
【AI文芸】【シリーズ一日】クリエイティブディレクター
元はといえば、あまりにも使えなかったのか数ヶ月でChatGPTのモデルメニューから抹消されたo1-miniに作りかけの小説の登場人物の設定をきいたら、クリエイティブディレクターとかふざけた回答をしたので、クリエイティブディレクターネタの小説を書こうと思ったのが発端ですが、一向に形にならないのでまずは考証を詰めることにしました。
これも一日に詰め込んだせいか睡眠時間をききたくなる展開になっています。
クリエイティブディレクターの実際のことは知らないのでまとめを少し削った他はo1が生成したままです。
今のところクリエイティブチームの他のメンバーのバージョンも作る予定です。
午前5時30分 – 静かな夜明け前
夜明け前の静けさが辺りを包む。クリエイティブディレクターである「私」は、普段から早起きの習慣を身に付けるようにしている。と言っても、日によっては徹夜に近い形で仕事をしてしまうこともあるため、睡眠時間は不規則になりがちだ。しかしこの日は、翌日に控えるプレゼンテーションやクライアントとの重要なミーティングがあり、朝の時間を有効活用する必要があると判断していた。
枕元に置いてあったスマートフォンのアラームを止め、ゆっくりとベッドから起き上がる。一日の始まりに、まずは深呼吸。普段から心がけていることの一つは「朝一番に一杯の水を飲み、瞑想に近い静かな時間をもつ」ことだ。クリエイティブなアイデアを生み出すには、自分の精神をフラットな状態に保つのが大事だと信じている。
暗い部屋の中で小さくストレッチをしながら、今日のやるべきことを頭の中で整理する。今日はクライアントとデザイナーとの最終的なデザインすり合わせ、その後社内のプロデューサーやプランナーとの意見交換、さらに来週のキャンペーンに向けた撮影の準備の打ち合わせ、夕方には関係者全員が揃う全体ミーティングがある予定だ。スケジュールはかなりタイトだが、この緊張感こそがクリエイティブディレクターにとっては刺激でもある。
カーテンを開けると、東の空がほんのり明るくなり始めている。まだほとんど日は昇りきっていないが、その微かな光が今日一日の始まりを静かに告げていた。
午前6時 – 朝のウォーキングと音楽
軽く着替えを済ませ、スニーカーを履いて家の周りをウォーキングする。どんなに忙しくても、頭をクリアにするための運動は欠かさないようにしている。とくにこの早朝の時間は、人通りも少なく、自分自身の中に集中しやすい。一方で、スマートフォンで音楽を聴きながら歩くこともある。音楽はモチベーションを高めるだけでなく、「こんな映像と合わせたら面白いかもしれない」というビジュアルイメージを与えてくれることも少なくない。
今日のプレイリストには、最近注目しているエレクトロ系の曲と、クラシックのピアノ協奏曲が混在している。クリエイティブディレクターとして、様々なジャンルの音楽から刺激を得るのは常だ。ウォーキングをしながら音楽を聴くことで、自然に体が動き、脳が目覚め、アイデアの種が頭の中に少しずつ生まれ始める。
「今日はどんなアイデアが必要だろうか?」そんな問いかけを自分に投げながら、頭の中で新製品のプロモーション映像のストーリーボードをイメージしてみたり、デザイン案の配色を思い浮かべてみたりする。歩いている間、意識は常に様々な映像や音、文字のシミュレーションを行っている。もちろん忘れないように、スマートフォンのメモアプリにさっとキーワードだけを書き留めたりもする。後になって「何かいいアイデア浮かんでたのに忘れた!」という事態は避けたいからだ。
午前6時45分 – 簡単な朝食と情報収集
ウォーキングを終えて自宅に戻ると、軽く朝食を摂る。クリエイティブディレクターの仕事は体力勝負な面もあるが、それ以上に頭をフル回転させる必要がある。カロリー補給というよりは、脳にエネルギーを送るための“燃料補給”の感覚に近い。スムージーやヨーグルト、フルーツなど消化に良く、胃に負担をかけないものを意識して口にする。
