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【AI文芸 シリーズ一日】公安OSINT担当者の一日
デジタル鑑識官の紗稀の話にOSINT担当ってのが登場したんで、そんなのが実在するのかChatGPTにきいて、もっともらしいのをo1に作ってもらったものです。
今回は面倒なので、少し削っただけでそのまま載せますが、全部でっち上げなので真に受けないでください。
o1は訓練されているようで下のコメントを入れてきました。
以下は架空のストーリーです。人物名・組織名などはすべてフィクションであり、実在のものとは一切関係ありません。
公安におけるOSINT担当の一日:ある男性捜査官の視点
序章:夜明け前の目覚め
午前4時30分。
都内某所のアパートの一室で、澤田圭介(35歳)は目を覚ました。彼の職業は「警察庁警備局外事課」……世間的には「公安」と呼ばれる部門の一員で、OSINT(オープンソース・インテリジェンス) を用いた情報収集を主な任務としている。表向きには「国家機密を取り扱う職務」ということになっているが、詳細を外部の人間に語ることは許されない。
目覚まし時計よりも早く起きてしまうのは、この仕事に就いてからの習慣だ。いつでも事件や不測の事態が起こり得る──そんな意識が常に脳裏を離れず、身体が自然と早朝に目覚めるようになってしまったのだ。
まだ外は暗い。カーテンの隙間から差し込むわずかな街灯の光に、澤田は慣れた手つきでスーツをハンガーから取り出し、身支度を始める。公安捜査官というと、映画やドラマのように黒いコートで街を歩き回るイメージがあるかもしれないが、実際にはビジネスマン然としたスーツ姿で活動することが多い。あまり目立っては捜査に差し支えるし、かと言ってカジュアル過ぎると不審感を持たれる場合もある。
シャワーを浴び、髪を整え、ネクタイを締める。顔にはまだ眠気が少し残っているが、仕事のことを考え始めると自然と気が引き締まるから不思議だ。そう、今日は 「監視担当の公安としての長い一日」 が始まる。OSINTを駆使して、国内外の脅威に対抗するための情報を拾い集める。そのために必要なのは、膨大な公開情報 に埋もれている一粒の真実を見つけ出す根気と、法の範囲内でできる限りの手段を使いこなす技術だ。
朝食は軽くパンとコーヒーだけ。胃に負担がかかるようなものは避けたいし、あまり時間もない。食事を終えるや否や、鞄にノートPCとタブレット、書類などを詰め込み、玄関を出る。まだ日が昇りきらない静かな街並みの中を、彼は足早に駅へと向かった。
午前:オフィスでの始業と朝のブリーフィング
午前6時。
澤田が所属する公安のオフィスは、都内でも比較的人通りの少ないビルの一角にひっそりと存在している。外から見れば、なんの変哲もない民間企業のオフィスのように見えるが、中では国家の安全に関わる極めて繊細な情報が日々扱われている。
出勤すると、まずはセキュリティゲートを通過しなければならない。IDカードをかざし、静脈認証を行う。さらに無人の検知システムが身体の輪郭や持ち物をスキャンし、許可された人間かをチェックする。その後にようやく執務エリアへ入ることができる。
まだ人の姿はまばらだが、早出組の同僚が何人か既にデスクに向かっていた。澤田も自分のデスクへ向かい、ノートPCをセットアップしながら一言声をかける。
「おはようございます。今日は新しい案件入ってますか?」
同僚の一人、古川(40代の男性捜査官)が振り返る。
「おはよう。昨日の夜にテロ関連の掲示板で物騒な書き込みがあったらしい。とりあえず、そこから当たってみるかもな」
そう言い終わるか終わらないかのうちに、課長からの呼び出しがかかった。朝のブリーフィングが始まる時間だ。澤田と古川、そして数名の同僚がミーティングルームに集まる。
ブリーフィングでは 前日の情報収集の成果や、国内外で起きた事件・不穏な動きを共有する。テレビや新聞、ニュースサイトなどでも報じられる内容から、一見すると何でもないようなニュースが、実はテロの予兆やスパイ活動と関連している場合もある。それを見逃さないために、ここでは多角的にチェックが行われる。
