裏・パルマ劇場歌手への道(3)~マエストロ~
※この文章は2006年にブログ記事にしたものを編集し直したものです。
「パルマの劇場の合唱指揮の先生はとても優秀な人よ。」
以前からコレペティのジュリアーナにそう聞かされていました。
「ただ、ちょっと変わった人だけどね。」
変わった人・・・?
オーディションをしてくれた男性、
彼が合唱指揮の先生でした。
名前はMartino Faggiani
第23話で「かなり出来る人」だ、という印象を受けたと書きましたが、
先週から合唱の練習が始まり、
現場にて、その優秀さをさらに実感しました。
しかし、変わった人とは・・・?
まず、ピアノが超バリバリ弾ける。
しかも超いい音で。
それから、合唱に関わるシーンだけかもしれませんが、
最初の練習の時には全役、合唱全パート暗譜してる。
まぁ、ここら辺まではよくいる、と言えばよくいますね。
さらに、歌うとテノールのとてもいい声。
しかも、表現力が非常に多彩。
発声についても要求が厳しく、
これは声楽出身の人でもなかなかいません。
が、別に「変わっている」と言うには・・・
他には、
音程がものすごく正確で厳しい。
リズム、テンポについてもものすごく正確で厳しい。
これはイタリア人にはなかなかいませんね。
もちろん、正確な人はたくさんますが、
ここまで細かい人は初めてだと言うことです。
でも、指揮をする人なら当たり前なのかも知れません。
細かさで言えば、田中信昭先生をイタリア人にしたような。
ここまでくれば、まぁ、「変わっている」といえば変わっていますが・・・。
他に特徴と言えば、
私語を一切認めない。
時間に正確。
これだ(°Д°!!
これは「変わっている」。
(いや、本当は性格が「ちょっと変わっている」ということなのでしょうけど。)
こんな人、イタリア人でみたことありません。
今まで関わってきた、授業、稽古は全て、
「遅刻が当たり前」みたいな雰囲気だったのに、
ここの合唱の練習は時間30分前からメンバーがぞろぞろ集まりだして、
時間にはきっちりと練習が始まって、終わりは1分たりとも延長がありません。
ローマ歌劇場日本公演のときは決してこんなことはありませんでしたから!
こんな現場がイタリアにも存在したんだ・・・、
と、感心することしきりです。
日本の現場では当たり前でしたけどね。
このマエストロのおかげで、かなり濃密な練習になっています。
練習風景については次回触れますが、
たった2時間の練習でもうヘトヘトです。
それからもう一つ、私語について言えば、
イタリア人は非常におしゃべり好きですから、
授業中とかに学生が私語をすると、
先生がそれにのったりするのが普通で、稽古場も同様でした。
こんなに指示が通る現場は初めてです。
ちなみに、とある友人に教えてもらった、
イタリア人のおしゃべり好きを表す小噺を一つ。
バスの中に書いてある、各国別注意書き。
アメリカ合衆国「運転手に話しかけないでください。」
ドイツ「運転手に話しかけることは厳格に禁じられています。」
イングランド「運転手に話しかけることは控えるようお願いします。」
スコットランド「運転手に話しかけて何の儲けになるというのだ?」
イタリア「運転手に返事しないでください。」
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