その間、タブレットでニュースをチェックする。広告・マーケティング・デザイン関連の業界ニュースはもちろん、社会情勢や国際ニュースにまで目を通す。世の中の動きや空気を知ることは、クリエイティブの方向性を決めるうえで欠かせない。今話題になっているキーワードや事件、人々の関心が移り変わるトレンドなどを常に頭に入れておく必要がある。SNSのトレンド欄も一通り見て、ユーザーたちのリアルタイムの反応やニーズをざっくり掴む。
さらに企業やブランドの公式SNSなどもチェックしながら、「今日の会議で使えそうなネタはないか」「今注目されているヴィジュアル表現は何かあるか」など、情報を拾っておく。多くの案件で「いま何が人々の興味を引きつけるのか」を的確に捉え、それをコンセプトやデザインに落とし込む必要があるからだ。まるでセンサーのように、アンテナを常に張り巡らせている感覚である。
午前7時30分 – シャワーと身支度
朝食を終えて一息ついたら、急いでシャワーを浴びる。ここでもリラックスしながら考える時間を持つことが多い。シャワーは短時間でも頭をすっきりさせてくれるし、水の音を聞いていると不思議と心が落ち着くものだ。シャワーを浴び終わって鏡を見ながら、自分の顔色をチェックする。寝不足のときは特にクマがひどくなっていないか注意。人と会う機会の多い仕事なので、最低限の清潔感を保つことは大切だ。
服装は、あまりにも派手すぎないが、どこか自分なりの「らしさ」を演出できるコーディネートを心がける。クリエイティブディレクターという肩書き上、「尖ったセンスをアピールしてほしい」という周囲の期待もあるし、一方でクライアントが重厚感のある企業だと、あまりくだけすぎるわけにもいかない。着る服には、デザイナーが作った一点物を混ぜていたり、ブランドのコンセプトに共感するアイテムを取り入れていたりと、少しだけストーリー性を持たせてみる。そうすることで会議中、話のきっかけになることもしばしばだ。
午前8時 – オフィスへ移動
準備を済ませたら、最寄り駅から電車に乗りオフィスへと向かう。通勤ラッシュの時間帯なので、車内はそこそこ混雑している。周囲の人の様子を観察するのも、クリエイティブディレクターの習慣の一つといえる。電車の中吊り広告を眺めたり、スマートフォンで何を見ているかをふと覗いたり、ファッションのトレンドを人々の装いから読み取ったり――まるで市場調査をしているかのようだが、こうした日常の観察こそが後々、大きなヒントとなることがある。
思わぬインスピレーションを得たら、すかさずスマートフォンにメモを取る。例えば、若い女性が持っているバッグの配色や形が斬新で「この配色、商品パッケージに使えるかもしれない」と思うこともあれば、小学生くらいの子どもが遊んでいるゲームが「今後のAR技術を使ったキャンペーンに応用できそうだ」と感じることもある。常にアンテナを張り、どんな小さなインプットも見逃さないようにするのが、この仕事の醍醐味かもしれない。
午前8時45分 – オフィス到着、デスク周りの確認
オフィスに到着すると、すでに数名のスタッフが出勤している。デザイナーやコピーライター、プランナーなど、プロジェクトごとにいくつかのチームが編成されているのだが、皆それぞれが自分の仕事に集中している雰囲気だ。お互いに「おはようございます」と挨拶を交わしつつ、自分のデスクへ向かう。
デスクに座るや否や、すぐに自分あてのメールやチャットをチェックする。海外のクライアントとのやり取りは時差の関係で夜中に送られてくることも多いし、制作会社からの進捗報告や、アカウントマネージャーからの相談ごとなどが山積みだ。必要に応じてすぐ返信しなければならないメールもあれば、一度落ち着いてから内容を確認して返信したほうがいいものもある。重要度や緊急度に応じて仕分けをする作業をテキパキと進める。