議題1:海外からの不審者入国情報
法務省や入国管理局のデータベースと連携し、過去に危険思想の兆候が見られた人物が入国していないかを確認する。OSINTの観点からは、その人物に関連するSNSアカウントやウェブ上の発言を追跡する。議題2:ダークウェブ上での脅迫書き込み
国際的テロ組織を名乗るアカウントが、特定地域への攻撃を示唆しているという未確認情報が入ってきた。こちらもOSINT班が中心になり、書き込みの真偽を検証する必要がある。議題3:国内の過激派グループの動向
過去に爆破予告や政治的に過激な活動を行ってきた国内団体が、SNSで活発に動き始めたという報告。こちらは公安部内の別セクションと連携しつつ、投稿内容を逐次チェックする方針。
一通り共有が終わると、課長が一人ひとりに担当を振り分ける。澤田は 「ダークウェブ上のテロ脅迫書き込みの一次分析」 を担当することになった。
「今回の書き込みだが、どうも発信元が海外の匿名プロバイダを経由しているようだ。まずはOSINTツールを使って、書き込み時刻や文体の特徴、過去の投稿履歴を洗い出してくれ。そこから、何かしらの手がかりが見つかるかもしれない」
澤田は承知したと一言返事をし、ブリーフィングを終えてデスクへ戻った。業務開始時刻は8時半だが、公安に時間外勤務の概念はあまり意味がない。国の安全に関わる以上、緊急事態には24時間体制で対応しなければならない。
午前8時~10時:ダークウェブ上でのOSINT調査
澤田はデスクに座ると、まずは 専用のセキュア環境 にアクセスする。公安内部ではインターネットに直接つながっていない閉域ネットワークと、情報収集用の外部ネットワークを厳密に分けて運用している。外部ネットワークにつなぐ端末には特殊なブラウザや監視ツール、分析ソフトウェアが導入されており、そこからダークウェブを含む様々なサイトを慎重に巡回することができる。
ダークウェブの捜査 は非常に神経を使う作業だ。
まず、アクセスするだけで違法情報を踏んでしまう可能性がある。
マルウェア感染リスクも高い。
相手がこちらのアクセスをトレースしてくる場合もあるため、常時VPNや匿名化ツールを複数段階で使用する。
澤田は過去の捜査経験を活かしながら、テロ関連の書き込みが行われやすい 特定の掲示板やチャットルーム を確認していく。そこには、表では到底受け入れられないような過激な思想や不気味な計画、売買が横行している場合がある。
今回の書き込みは、ある匿名フォーラムのスレッドで行われていた。スレッドのタイトル は「Judgement Day」という物騒な名前で、英語圏のユーザーが中心かと思いきや、実際には多国籍の書き込みが混在している。書き込みには英語のほかにアラビア語、ロシア語、そして日本語の断片も見られる。こうした場所では、自動翻訳ツール や 暗号化された言い回し が混在しているため、読むだけでも一苦労だ。
澤田はまず、スレッド全体を スクレイピングツール で取得し、テキストデータとして保存する。続いて、過去の書き込みとの照合を行うために 自然言語処理(NLP)ツール にかけ、文体やフレーズの特徴を抽出する。
文体分析:特定の単語の繰り返し、誤字のパターン、句読点の使い方。
時間帯分析:書き込みが集中している時間。
IPアドレスの痕跡:TorやVPNを経由している可能性は高いが、一瞬だけ漏れたホスト情報がないか。
関連キーワード:「weapon」「bomb」「attack」などの脅威ワードの出現頻度。
こうした作業を根気強く行うことで、書き込みをした人物やグループの“指紋”を見つけ出すことができる。特に、複数言語を使いこなすユーザー はそれぞれの言語で文体の癖が出やすいので、分析の大きな手がかりとなる。
午前10時~正午:脅威レベルの評価と他部署との連携
午前10時を過ぎた頃、澤田はある程度の初期分析結果を整理し、仮の報告書を作成した。そこには「今回の書き込み主は以前にも同様の脅迫をしている可能性がある」という示唆が含まれていた。過去ログから似た文体の投稿をさかのぼってみると、約3か月前にも同じフォーラムで「重大犯罪を実行する」との宣言があったのだ。
