裏・パルマ劇場歌手への道(4)~練習~
※この文章は2006年にブログ記事にしたものを編集し直したものです。
「あなたは、バリトンですか?」
「はい・・・、あ、でも少し前までテノールだったので、セカンドテノールならできる思います。」
可能性を少しでも広げるためにさりげなくアピールです。
(以上、第23話のマエストロとの会話より)
まんまとセカンドテノールに配置されました(´Д`)
普通にソやソ#が出てくるんですけど・・・
さて、11/18から稽古が始まりました。
前回、
マエストロのおかげでかなり濃密な練習になっている、
と書きましたが、
それはマエストロのせいだけではありません。
メンバーもみんな凄い(´Д`)
(いや、それはむしろ嬉しいんです。)
今までの経験から言って、イタリア人は基本的に譜読みが遅い。
学校では、モーツァルトのレクイエムを合唱の授業でやりましたが、
最初の2ヶ月くらいはほとんど音取りで終わってる始末。
2月に出演したティートの練習も、裏・第2話で書いた事情により、
舞台稽古直前の練習に初めて顔を出したんです。
私は初の練習だったので、緊張して全て暗譜して望んだら、
数人を除いて誰も暗譜してませんでした。
舞台稽古直前なのに・・・
(基本的に舞台稽古では楽譜が持てないので、暗譜してる必要があります)
なので、イタリアではそういうものなのかな、なんて思っていました。
もちろん、劇場で仕事ともなればある程度はましだとも思っていましたが。
で、劇場の稽古の話に戻しますが、
楽譜をもらったのは初回練習の前日。
しかも合唱パートの量がかなりあります。
ページ数にして合唱のみで200ページ以上。
(オペラによっては合唱の出番がちょこっとだったりするのです。)
こりゃ大変だ、と思いながらも、
譜読みをちゃんとしていけば、初回の練習で多少なりともアピールできるかな、
なんてことを考えて、夜遅くまでCDを聴きながら譜読みに没頭しました。
ちなみに、この「試金石」というオペラ、マイナーですが、
ものすごくいい曲ですね!
随所に、モーツァルトのオペラより借用してる部分がみられて、
思わずニヤリとしてしまいます。
さて、翌日いよいよ練習開始です。
どんな風に練習が始まるのかな、と思っていたら、
マエストロ、いきなり曲の前奏から弾き始め、
1曲目を通して演奏してしまいました。
しかも、みんなちゃんと歌えてる!
雰囲気は初見っぽいのに。
というのは、ちょっとした引っ掛けのような箇所で、
簡単に引っ掛かってたりしたので。
(1回目はドレミ、2回目はドミレという音型だったら、両方ともドレミと歌ってしまうなど)
でも、2回目にはほぼ完璧。
稽古中、音取りに掛ける時間なんて一切ありません。
(東混など、日本のプロの現場では当たり前でしたけどね)
そして、日本のオペラの現場では、かなり時間を取られる、
言語の問題
母国語だから当たり前といえば当たり前ですが、
これについてはほとんど問題になりません。
たまに、のばしている2重母音をどのタイミングで母音を変化させるか、
などはありますが、一度確認すれば終わりです。
なので、練習時間の全てを純粋に音楽を良くすることに使えるんですね。
それでいて、あのマエストロ。
前回も書きましたが、ものすごく濃密な練習になります。
そしてもう一つ、
みんな超いい声(°Д°)
もはやみんなオペラ歌手ですよ!
純粋なイタリアンの!!
世界は広いな、
と実感しています。
そして、それだけではありません。
稽古はほぼ毎日ありますので、
翌水曜日の練習は、通算で4度目の練習です。
みんな暗譜してるんですけど・・・(´Д`)
もはや、アピールどころか、ついていくのがやっとですOTZ
毎日楽譜が恋人になっています。
このブログを書いている間も、
iTunesで合唱パートを抜粋して繰り返しかけています。
しかも、今の時期、以前も書きました、別のオーディションに受かったので、
同じオペラなんですけど、子供向けに演奏するやつで、
そちらではソリストをするため、そちらの暗譜にも毎日追われています。
それについては改めて書くとしましょう。
しかし、こういったことは、まさに夢見てたことですので、
時間が足りない位、やることは沢山ありますが、
楽しくて仕方ありません。
今日はこれから初の舞台稽古なんです。
この幸せをかみしめて参ります、
テノールとして(´Д`)
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