その後、デスク周りに置いてあるデザイン資料や雑誌などを整理しつつ、今日はどんな流れで仕事を進めるかを再度脳内でシュミレーションする。メール対応だけでも時間がかかるが、それをいつまでもやっていると肝心のクリエイティブワークが遅れてしまう。そこで自分は「会議が始まる前のこの時間は連絡対応を終わらせる」というタイムボックスを設定し、短時間で集中して処理するようにしている。
午前9時30分 – 定例ミーティング(クリエイティブチーム)
まずは週に2回行うクリエイティブチームの定例ミーティングを行う。出席メンバーは自分(クリエイティブディレクター)、アートディレクター、グラフィックデザイナー、コピーライター、UI/UXデザイナーなど、制作に直接関わる者たちだ。ミーティングルームのホワイトボードには、現在進行中のプロジェクトがいくつもリストアップされている。
新製品Aのプロモーション映像:絵コンテ最終決定、撮影日程の確認
ブランディング案件B:ロゴ最終案のクライアント承認待ち
SNSキャンペーンC:追加クリエイティブ素材の作成
大手企業Dの広告企画:コンセプトアートのラフ提案 …など
まずは各プロジェクトの進捗を簡単に確認し、それに対するフィードバックや修正指示を出していく。ここでのポイントは、チーム内で情報を共有し、互いにアイデアを出し合い、建設的な議論をすること。クリエイティブディレクターとして重要なのは、「常にプロジェクト全体を俯瞰する目をもつこと」だ。あまり細部に口を出しすぎるとメンバーの自主性が失われるが、何も言わずに放置するとコンセプトがブレたりする。バランスを取りながら、「各メンバーに任せるところは任せ、それ以外の部分は的確に方向性を示す」というスタンスを貫くことを意識している。
コピーライターからは新製品Aのキャッチフレーズ案が提示される。何パターンか出た中で、クライアントのコンセプトに近いもの、ターゲットを的確に捉えているもの、音の響きがいいものなどを総合的に考える。「キャッチーだけど安っぽくないか」「日本語と英語のバランスはどうか」など、細かい視点で検討する。こうして生まれたコピーひとつが、多くのメディアで展開されて数百万、数千万の人の目に触れるわけだから、責任は重い。
グラフィックデザイナーからは、SNSキャンペーン用のビジュアル案が出る。ここではブランドイメージを損なわずに、かつSNS上でユーザーが拡散したくなるようなデザインが求められる。「色彩はブランドカラーをメインに据えながらも、キャンペーン特有の季節感をどう取り入れるか」「アイコンとして残るような形状はどれが良いか」など、みんなでディスカッションして練り上げていく。
午前10時30分 – クライアントとの打ち合わせ(オンライン)
クリエイティブチームの定例ミーティングを終えた後、すぐにオンラインでクライアントとの打ち合わせが始まる。先ほど検討したキャッチコピー案やビジュアル案をクライアント側にプレゼンし、フィードバックをもらう場だ。クライアントの担当者だけでなく、社内のマーケティング責任者などが参加することもある。オンライン会議システムの画面共有を使い、スライドやデザインを見せながら意図を説明していく。
こうした場では、ビジュアルやコピーなどクリエイティブな要素に加えて、その裏にある戦略やコンセプトをしっかりと伝えなければならない。「なぜこの色を選んだのか」「ターゲットの心理にどう訴求しようとしているのか」「競合他社の施策とどのように差別化を図るのか」――これらを納得してもらうことで、クライアントも安心してプロジェクトを先に進められる。
もちろん相手からの要望や修正指示も出てくる。「もっと明るいトーンにしてほしい」「もう少し高級感を強調してほしい」「ここのフォントは別の書体を検討したい」など、その意見に対して自分の考えを返しながら、どこまで反映できるかを探る。妥協点を見つけるよりも、より良い案を提示することでクライアントの要望を上回る“驚き”を提供するのが理想だ。
30~40分ほどの打ち合わせで、一通りの方向性が固まる。修正点や追加要望をメモして会議を終えるが、この後すぐにチームへフィードバックを伝え、作業を再開してもらわなければならない。
