パルマ劇場歌手への道(13)~苦悩~
※この文章は2006年10月にブログ記事にしたものを編集し直したものです。100円と表記されるかもしれませんが、無料ですべて読める「投げ銭スタイル」ですので、お気軽にご覧ください。
「ごめん、Fumi。11月2、3日はやはり無理で、次の機会だ。やはり、滞在許可証の問題で・・・」
・・・またしても絶望的なことをいわれてしまいました。
結局、滞在許可証の問題ですか。
せっかく頑張ってくれたドメニコに、ショックな表情は見せたくありません。
外国人の私にここまで協力してくれたのですから、
彼が出来るだけ心配しないよう努めたかったのですが、
実際は頭が真っ白になり、どんな表情をしてしまっていたか・・・。
しかし、「次ってなんだ?」と思いつつも、レッスンが控えていましたので、
「わかった、詳しくはまた後で。」
と、私はカピルピ先生とジュリアーナの待つレッスン室に向かいました。
一通り歌い、レッスンは無事終了しましたが、
やはり応援してくれた先生方には伝えねばなりません。
重く閉ざされた口を無理矢理開いて言いました。
「結局、滞在許可証の問題で今回は受けれないみたいです。」
そう言ったとたん、先生たちの表情も途端に変わります。
しかし、先生達の答えはまったく予想外のものでした。
「オーディション行っちゃえよ。それでダメならしょうがないさ。」
これはジュリアーナも同意見でした。
しかし、「行っちゃえ」とは・・・
そして、再び合唱の授業に戻ると、
ちょうど休憩の時間でした。
ドメニコも暇そうにしていたので、
詳しく話を聞いてみることにしました。
「残念だな。でも、今回のオーディションで、もし・・・」
と話してくれた内容は、
11月2、3日はイタリア人だけでオーディションをする。
もし、そこで人数が集まらなかったら追加募集のオーディションをする。
それがいつになるかは分からない。
私はそのオーディションを受けることが出来る。
ということでした。
なぜ、今回は滞在許可証の問題で受けれないのに、追加募集なら可能なのか、
そこらへんの矛盾はさておき、
まだチャンスが残されていることに希望の光を見ました。
そして、先生方の言葉、
「オーディション行っちゃえ」
でも、それを実行すると、
オーディションのチャンスを探ってくれたドメニコに迷惑がかかるかもしれません。
かといって、追加募集の話は、まぁ普通に考えたら実施されないでしょう。
・・・
イタリアに来て初めてこんなに悩んだかもしれません。
まぁ、ある意味、人生かかっていますからね。
そして、11月2日オーディション当日の正午。
私はオーディション会場の前に立っていました。
つづく・・・
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