【試し読み・第1話】いたずら好きのオウムはいつ出られるのか?!
※有料マガジンは試し読みができないみたいなので、第1話のみ試し読み用に無料公開します。以下は有料のものと全く同じ内容です。
イタリアの小噺には宗教的な内容が多いような気がします(他にはサッカー、童話)。というのは、みんなが共通に認識している内容だからこそ、どんでん返しがオチとして受けるのでしょう。このお話もそんなタイプのお話の一つ。まさにイタリアンジョークの典型です。
《イタリア語原文》
太字の部分は後半に解説があります
Un pappagallo è solito fare scherzi telefonici.
Un giorno ordina 1000 Kg di nafta e ovviamente fa addebitare la spese al padrone.
Scoperto l’autore del costoso scherzo il padrone afferra il pappagallo, lo rinchiude in uno stanzino buio e lo inchioda per le ali al muro.
Quando i suoi occhi si sono abituati al buio intravede dall’altra parte della stanza un crocefisso e gli chiede:
“Tu chi sei? “
“Sono Gesù Cristo”
“E da quanto tempo sei qui?”
“Da quasi 2000 anni”
E il pappagallo:
“Cavoli! Ma quanta nafta hai ordinato?”.
《日本語訳》
あるところに、いたずら電話ばかりするオウムがいました。
ある日、1000キロものオイルを注文、当然それは飼い主の支払いです。
そんなお金のかかるいたずらの首謀者を発見した飼い主、そのオウムをとっ捕まえると、暗い小部屋に閉じ込めて、その羽を壁に打ち付けます。
ようやく暗さに目が慣れてくると、部屋の反対側に十字架のキリスト像が見えてきました。そして、彼に尋ねます。
「あなたは誰?」
「私はイエス・キリストだ」
「どれくらい前からここに?」
「約2000年前からこうだ」
オウムは言いました、
「なんてこった、あんた、一体どれだけのオイルを注文したの?!」
《ちょっと解説》
essere solito + 不定詞 → いつも〜する。不定詞を上手に使うのはいつも難しいですね〜。
nafta → ナフサ(軽油とも辞書に書いてあります)。直感的に理解しにくいので、今回は「オイル」と訳しました。
Scoperto l’autore del costoso scherzo → 過去分詞から始まる分詞構文。「〜したので」という意味になります。完了したことではなく「〜しながら」の場合はジェルンディオを用いますね。"autore"は「著者」の意味としてよく使われますが、「それを生み出した物」という意味で"autore del scherzo"は「いたずらの首謀者」となります。
le ali → 単数形は"ala"ですが、複数になると"ali"になります。これが男性形なのか、女性形なのかは冠詞をみればすぐわかりますね。ちなみに、"ali di pollo"は「手羽先」の意。安いのでよく買います。Firenzeの市場では1キロで200円くらい。
crocefisso → 一般にはcrocifissoですが、同じ意味です。「十字架に固定された」という意味で、「イエス・キリスト」が磷付けられたことを表します。
Gesù Cristo → 「ジェズ・クリスト」というのが近い発音でしょうか(ただし、「ク」「ス」は無声音)。もちろん、イタリアで最も有名な人物です。最近はイタリアにも仏教徒が増えて来ているみたいですけどね。
Cavoli! → イタリア語では"Ca"で始まる単語ならなんでも良いんですが、「ちくしょう!なんてこった!」という意味を表します。"C◯ZZO"という言葉が本来使われるのですが、放送禁止用語なので、文章の中や、社会的に地位のある人の言葉では"Cavolo, Cavoli(キャベツ)"がよく使われます。他には"Cazzaruola(シチュー鍋)"とかも使われます。
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