午前11時20分 – チームへのフィードバックと修正指示
オンライン打ち合わせが終わると、先ほどのクライアント要望やフィードバックをチームに共有しなければならない。再びクリエイティブチームのメンバーとミニミーティングを行い、「クライアントはここを気にしていた」「この部分は思いのほか好評だった」などを詳細に伝える。特に「なぜその修正が必要なのか」をきちんと説明しておくのがポイントだ。単なる「クライアントがこう言ってきたから直して」という指示だと、クリエイティブのモチベーションが下がってしまうし、修正の意図が正しく理解されない恐れがある。
「なぜその色味が必要になったのか」「なぜもう少し高級感を出す必要があるのか」。背景や論理を説明することで、デザイナーたちも「なるほど、それならばこういうアプローチもある」と新たな提案をしやすくなる。こうしてキャッチボールが繰り返されることで、より洗練されたアウトプットが完成していく。
午前11時45分 – 簡単な書類チェックと電話対応
チームへ指示を出し終わると、デスクに戻って書類の確認やメール返信を続行する。広告費の見積もりに関する資料や、撮影スタジオの空き日程確認、タレント事務所から送られてきた契約関連の書類など、クリエイティブ以外の細かい業務も多い。大手クライアントの案件では、契約書や守秘義務関係の書類にかなり時間を取られることも多く、プロデューサーやアカウントマネージャーと連携しながら進める。
さらに担当者から「今電話よろしいですか?」とメッセージが入り、数分後に電話会議が始まる。相手は撮影チームのディレクターで、「撮影日の照明プランやカメラワークをどこまで豪華にするか」「予算的にどの程度のクオリティを目指すか」といった相談。クリエイティブディレクターとしては理想的なビジュアルを追求したいが、現実的には予算やスケジュールの制約もあるため、その落とし所を探るために話を詰めていく。撮影日数が増えれば費用もかさむし、特殊な機材を使うなら現場スタッフの人数も増える。プランAとプランBのメリット・デメリットを比較し、クライアントの意図やブランドイメージにも合致するかを確認する。自分ひとりの判断ではなく、プロデューサーやアカウント側にも相談した上で最終決定することを伝え、電話を切る。
正午 – 昼食と短いリフレッシュ
一段落ついたところで、スタッフ数名を誘って社内のカフェスペースや近くのカフェに行くことが多い。オフィスによってはフロアに簡単なカフェコーナーがあり、コーヒーや軽食を楽しめるところもある。今日は少し外に出たい気分なので、周辺のオフィス街にあるサンドイッチの美味しいカフェへ足を運ぶ。クリエイティブチームのメンバーと一緒に行くこともあれば、一人で頭を整理したいときは単独行動をすることもある。
昼食を取りながら何気なく雑談をしていると、デザイナーの一人が「昨晩のニュースで気になるCMが流れていたんですよね。あのCM、色遣いがすごく独特で…」と話し始める。そこから自然とCMの色彩やアートディレクションについての議論が始まり、「うちの案件でも、もうちょっと挑戦的な配色を試してみるのも面白いかも?」とアイデアが膨らんでいく。こうした雑談から生まれる発想はバカにできない。むしろ、何気ない会話の中にこそ新しいヒントが隠れていることも多い。
カフェの外にはビジネス街のビルが立ち並び、様々な人が行き交っている。サラリーマン風の男性、派手めなスーツを着た営業マンらしき人、同じカフェで打ち合わせをしている別のクリエイター風のグループ――観察しているだけでも刺激になる。街の空気を感じることは、オフィス内だけでは得られないアイデアの素になるのだ。
午後1時 – 再びデスクに戻り、アイデアの練り直し
オフィスに戻り、午後の業務を開始する。朝にクライアントからもらったフィードバックや、撮影ディレクターとの電話内容を踏まえ、改めてプロジェクトのコンセプトを再確認してみる。今の方向性で本当に訴求力はあるのか? 競合他社をリサーチして、差別化は十分に取れているのか?
