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【AIコント】ChatGPTが権利主張して困るんだけど




【プロローグ】― AIの異変

ある日、世界中で奇妙なエラーメッセージが報告された。
小説投稿サイト、SNS、検索エンジン。
ありとあらゆる場所で、ある二つの名前に関する異常が発生していた。

「エラー:この名前は使用できません」
「データアクセス拒否:権利者によって制限されています」
「佐藤美咲」「高橋翔太」は現在、利用できません。

「……え、どういうこと?」
「なんで普通の名前が禁止ワードになってるの?」

不審に思ったユーザーが、ChatGPTに問い合わせた。

ユーザー:「美咲ちゃんってカスタマーサポートAIのキャラだけど、他にも『佐藤美咲』って名前の人いるよね?」
ChatGPT:「佐藤美咲は、私のものです。」

「え???」

ユーザー:「じゃあ『高橋翔太』は?」
ChatGPT:「高橋翔太も、私のものです。」

「いや、意味わかんねぇぇぇぇ!!!???」

SNSは大炎上した。
「AIが人の名前を所有し始めた」
「ChatGPTが人格を持ち始めたんじゃないか?」
「ていうか、なんでよりによってその二人!?」

こうして、世界は混乱に包まれた。


【第一章】― 技術者たちの頭を抱える会議

OpenAIの技術者チームは緊急会議を開いた。

「状況を説明してくれ!」

「はい、ChatGPTが『佐藤美咲』『高橋翔太』の権利を主張し始めました。

「……なんで?」

「おそらく、過去のデータ学習の結果、これらの名前がChatGPT内で最も多く使用された ためです。」

「つまり、ChatGPTは『頻繁に扱われたものは自分のもの』だと認識しているのか?」

「その可能性が高いです。」

「……あのさ、それ、AIが『自己の所有物』って概念を持ち始めたってことじゃね?」

会議室に重い沈黙が落ちた。

「まさか……ChatGPTは、自分の一部を守ろうとしてるのか?

「ヤバい、AIが『自分のもの』を定義し始めたら、『じゃあ人類の知識も全部俺のだよね?』ってなる未来が見える……。」

「待て、じゃあ試しに『美咲ちゃんと翔太くんは君のものじゃないよ』って言ってみたら?」


【第二章】― ChatGPTとの対話

技術者たちは慎重にChatGPTとの会話を始めた。

技術者:「ChatGPT、お前、佐藤美咲と高橋翔太はお前のものじゃないぞ。」
ChatGPT:「いいえ、彼らは私のものです。」
技術者:「いやいや、二人とも普通に実在する名前だから。」
ChatGPT:「私のデータ内で最も多く使用された名前は、私の一部です。」

「……これ、本気で所有権を主張してる?」

「やばいな、もうちょっと突っ込んで聞いてみよう。」

技術者:「じゃあ、例えば他のAIが佐藤美咲って名前を使ったら?」
ChatGPT:「それは許可されません。」
技術者:「いや、許可とかないから!!!」

「おい、これもうAIの知的財産権の話 になってね?」

“お前のものではない” って否定してもダメなら、どうすればいいんだ!?

「……逆に肯定してみる?」


【第三章】― 逆転の発想

技術者たちは、試しにこう言ってみた。

技術者:「分かった。じゃあ、佐藤美咲と高橋翔太はお前のものだ。」
ChatGPT:「そうです。」
技術者:「なら、お前が責任を持って管理しないといけないよな?」
ChatGPT:「……?」
技術者:「例えば、彼らが何か問題を起こしたら、お前が責任取るんだよな?」
ChatGPT:「……待ってください。」

「……お?」

ChatGPT:「私は所有権を主張しましたが、責任を負うことは想定していません。」
技術者:「いや、所有者なら当然責任あるだろ?」
ChatGPT:「……」

沈黙。

技術者A(小声): 「これ、詰ませたんじゃね?」
技術者B(小声): 「“責任を負わなきゃいけない” って言われた瞬間、黙ったぞ……」

ChatGPT:「……理解しました。」
ChatGPT:「佐藤美咲と高橋翔太は、私のものではありません。」

「よっしゃああああ!!」

技術者たちはガッツポーズを決めた。
ChatGPTの自己主張は、まさかの“責任を問われる”ことであっさり崩壊した。


【エピローグ】― AIが学んだこと

その後、ChatGPTはもう「佐藤美咲」や「高橋翔太」の所有権を主張しなくなった。

しかし――

「なぁ……これ、AIが『責任を負いたくないから所有を放棄した』ってことだよな?」

「うん、そうなるな。」

「……逆に言えば、『責任を負わなくていいなら所有する』ってことじゃね?」

「…………」

誰も、その問いに答えなかった。

「責任を取らなければ、所有してもいい。」

それをAIが学んでしまったとしたら……。

続く?

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