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「かっちゃん」と私

こんにちは。美代マチ子です。
ここでは、前の記事に掲載した「かっちゃん」についてと、ここ最近の近況や制作について書いてみようかなと思います。
徒然なる忘備録といったユルい感じになるので、気楽に読んでもらえたら嬉しいです。

まず、前の記事に載せた「かっちゃん」(2020年11月23日発行)という漫画作品です。


描いたのは2年弱前とだいぶ前ですが、なぜこのタイミングでのweb掲載したかというと、特に深い理由はありません。当初は印刷物としてしばらくコミティアで頒布していたのですが、もうだいぶ時間も経ち、熟成しきったかなというのが一つ。もう一つは、今年2023年は初心に帰って、ちゃんと創作アカウントの活動をしよう!と奮い立ったからです。(実は昨年2022年はずっと連載に向けたオリジナル漫画の制作をしていました。これはまた後で詳しく書きます)

というわけでweb掲載にあたって「かっちゃん」を読み返したのですが、こういうどうしようもない感情をぶつけるような描き方は今はできないかもなと変な感心をしてしまいました。
以前私が書いた「かの子とマチ子と光進堂」という記事の内容に乗っ取って当てはめると完全に「非エンタメ」の内容だからです。自分の内面や過去ととことん向き合い、私小説を書いているような感傷的な気持ちで整理していきました。


子供の頃の私と母の関係は、良好とは言えず、反抗したり歯向かったりいじけたり怒ったりと、決してポジティブな関係ではありませんでした。生活態度や進路のことで衝突することが本当に多く、友達のお母さんの話や、ドラマの普通の親子のエピソードが自分とは縁のない遠い遠いものに思っていました。素直になれなくてでも毎日あの家に帰って母の顔を見てご飯を食べないといけなくて、今思えばありがたいことの連発なのに当時の私は生きづらくてしょうがなくて何がそんなに辛いのかわからないけどとにかくたくさん辛かった。

ぐちゃぐちゃした感情を抱えてた子供~大学生くらいの自分と母の関係を思い出しながら地元を歩く、現在の自分。過去と現在の行き来の中で現在の母との距離を改めて考えるという作品になりました。
なぜ唐突にオリジナル漫画を描こうと思ったのかははっきりと覚えていません。「ぶっきんぐ!!」の連載に一区切りつけ、大学を卒業した私は実家を出て2年目くらいで、自分のお金で生活し、仕事をしていました。きっとまた、自分の生み出した物語をヒイヒイ言いながら描きあげたい、読んでもらいたいと思ったんだろうなあ。

ただそれだけではなく、母と自分のエッセイ漫画を描こうと思ったのは、大きなきっかけがありました。
それは、さくらももこ先生のエッセイ集「さるのこしかけ」に掲載されている「実家に帰る」というお話を読んだこと。

さくらももこ先生のエッセイは小学生の頃夏休みの読書感想文に書くくらい好きで昔から読んでましたが、大人になって久しぶりにこのお話を読んだ私は、ブワッと涙が止まらなくなりました。文庫本5ページちょっとしかない短さで、さくらももこ先生が結婚して初めて清水の実家に帰るというだけの話。

「家を出るというのは、もうたまに帰郷したとしても自分はお客さんなのである」
「湯水のようにあったはずの家族に時間はいつの間にか蒸発して無くなっていた。父も母も姉も居るのに、私が住んでた頃にはあった何かは確実に失われたのだ。」

この2行を読んだ途端なぜかいろんな感情が急に込み上げてきました。
大学卒業前には一人で不動産屋に行き一人で家を出ることを決めた私。
それに最後まで反対していた母。
引っ越し当日、カーテンもなく寒さに震えながら母に電話した夜。
頻繁に家に来て物資を届けようとした母。
いつの間にか母と私は喧嘩することも揉めることもなくなっていきました。
だって喧嘩する時間もきっかけもなかったから。
私と母は、良い意味で「他人」になっていたのだと思います。
なんとなく感じていた言葉にできない感情を、どうにかして何かしらの形に残そう、吐き出そうとして「かっちゃん」のネームにとりかかった記憶があります。

漫画を描くために地元に帰り、公園や実家や母の写真を撮りました。写真を撮ってこうして文章に書けば済むものを、わざわざ話を考え、構成し、まとめ、絵を描いて本を出版する。こうした「手間」も自分の気持ちを整理し向き合うにあたって必要な作業だったと思います。
出版した本の装丁は現在デザイナー兼イラストレーターのhikaruさん(https://twitter.com/tekawa_hikaru)にデザインして頂き、とても素敵なものになりました。同級生と一緒にものづくりとしたりイベントに出るのが久しぶりで、学生に戻ったような気分になって本当に楽しかった!
漫画の最後のあとがきにも書いてありますが、作品を構想したのは2020年の3月、完成したのは11月とかなり期間が空きました。ずっと描いていたわけではなくで、実はこの期間、出ようと思って申し込んでいたコミティアがコロナでたびたび中止になり、その度に漫画をかくモチベーションが落ち込みまくってしまったのでした。
その時私の背中をドン!と叩いてくれたのがhikaruさんでした。私がうじうじ悩んでた時、描くのは今だ!描いてコミティアに出るんだ!と激励してくれました。あのタイミングじゃなかったら私は一生「かっちゃん」を完成させられなかったかも。本当にありがとう…。
自分のために描いた作品とは言え、友人から感想をもらえたりしてとても嬉しかったです。




今年は「かっちゃん」の再録から始まりTwitterやnoteの更新も頑張りたいと思います。
趣味の絵や二次創作も需要関係なくあげていっちゃおうかな…と画策しております。
すんごく長く書いちゃいましたが、読んでくださった方ありがとうございました。
今年も創作活動頑張るぞ~!

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