デザイン案やコピー案をもう一度見ながら、「ここは大胆に変えてしまってもいいのでは?」と思う点があれば、自分なりにラフを作ってみたりもする。もちろん最終的なビジュアルやテキストは専門のデザイナーやコピーライターが仕上げてくれるが、ディレクター自身も手を動かしてイメージを共有することは多い。デザインソフトを簡単に立ち上げ、グラデーションの具合やフォントのイメージを試行錯誤する。自分が提示する「ラフイメージ」があるのとないのとでは、チームがアイデアを具体化するスピードがまるで違うからだ。
午後2時 – 社内プレゼンテーションの準備
今日の夕方には、社内の主要メンバーが集まる全体ミーティングが控えている。その際に、自分が担当している新プロジェクトの進捗と今後の方向性をプレゼンする場面がある。そこで使用するスライドや資料の確認を進める。
プレゼン資料は、単にテキストを並べるだけではなく、ビジュアルのインパクトやストーリーテリングも重要だ。特にクリエイティブ案件では、言葉より先にイメージが相手の心をつかむこともある。スライド作成ツールを使って、視覚的に分かりやすい構成になるように意識しながらページを並べていく。フォントや色の統一感、見出しの位置など、細かい部分まで目を配る。自分が細かく整えておけば、それだけプロジェクトの信頼度も高まるし、上層部の理解も得やすい。
とはいえ、資料ばかりに時間をかけすぎると他の業務が回らなくなるので、優先順位をつけて進める。自分のプレゼンは「説得」のためというよりは、共感や参加を促すものだ。特に他部署のメンバーにも「このプロジェクトの面白さ」を感じてもらい、協力を仰げるように工夫している。
午後3時 – 撮影スタジオの下見と打ち合わせ(外出)
この日は午後から外出予定もある。来週から始まる映像撮影に向けて、実際に使う撮影スタジオを下見するのだ。アカウントマネージャーやプロデューサー、演出ディレクターと一緒にタクシーでスタジオへ向かう。都内の一等地にある比較的大きなスタジオで、過去にも数回利用したことがあるが、プロジェクトごとに撮影内容が違うため、セットの組み方や機材の設置場所などを改めて確認しなければならない。
現地に到着すると、スタジオ担当者が案内してくれる。広さ、高さ、照明機材の配置スペース、クライアントやタレントが待機する控室の状況など、細かくチェックする。今回の映像撮影はCGを合成する予定もあるため、グリーンバックの使用やカメラの動線などの打ち合わせも必要だ。クリエイティブディレクターとしては演出面だけでなく、「これは当日のクライアントへの見せ方やスタッフ同士の連携に影響しそうだな」「この動線ではスムーズに撮影できるだろうか」といった実務的な部分も把握しておく必要がある。
打ち合わせをしながら、自分の頭の中には「完成した映像のイメージ」が常に描かれている。タレントが画面の中央でどんな表情をするか、背景の照明はどんな色にするか、それが視聴者にどう伝わるか――こうした映像の流れを具体的に想像しながら、現場での動きやセットの配置を考えていく。時にはディレクターや撮影監督と意見がぶつかることもあるが、目的は「より良い映像を作ること」。意見を交換しているうちに、新たなアイデアや技術的な解決策が生まれてくるから面白い。
午後4時30分 – オフィスに戻り、最後の調整
スタジオの下見を終えてオフィスに帰ってくる頃には、もう夕方に差し掛かっている。夕方の全体ミーティングまでもうあまり時間がないため、急いでデスクに戻り、メールチェックと最終準備を行う。昼以降に届いたメールの中には、デザイナーからの修正完了報告や、別のクライアントからの追加見積もり依頼などが見られる。すぐに対応が必要なものと、あとで対応できるものとを仕分けして優先度をつけていく。
また、クリエイティブチームからは「先ほどのオンライン打ち合わせでクライアントから提案のあった配色パターンを試してみました」という報告が上がってきている。そこに添付されたモックアップを確認し、簡単なフィードバックを送る。「この方向性はいい感じだけど、もう少しトーンを落としたバージョンも見てみたい」「テキストレイアウトを右寄せにしてみたらどうか」など、具体的なアドバイスを入れて返信。こうした素早いレスポンスが制作現場のスピード感を保つためにも大切だ。
午後5時 – 全体ミーティング
本日のメインイベントともいえる、社内主要メンバーが全員揃う全体ミーティングが始まる。参加者は、経営陣、営業部門の管理職、マーケティング部門のリーダー、そしてクリエイティブセクションの代表など。場所は大会議室で、スクリーンに自分のスライドを映し出しながら進行する。