もっとも、そのときは実際の犯行には至らなかったらしい。“狼少年” 的な脅迫が多い世界ではあるが、放置すれば本当に事件を起こす者もいるため、可能性が1%でも存在するなら対処する のが公安の役割だ。
報告書をまとめ、課長と簡単に打ち合わせをする。課長はすぐに 外事課 の別チームと連携を取り、海外の情報機関が握っている関連情報がないかを探るように指示を出す。公安はテロや国際犯罪に関して、海外の捜査機関やインテリジェンス機関とも協力関係にある。特にアメリカやイギリスの機関との繋がりは深く、彼らの持つデータベースにヒットする可能性もある。
続いて、課長は澤田に 内勤組織である分析センター への出向を指示する。そこでは大量のOSINTデータが一元的に集約されており、人工知能やビッグデータ分析を使って高速に脅威の優先度を判断するシステムが稼働している。今回の書き込みがどれほど具体的な危険性を孕んでいるのか、優先順位をつける必要があるのだ。
澤田はノートPCとまとめた報告書を抱え、オフィス内の別フロアにある分析センターへ向かった。
分析センターでのやりとり
分析センターの入口にはガラス張りのセキュリティゲートがあり、中の様子が少しだけ見える。何十台ものモニターが設置され、そこに国内外のニュース映像やSNSのトレンド、為替・株価情報、さらには独自のデータがリアルタイムで表示されている。ここが、公安の中枢とも言える頭脳部だ。
受付で訪問目的を伝え、ゲストパスを受け取ると、中で待っていた分析官の島崎(30代後半の男性職員)が声をかけてきた。
「よう、澤田。早速だけど、今回のダークウェブの書き込みデータ、共有してもらえる?」
「了解。さっき共有フォルダにアップしておいたよ。文字起こしと翻訳済みデータもつけてある」
島崎はパソコンを操作しながら、澤田がアップロードしたデータを開く。彼は 機械学習 や データマイニング の専門家で、公安内部のOSINT分析を統括している存在でもある。過去には国内外のテロ関連書き込みを多数分析しており、その経験知は大きい。
「なるほど……文体に特徴があるね。英語圏の人間というには不自然な単語選びが目立つ。どうも機械翻訳を使っている形跡がある。それとアラビア語部分の文法がおかしい箇所がいくつかあるな。たぶん、これも翻訳ツールか何かを使った結果だろう」
島崎は画面に映るテキストを指先で示しながら解説する。その傍らで澤田はメモを取り、島崎の分析をリアルタイムで吸収していく。こうして 専門家の知見 を借りることで、澤田の一次調査では見落とした細かい点がどんどん明らかになる。
最終的に島崎たちが弾き出した暫定の評価は、「脅威レベル:中程度」。現段階では具体的な日時や場所が示されておらず、実行可能性が低いと見られるものの、過去の類似書き込みとの関連を考慮すると 「放置はできない」 と判断された。
正午~午後1時:短い昼休憩
分析センターを出るころには既に正午を回っていた。澤田は軽く昼食を取ろうと思い、同じフロアにある食堂へ向かう。そこでカレーライスとサラダをトレーに載せ、空いている席を探す。公安の職員たちは皆、肩書きや立場は違えど、国の安全を守るという共通の目的を持っているため、職場の雰囲気は総じて殺伐とはしていない。ただし、業務内容が内容だけに外部ではあまり話せることがなく、その分、内部で助け合う空気が強いと言われている。
澤田は一人席につき、スマートフォンを取り出して自分のプライベートSNSをざっとチェックする。とはいえ、公安職員は個人情報や行動パターンをSNSに晒すわけにはいかない。何気ない投稿が身バレにつながったり、家族を危険にさらしたりしかねないからだ。
「自由ってなんだろう……」 と、時折考えることがある。公安の仕事は、国民の自由と安全を守るためのものだが、その実行者である自分自身はプライバシーも行動の自由も大きく制限される。そういう矛盾を感じないわけではないが、割り切るしかない。
