パルマ劇場歌手への道(12)~応援~
※この文章は2006年10月にブログ記事にしたものを編集し直したものです。100円と表記されるかもしれませんが、無料ですべて読める「投げ銭スタイル」ですので、お気軽にご覧ください。
「実は劇場で合唱オーディションがあって、受けてみようと思うんです。」
ジュリアーナがどんなリアクションをするか多少恐れていたのですが、
それは全くの杞憂だったようです。
「あら、それは素晴らしい経験になるわ。」
この一言で私の胸のつかえはすっかり取れました。
ジュリアーナは続けます。
「で、オーディションでは何を歌うの?」
私はドメニコに書いてもらった課題曲の紙を見せると、
「楽譜はもう準備してある?」
「はい、全てここに!」
「じゃあ、次のSpartito(※スパルティート:楽譜のこと)のレッスンでやりましょう。」
実は、今年【2006年】からTriennioという大学にあたるコースに入学し直したため、
声楽のレッスンとは別に、コレペティの先生と主にオペラ作品全体をさらう、
スパルティートの授業を取れるようになったのです。
そこまで話すと手前の教室からカピルピ先生(※私が習っている声楽の先生)が出てきました。
「チャオ、Fumi、いったい何を話しているんだ?」
軽く挨拶をすませると、ジュリアーナが今までの経緯を話してくれました。
「よし、じゃあ次回のレッスンではオーディションで歌うアリアをやろう」
こうして、先生方のバックアップのもと、
オーディションに向けての準備は着々と整っていくのでした。
・・・
数日後・・・
それはいつも何かが起こる水曜日。
いつもの様に合唱の授業を受けていました。
その日は珍しくドメニコはいません。
おそらく他のレッスンとかぶったりしていたのでしょう。
この日、私もカピルピ先生に呼ばれていて、
合唱の授業の合間に声楽のレッスンに行かねばなりませんでした。
合唱の授業は本番(※11月終わり~12月にかけて各地で歌う予定)が近いということもあり、
1:00~4:00までの長丁場です。
2時に授業を抜け出し、カピルピ先生がレッスンをしている部屋へ向かう途中、
廊下の向こうからは授業に遅れてきたドメニコがやってきました。
「チャオ、ドメニコ!」
「チャオ、Fumi!」
挨拶をすませたドメニコの二言目はまたしても理解を超えていました。
「ごめん、Fumi・・・」
つづく・・・
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