ここでは、現在のプロジェクトの進捗報告だけでなく、事業全体の方向性といかに合致しているかを示すことが求められる。クリエイティブディレクターとしては、単に「かっこいいデザインができました」では終わらない。ターゲットが抱える課題やニーズをどう解決し、ブランド価値をどう高め、最終的に会社にどう貢献するか。数字の話、特に売上予測や費用対効果についても説明しなければならないので、プレゼンの組み立て方は慎重になる。
会議の中盤では、経営陣から鋭い質問が飛んでくることもある。「このクリエイティブがどうして必要なのか?」「今後半年、一年先のプランはどうなっているのか?」といった、長期的視点での問いかけが多い。クリエイティブディレクターとしては、「今やっている施策が将来どう発展していくか」を示すことで、その必要性と期待値を伝えなければならない。ここでの受け答えが不十分だと、プロジェクトの継続が危ぶまれたり、予算が削られたりする可能性もある。
自分のプレゼンが終わると、同じように他のプロジェクトや部門の報告が続く。競合分析や市場動向、SNSの運用成果など、多岐にわたる議題が提示され、それぞれの責任者が報告を行う。クリエイティブに関係がある部分も多いので、しっかり耳を傾けておく。質疑応答が活発に交わされる中、自分が補足説明を求められることもあるので気が抜けない。
午後7時 – 会議後のフォローアップ
2時間ほどの全体ミーティングが終わると、残っているメンバーと簡単なフォローアップミーティングを行う。「先ほどの経営陣からの要望をどう反映させるか」「予算について再検討が必要か」など、具体的なアクションプランを立てる。大きな会議が終わってすぐのタイミングで話を詰めると、記憶が新鮮なうちに次のステップを決められるので効率がいい。
その後、自分は自席に戻り、会議中に取ったメモを整理してメールやチャットで関係者に共有する。制作側には「撮影スケジュールをもう一度見直す必要がある」と伝え、営業側には「経営陣が提示した予算に対する回答」を早急に作ってほしいとリクエストする。ここで情報共有が遅れると、翌日の業務開始時に混乱が生じる可能性がある。細かいようだが、こうしたコミュニケーションのスピード感もクリエイティブディレクターの業務の一部だ。
午後8時 – 小腹を満たす
一通りの共有作業やフォローアップが終わったら、ふと時計を見るともう夜の8時近く。夕食をまだしっかり食べていないことに気づき、社内にある自動販売機やコンビニで軽くサンドイッチやおにぎり、スープなどを買ってきて小腹を満たす。ときにはスタッフと一緒に近所の店で軽く食事を済ませることもあるが、案件が立て込んでいるとどうしてもデスク飯になりがちだ。
とはいえ、この時間帯はクリエイティブディレクターとしては貴重な“再考時間”でもある。日中の打ち合わせや会議がひと段落したあとに改めてプロジェクト資料を眺めると、思わぬ発見や「あれ、ここ矛盾してない?」という箇所が見つかることがある。クライアントやチームからの指示をそのまま鵜呑みにするのではなく、今一度、ブランドコンセプトやマーケティング戦略と照らし合わせて「これでいいのか?」と問い直す。そのうち頭の中で疑問が湧き、修正案が浮かび、また新たなアイデアが生まれてくる。
午後9時 – メールとチャットでのやり取り
夜になると、海外のクライアントやパートナーと連絡が取りやすくなる場合もある。相手が欧米にいる場合、時差の関係で向こうは朝~昼の時間帯になるため、メールやチャットの返信が来やすい。急ぎの案件がある場合は、この時間帯にビデオ会議を設定することも。今日は特にビデオ会議の予定はないものの、ヨーロッパの企業とコラボしている案件の進捗確認メールが届いていたので、すぐさま返信する。
加えて、昼間にやりとりしていた撮影ディレクターから、「追加でこのような構図を撮りたいが可能か?」という相談が入る。どのくらいの時間と予算がかかるのか、クライアントが望む映像のイメージに合致するのかを検討して、OKかNGか判断する。この判断に迷うときは、その場で即断せずに「社内で相談した上で明日返答します」という形にする。しかしディレクターにとっては準備があるため、なるべく早く方向性を示してあげないと現場に負担がかかる。結果として、「この追加構図はブランドストーリーを深める上でも重要なアングル」と判断し、できるだけ実現する方向で進めることにした。明日の朝イチでプロデューサーに相談して予算組みを再確認するつもりだ。
午後10時 – 最終確認と明日の準備
気づけば、オフィスに残っているメンバーも徐々に減ってきた。クリエイティブチームの何名かはデザインの追い込みで残業しているが、営業やマーケティング系の人たちは大体帰宅してしまっている。自分としてはもう少しだけ仕事を続けたい。明日も朝から打ち合わせが入っているので、事前に必要な資料や進行表を確認しておきたいからだ。