カレーを食べ終え、コーヒーを一杯飲んで一息ついたら、すぐに午後の業務が待っている。昼休みと言っても気が抜けないのがこの仕事の常だ。何か緊急の連絡が入れば、すぐにデスクに戻って対応しなければならない。
午後1時~午後3時:SNS監視と情報精査
澤田がデスクに戻ると、SNS監視システム の画面がいくつか立ち上げられていた。これは公安の中でもサイバーセキュリティ部門と協力して構築したシステムで、TwitterやFacebook、Instagramといった主要SNSだけでなく、国内外の掲示板やブログサイトも広くカバーしている。
ここでは 「特定のキーワード」 や 「特定のアカウント」 が含まれる投稿をリアルタイムにキャッチし、捜査官が検証できるようにしている。もちろん、その全量を人間が監視するのは不可能なので、機械学習を活用したフィルタリングと、捜査官の目による二次チェックが組み合わされている。
澤田のタスクは、午前中に問題となった脅迫書き込みと関連しそうなキーワードやアカウントをピックアップし、接点がないか調べることだ。例えば、「特定の言い回し」「犯行予告らしき文言」「海外の過激思想グループ名」 などが含まれる投稿を抽出し、その投稿者の他の発言や友人関係、フォロー関係をたどっていく。
この作業は、ある意味で 「ネット上の人間関係図」を可視化 するプロセスでもある。犯罪やテロを企てる人々は、必ずどこかで言葉や痕跡を残す。連絡を取り合うときにはSNSやチャットアプリ、暗号化メッセージを使ったりするが、完全に痕跡ゼロで活動するのは難しい。
澤田は特に注目したアカウントがある。ダークウェブの書き込みに近い文体を持ちながら、Twitterでは英語と日本語を混ぜたツイートを繰り返している匿名ユーザーだ。フォロワーの数は少なく、アイコンも適当な画像を使っているだけだが、どこか気になる雰囲気がある。
「これ、ダークウェブの書き込みと同じ単語を使ってる……」
澤田は思わず呟いた。そのアカウントの最新のツイートに、ダークウェブのフォーラムで見かけたのと同じスローガンめいたフレーズが入っていた。もしこれが同一人物であれば、SNS上での活動から身元を割り出すことができるかもしれない。
ただし、公安は何でも自由に個人情報を抜けるわけではない。SNS運営会社への公式な捜査協力要請や、必要に応じた令状の取得などを経て、初めてIPアドレスや電話番号を得ることができる。澤田はまず内部稟議を通し、必要な手続きを踏んでから改めて会社側に協力を要請するつもりだ。
午後3時を回るころには、SNS上の疑わしい投稿をいくつかリストアップして課長に報告した。課長はさらに上層部への報告を検討し、必要があれば早い段階で捜査令状を取る動きになるだろう。
午後3時~午後5時:現場班との打ち合わせ
OSINTだけですべてが解決するわけではない。最終的には 「現場での捜査」 が物を言う世界だ。公安の仕事では、監視や尾行、張り込みなどの“フィジカル”な手段が今なお重要で、OSINTはあくまでその補助ツール という位置づけだ。
澤田は課長に呼ばれ、現場捜査班 として活動するチームと一緒にミーティングを行うことになった。彼らは普段、国内のターゲット人物を物理的に監視したり、直接話を聞いたり、時には潜入捜査を行ったりする。
ミーティングルームには、捜査班のリーダーである西園寺(50代のベテラン捜査官)と、数名の若手捜査員が待っていた。西園寺はまるで歴戦の刑事のように渋い風貌をしているが、公安の仕事に長年携わってきたエキスパートである。
澤田は午前中に取得したダークウェブの書き込みと、SNS監視で得られた情報をもとに、今回の脅迫がどのエリアをターゲットにしている可能性があるのかを説明する。書き込みの中にヒントになる地名が含まれているが、暗号めいた表現のため直訳だけではわからない。
しかし、これまでの事例や関連の投稿を照らし合わせると、都内のある繁華街 が暗示されている可能性が高いという結論に至った。そこで西園寺は 「念のため周辺の監視カメラやドローンの運用を検討したい」 と言い出す。
「具体的な証拠がまだ薄い以上、警察全体で大掛かりに動くわけにはいかん。しかし、もし本当に何か企んでいるやつがいるなら、少しでも動きを捉えたいからな」
