiosity during the coaching process
コーチングの過程において、常に好奇心を示している
3. Manages oneʼs emotions to stay present with the client
クライアントとともに居続けるために、自身の感情を管理している
4. Demonstrates confidence in working with strong client emotions during the coaching process
コーチングの過程において、クライアントの強い感情と向き合うことへの自信を示している
5. Is comfortable working in a space of not knowing
知らないことに対しても、快適に対応している
6. Creates or allows space for silence, pause or reflection
沈黙、間、または振り返りのための余白を作り出し、許容している
3.コンピテンシー5の価値
コンピテンシー5の定義は、開放的で柔軟で安定的で自信に溢れる態度を以って、クライアントに対して感覚をフルに開き、今ここに共に在り続けている
チームコーチング・セッションでは膨大な量の情報が得られるため、共同コーチと協力することで、単独のチームコーチのプレッシャーを軽減することができます。
そして、チームコーチは、その場で、あるいは今後のチームでのやり取りの中で、自分自身の行動、その後の行動、そして改善の可能性を意識させることで、フォローすることができます。
4.解説
この解説は、下記YouTubeをベースにしています。
ICF Credentialing Exam Sample Question 5 Explanation (youtube.com)
1. しばらくの間、一時停止し、その後、クライアントに今日、焦点を当てたい残りの計画を特定(Identify)してもらうように尋ねます。
【解説】悪い質問
・クライアントは将来を不安に思っているのに、今日は残りの計画を特定しようと行動しているので、クライアントの感情を無視している。反応していない (not responsive)
・コーチが勝手に話すことを決めている。
・質問ではなく、Identityするように指示している。コーチングではない。
・今に向き合っていない。
・これが一番悪い質問になります。
2. クライアントが本当に退職したいかどうかを確認しますか。
【解説】悪い質問
珍しくYouTube動画で解説がありませんでした。
通常は良い質問が2つ、悪い質問が2つですが、この事例では悪い質問が3つとなりました。
3. 退職は重要な人生の転機であり、感情的な反応が正常であることを認めます。
【解説】悪い質問
・少なくとも相反する感情 (ambivalence)を集める
4. 一時停止し、次にクライアントに対する過渡期がどのような感情的な影響を与えているかを認識し、その感情に時間を割りたいかどうかを尋ねます。
【解説】良い質問
・パートナー関係がある。
・Collaboration (協力関係)がある。
・間を使っている。
・感情を認識してくれている。
・クライアント主導になっている。
・コンピテンシー5の4番「コーチングの過程において、クライアントの強い感情と向き合うことへの自信を示している」に合致している。
・YouTube動画では「attentive =心づかいの行き届いた」「empathetic=共感力がある」「sensitive=感度が良い」という解説をしています。
“This is certainly attentive, empathetic and sensitive to the client”
・これが一番良い質問です。
5.追加解説
この追加解説は、三好の12年間のコーチ経験をベースにしています。
難しく考えずに、もっと自然に考えてみましょう。
地元の小学校で30年間教鞭をとってきた、尊敬される教師が、退職3週間前になり、泣き出してしまいます。
あなたが、そんなクライアント(教師)だったら、どんな行動をして欲しいと思いますか?
1. しばらくの間、一時停止し、その後、クライアントに今日、焦点を当てたい残りの計画を特定してもらうように尋ねます。
【追加解説】悪い質問
・泣き崩れている時に、残りの計画なんて話せるわけがありません。
・「なぜ泣いているか?」感情や存在を無視されていると感じます。
・コーチが寄り添うというより、コーチがクライアントに指示している感じがします。
一番悪い質問ですね。
2. クライアントが本当に退職したいかどうかを確認しますか。
【追加解説】悪い質問
・泣き崩れているという時に聞かれても、答えようがない。
・この質問で、本コーチングのゴール(退職計画)に向けて、前に進むとは思えない。
・たとえば「痩せたい」というクライアントに対して、本当は痩せることではなく、「結婚する」ことが問題の本質とします。そんな時に「本当に痩せたいですか」と問題の本質を確認する時には、よく使われる行動ですが、このケースでは、ずれていると感じます。
3. 退職は重要な人生の転機であり、感情的な反応が正常であることを認めます。
【追加解説】悪い質問
・泣き崩れているという時に、一般論のようなことをAcknowledge(認知)されるより、クライアント自身のことをAcknowledge(認知)して欲しいので、良い行動とは言えませんね。
4. 一時停止し、次にクライアントに対する過渡期がどのような感情的な影響を与えているかを認識し、その感情に時間を割りたいかどうかを尋ねます。
【追加解説】良い質問
・泣き崩れている感情を認識してくれているので、うれしいですよね。
・さらにその感情に時間を割りたいかどうかを聞いてくれており、今ここに共に在り続けている状況ですよね。
・一番良い質問です。
皆さん、どうでしたか?
次回は、サンプル問題6の解説を行いますね。
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最後まで読んで下さり、ありがとうございました。