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幽冥-01

今回のお題はドローンではなかったのですが、いつの間にか完全自律型ドローンが主役になってしまいました。
なかなかもっともらしいネタなので上手くすれば本格近未来軍事サスペンスが書けそうですが、o3なら設定を投げれば一発で長編に仕上げてくれるんでしょうか?
今回タイトルは深く考えずにChatGPTが付けたドローンの名前です。



深夜2時、日本海の上空。最新鋭の完全自律型ドローン「幽冥-01」が音もなく滑るように飛行していた。この任務は、国家の存亡に関わると言っても過言ではない。標的は某独裁国家の核関連施設。極秘任務ゆえ、失敗は許されない――存在そのものが否定されるからだ。

「幽冥-01、目標座標に接近中。」
防衛省技術研究本部の特設指令室で、三島1等空佐がモニター越しに冷たい目でその動きを見つめる。

完全自律型AIに制御されたドローンの運用は、今回が初の実戦投入だった。表向き、日本はこのような攻撃的兵器を保有していない。しかし、裏では国際的な緊張感に押される形で、AI兵器開発を進めていた。


02:15 - 目標捕捉

「目標地点を確認しました。熱シグネチャと衛星データの一致率は96.4%です」
指令室のAIモニタリングシステムが報告する。三島は眉をひそめた。96.4%。彼の感覚では低すぎる数値だった。

「AIの判断を信じるしかありません。介入はできません」隣に座る防衛省技術研究本部の藤原主任が呟いた。

02:20
「攻撃準備完了。ミサイル発射までカウントダウン開始、60秒。」
幽冥-01のAIは、攻撃座標を厳密に計算しながら、完璧な軌道を導き出そうとしていた。指令室の大型スクリーンには、目標施設の映像が映し出されている。その上に重なる攻撃予測の赤いマーカー。三島は眉を寄せてモニターを凝視していた。

「成功率92.1%か…まだ低い。」
つぶやきながら、彼はAIの判断を疑問視する。これほど精密な技術でも誤差は生じる。彼はそれを直感で知っていた。

「三島空佐、これ以上の精度向上は期待できません。AIに任せましょう」
藤原主任が冷静な口調で言う。しかし、三島はモニターに現れたデータに違和感を覚えた。


02:20:30
「待て、熱シグネチャが不安定だ。」
三島が声を上げる。施設付近の温度データが微妙に揺らいでいる。それは雪の反射光と風速の影響で、誤認が発生している可能性を示していた。

「このデータの偏差を確認しろ!」
彼の指示に応じ、分析オペレーターが手元のコンソールを叩く。

「偏差0.002度の累積があります。誤差は5メートル以内に収まるはずですが…」
「収まるはず、では済まない!」三島はデータ画面を指し示した。「その5メートルが命取りになる!」

藤原は冷たい汗を拭いながら、画面をじっと見つめる。彼の設計したAIは、すべての状況に対応できる「はず」だった。しかし、今ここで露呈したわずかな不完全性が、致命的な結果を招く恐れがあった。


02:20:45
「攻撃まで15秒…」AIの冷たい音声が告げる。

「三島空佐!」藤原が叫ぶ。「発射を中止するには人間が干渉するしかありません!」
「停止コードを送ると作戦そのものが失敗だ」
三島は歯を食いしばる。時間はわずかだ。もし停止コードを送れば、攻撃の中止だけでなく幽冥-01が敵に撃墜される可能性も高まる。それでも、この誤差が引き起こす結果を見逃すことはできない。

「10秒…9秒…」
カウントダウンの声が、指令室全体に緊張を走らせる。


02:20:55
三島が息を呑む。目標施設が赤く光るマーカーに覆われるが、明らかにそれが中心から外れている。

「これは…!」藤原が声を詰まらせた。「攻撃座標が施設の南端にずれている!地下施設に届かない!」
「停止コードを送信…いや、間に合わない。」三島の手は止まる。


02:21:00 - ミサイル発射
「発射」
幽冥-01のAIは冷徹に判断を下し、ミサイルを放つ。音速を超える速度で標的に向かう弾頭が、指令室のモニターに描かれる。赤いラインは目標地点にまっすぐ向かっていたはずだった。

だが、数秒後に訪れた映像は、全員の予想を裏切った。


02:21:05 - 着弾
爆発の閃光が、モニターを一瞬白く染める。しかし、その衝撃波が広がったのは、目標施設から5メートル以上外れた地点だった。雪原がえぐれ、吹き飛んだ雪が粉塵となって空に舞う。

「目標未破壊」
AIログが冷淡に告げる。画面の目標マーカーは健在だった。

「ダメだ…地下施設には届いていない」三島は呟き、拳を握りしめた。

「攻撃は失敗です」藤原の声はかすれていた。


02:21:30 - 余波
「敵がこちらを察知した可能性があります」オペレーターが震える声で報告する。「敵の防空レーダーがこちらをロックオン中」

三島は目を閉じ、短い沈黙の後に命じた。「幽冥-01、帰還ルートを指示。全データを即時削除」
「了解」AIが応答するが、誰もその声に安堵しなかった。

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