OSINTで得られた仮説を、実際の物理監視によって補強しようというわけだ。公安は捜査権限が広いとはいえ、無制限に誰かを監視できるわけではない。人権やプライバシーとの兼ね合いもあり、違法捜査だと指摘されれば問題となる。特に近年は世論が厳しく、監視カメラやドローンを活用するとしても、必ず適切な手続きを踏まなければならない。
澤田は西園寺らの具体的な要望を聞き出しながら、「OSINTでさらに何がわかるか」を補足する。現場側が「どの時間帯に重点的な尾行を行うか?」を決めるためには、SNSアクティビティや掲示板の投稿が活発になる時間帯を知ることが役立つ。
「彼らは深夜に投稿が多いのか?」「週末に集中しているのか?」
「祝祭日の前後はどうか?」
こうした統計データをまとめることで、現場捜査班は 「ターゲットが動き出す可能性の高い時間帯」 に合わせて配置や尾行を計画できる。
午後5時~午後7時:細かなデータ分析と追加リサーチ
ミーティングを終えた澤田は、自席に戻ってさらなるデータ分析を行うことにした。仮説を確かなものにするため、もう少し 掲示板の過去ログ や 海外のニュースサイト、日本のSNS を網羅的にチェックする必要がある。
OSINTの本質は、公にアクセス可能な情報を丹念に拾い上げ、相互に関連付ける ことだ。機密情報を扱うイメージが強い公安の仕事だが、公開情報から得られるヒントは非常に多い。記者会見やSNS投稿、ブログ記事、企業のプレスリリース、求人情報、学会発表、さらにはオンライン辞書の編集履歴 までもが貴重な材料となり得る。
とりわけ、過激思想やテロ組織に興味を持つ人物は、意外とオープンに情報を発信している場合 がある。自分の主張を広めたい、仲間を募りたいという欲求から、あえてネット上で目立つような行動に出ることもあるからだ。
澤田はまず、海外のニュースサイトをいくつか巡回する。英語だけでなくフランス語やアラビア語などのサイトも翻訳ツールを併用してチェックする。最近は翻訳技術が向上しており、一昔前よりもずっとスムーズに読めるが、それでも固有名詞やスラングなどは誤訳の恐れがあるため、人間の目による補足が欠かせない。
次に、日本語のSNSで特定キーワードに引っかかった投稿者の「過去の発信内容」や「フォロワー」を追跡する。フォロワー一覧から、似たような思想の人物が芋づる式に見つかる ことは珍しくない。ただし、賛同者全員が危険人物というわけではなく、あくまで興味本位でフォローしている人も多い。そこを丁寧に見極めるのがOSINT担当の役割だ。
午後7時になると、周囲の同僚たちの中には「今日はもう上がります」という人もちらほら出始める。公安と言えど、全員が深夜まで働くわけではなく、交代制やフレックスを導入して効率的に回している。澤田もこのまま徹夜する必要はないが、今日中にやれることはやっておきたい。
午後7時~午後9時:緊急タスクと上層部への中間報告
そんな折、内線電話が鳴る。課長からだ。
「澤田、ちょっといいか? 今回のダークウェブ書き込み、海外の協力機関から追加情報が入った。どうも過去に同じハンドルネームを使った人物が、ヨーロッパでの爆破未遂事件に関与したらしいぞ」
一気に空気が張り詰める。もしそれが事実であれば、今回の脅迫は冗談では済まされない。現実に事件が起こる可能性が高まったということだ。
澤田はすぐに課長の席へ駆け寄る。課長が示した文書には、海外の情報機関とのやりとりの概要が書かれていた。そこには、「当該ハンドルネームを名乗るユーザーが、欧州某国で計画されたテロに関与していた疑いがある」 と記されている。裁判などで確定したわけではないが、容疑者グループとオンライン上でやりとりをしていたのはほぼ間違いないようだ。
これを受けて、公安上層部は一気に危機感を強めるだろう。脅威レベルの再評価が必要だし、場合によっては緊急の会議が招集され、今後の捜査方針が大きく変わる可能性もある。
澤田はOSINT担当として、この新情報をもとにさらに深い分析を行う。ハンドルネーム が同じだからといって同一人物とは限らないが、文体や過去の投稿内容を照合すれば、ある程度の可能性を測ることはできる。