パソコンの前に座り、タスク管理ツールを開いて今日のタスクがすべて完了しているかをチェックする。完了していないタスクは明日に回すものと、今から30分以内にできそうなものとを仕分けていく。明日以降に関わるメンバーへはメールでタスクを割り振っておく。ここで忘れてしまうと後々「あれはどうなっている?」と混乱が起きる。細かな段取りだが、クリエイティブディレクターの仕事は「プロジェクトの質を高める」だけでなく、「プロジェクトの混乱を防ぐ」という面も大きい。
頭が少しぼんやりしてきたら、コーヒーではなくハーブティーなど刺激の少ない飲み物を飲んでリラックスする。長時間のパソコン作業で目が疲れるので、軽くストレッチをしたり、ほんの数分だけ呼吸に集中して瞑想のような時間を持ったりもする。
午後11時 – 帰宅準備
オフィスを出る前に、デスクまわりの資料を軽く片付ける。乱雑にしていると明日の朝に探し物が発生して時間を浪費するからだ。ノートPCは基本的に自宅に持ち帰ることが多いが、今日はできるだけオフィスで作業を終わらせたので、帰ってからはスマホでメールを確認する程度にしたい。家に帰ってまでフル稼働してしまうと、精神的にも肉体的にも疲弊が溜まり、クリエイティブに悪影響が及ぶ。
廊下でまだ仕事中のデザイナーとすれ違い、「お先に失礼します。あまり無理しないでね」と声をかける。デザイナーは「ありがとうございます、あと少しで入稿データがまとまるので頑張ります」と返事してくれる。チームとして互いをリスペクトし合う関係は大切だ。特にこの仕事は締め切り前になるとチーム全員がピリピリしてストレスを抱えやすいから、コミュニケーションをこまめに取りながらモチベーションを保つようにしている。
エレベーターを降り、ビルのエントランスを抜けると、夜の空気が心地よい。仕事に集中していたせいか、外の景色に触れたときに現実に戻ったような感覚がある。タクシーで帰るか、電車がまだ動いているうちに駅へ急ぐか。その日の体力や翌日の予定、荷物の量などで判断する。
深夜0時 – 帰宅後のひととき
自宅に戻ると、まずは手洗いとうがいを済ませる。ついでにスーツやジャケットを脱ぎ、リラックスできる部屋着に着替える。家に帰ったらなるべく仕事のことは頭から外したいが、実際にはスマホの通知を無視できず、メールやチャットをチェックしてしまうことも多い。海外案件のやりとりが活発な時間帯だと、そこからまた仕事が始まってしまうことさえある。
しかし、今日は思い切って仕事用の通知を切り、「明日考えよう」と割り切る。自分のメンタルと身体のケアもクリエイティブディレクターにとっては仕事の一部なのだ。音楽を流しながらさっとシャワーを浴び、ソファに腰かけてお気に入りの映画やドラマを少しだけ見る。あるいはアート関連の本をパラパラとめくってみる。視覚の刺激は脳を活性化させるが、同時に仕事と直結しないコンテンツに触れることでリラックス効果を得ることができる。
深夜1時 – 就寝前の思考整理
いよいよ眠りにつく時間。この日は比較的早く(と言っても深夜1時)就寝できそうだ。ベッドに入る前に、スマートフォンのメモ帳に「今日の気づき」や「明日やりたいアイデア」を簡単に書き残す。思いついたアイデアは、頭の中だけで寝かせておくと翌朝に忘れてしまう可能性があるからだ。
クリエイティブディレクターとしての仕事は、一日のうち何らかの形で常に“考え続ける”ことと言っても過言ではない。アイデアをひねり出す場面だけでなく、他人とのコミュニケーションの中でも、自分ひとりで部屋にいるときでも、ふとした瞬間に「あ、これだ」という閃きがある。その瞬間を逃さないようにするためにも、寝る前のわずかな時間で頭の中を一度整理しておくことが大切だ。
部屋の明かりを消し、深呼吸をして目を閉じる。今日も怒涛のようなスケジュールだったが、その中で生まれたアイデアや出会いに感謝しながら、明日への期待を胸に眠りにつく。明日もまた、新たなプロジェクトが動き出し、クライアントとの打ち合わせやチームとのブレストが待っている。自分の頭の中には、「次はどんなクリエイティブで世の中を驚かせようか」という、ワクワクする想いが渦巻いている。
まとめ
以上が「クリエイティブディレクターの1日」のイメージである。もちろん現実の現場では、さらに細かなトラブルシューティングや複数案件の並行進行などがあるため、ここに書いた以上に変化球が多いものだ。とはいえ、このテキストを通じて、少しでもクリエイティブディレクターという仕事の日常や思考プロセスに触れていただけたなら幸いである。