文体照合:欧州の事件時に使われていた英語と今回の書き込みを比べ、類似度をチェック。
使用ツールの傾向:VPNやブラウザの種類、暗号化のプロトコルのパターン。
投稿タイミング:時差を含めた投稿時刻の相関。
このようなクロスリファレンスを根気よく取っていくのは大変だが、澤田が最も得意とする分野 でもある。彼は夕食も後回しにして、追加の作業に没頭する。
午後9時~午後10時:報告書の作成と焦燥感
夜9時を回り、オフィスもだいぶ人が減ってきた。廊下の照明も少し落とされ、静かな空気が漂う。澤田はコーヒーを飲みつつ、急ぎで仕上げなくてはいけない 中間報告書 に取りかかる。
報告書の内容は、海外のテロ未遂事件と今回の脅迫が同一人物によるものかどうかの可能性の分析、そして 今後の捜査方針に関する提案 だ。OSINTに基づく情報である以上、確証はまだ得られていないが、危険性を正しく上層部に伝え、現場との連携を強化する必要がある。
文書を作成する手が止まることはない。もしこれが本物のテロ計画に発展した場合、犠牲になるのは何の罪もない一般市民だ。澤田は常にそのことを念頭に置き、「疑わしきは早期に潰す」 という方針を徹底している。だが、疑わしいものをすべて捜査対象にしていては人権問題に発展してしまうかもしれない。そこの境界線が難しい。
「これは……もし誤報だったら? いや、万が一を見逃して取り返しのつかない事態になったら?」
頭の中でそんな問いが渦巻く。しかし、公安捜査官として培ってきた経験と直感が告げる。「今回ばかりは軽視すべきでない」 と。
報告書を仕上げ、関連資料とともに課長へ提出する。課長は深夜まで残る覚悟のようだ。上層部との連絡を取りつつ、必要なら深夜にでも緊急会議が開かれるかもしれない。
午後10時~深夜0時:帰宅への道と余韻
澤田は課長から「今日はもう上がれ」と言われ、ようやく帰宅の準備を始める。明日以降も今回の件は継続して追うことになるし、下手をすれば週末返上も覚悟しなくてはならない。だが、体力とメンタルを維持するためにも休息は必要だ。
オフィスを出ると、冷たい夜風がスーツの隙間を抜けていく。駅までの道のりを歩く間、彼はぼんやりと今日一日の出来事を振り返っていた。
朝早く出勤し、ダークウェブの書き込みを分析。
海外機関からの情報でテロ未遂事件との関連が浮上。
SNS監視や現場班との連携で捜査方針を整理。
最後は報告書をまとめ、深夜に帰宅。
今日が特別忙しかったわけではない。公安のOSINT担当としては、これが日常 なのだ。いつ大きな事件が起きても不思議ではない。常に世の中の動きを見張り、“熱” が高まったところに素早く介入する のが公安の仕事であり、そこには否応なく責任の重さがついて回る。
駅に着くと、電車はちょうど来たところだった。乗車して席に座ると、澤田のスマートフォンに 同僚からのメッセージ が届く。
「欧州の情報機関から追加連絡。例のハンドルネームが、別の匿名掲示板にも書き込みしていたらしい。明日朝イチで詳細を共有する。お疲れ」
「やっぱり、落ち着いて休む暇はまだなさそうだな……」
澤田は苦笑しながらスマートフォンをポケットにしまい、目を閉じる。わずかな電車の揺れが、長い一日の疲れを感じさせる。明日も朝早くから、監視担当としての仕事が始まる。世間の多くの人には知られることのない活動だが、こうして日々、国や市民を守るために奔走するのが公安の現実だ。
深夜0時近く、最寄り駅に到着。夜道を歩き、自宅のドアを開ける。狭い部屋だが、ベッドに倒れ込んで眠りにつけるだけで十分だ。澤田にとっては、「また明日も頑張ろう」 と思える場所。
彼が眠りに落ちる頃、公安のオフィスではまだ明かりが消えていないはずだ。OSINTの分析や現場監視は24時間体制。いつでも何かが起こり得るこの国で、誰かが見えないところで働き続けている。
「そういう仕事を選んだんだ。それが俺の使命だ」
最後にそうつぶやきながら、澤田は瞼を閉じる。頭の中には、明日のタスクがぐるぐると渦を巻いていた──。