【AI文学】機械の呼吸
noteにあったAIを使って書いた、という日記をネタにして、ChatGPTに小説として展開してもらったものです。
杉田浩一が工場に勤め始めて20年が経つ。古びた製造ラインは何度も止まり、そのたびに修理され、再び動き出した。今日は、月に一度のメンテナンスの日だった。
「浩一さん、次はどれからやりましょう？」
声をかけてきたのは新人の三浦綾乃だった。配属されてまだ2ヶ月。少しぎこちない手つきだが、覚えは早い。彼女は真剣な眼差しを浩一に向けている。
「まずはエアコンのフィルターだ。さっき見たら、かなり詰まってた」
「分かりました！」
明るい声が返ってくる。浩一は無言で頷き、工具を手にした。
フィルターを取り外すと、思った以上に汚れていた。粉状の原材料とホコリがぎっしりと絡みつき、風通しを完全に塞いでいる。
「うわ、これ……すごいですね」
「ああ、1ヶ月しか経ってないのにな」
綾乃がフィルターを持ち上げた瞬間、白い粉がふわりと舞い上がった。それを見た彼女が鼻をつまみ、小さく咳き込む。
「こんな空気を毎日吸ってるんですね、私たち」
「慣れれば気にならないさ」
そう言った浩一の言葉は、彼女には響かなかったらしい。綾乃の顔はどこか曇ったままだ。彼女がいつか、この匂いや空気に無関心になる日は来るのだろうか――そんなことを浩一はぼんやりと思った。
包装機の前に立つと、綾乃が戸惑ったように言った。
「この機械、古そうですね。いつから使ってるんですか？」
「平成初期だな。30年以上前だ」
驚いた顔をする綾乃に、浩一は少しだけ笑った。
「そろそろ寿命だろうな。でも、こういうのは壊れてからが本番だ。今まで何度も直してきた」
「でも、いつかは動かなくなるんですよね？」
「そりゃそうだ。でも、その『いつか』を延ばすのが俺たちの仕事だ」
浩一は工具を握り、古びたネジを緩めていく。手が止まらないうちに、ふと昔のことを思い出していた。
「浩一さんって、どうしてこの仕事を選んだんですか？」
唐突な質問に、浩一は作業の手を止めた。過去のことを聞かれるのは、少しばかり照れくさい。彼は無造作に、昔の同僚のことを思い出して口を開いた。
「俺がこの仕事に就いた頃にな、一人の先輩がいたんだ。腕は一流で、無口な人だったけど、誰からも頼られてた」
「かっこいいですね。その人、まだこの工場にいるんですか？」
「いや、辞めたよ。理由も告げずにな」
綾乃は眉をひそめた。その反応が、浩一には少しだけ嬉しかった。
「ある日、先輩が置いていった工具箱を開けたら、中に手書きのノートがあったんだ。何を直したのか、どんなふうに直したのか、全部細かく書いてあった」
「……そんな人がいたんですね」
「ああ。あのノートを見たとき、俺は初めて思ったんだ。仕事は単に機械を直すだけじゃないって」
浩一はふと工具を置いた。
「それ以来、俺も何かを残せるような仕事をしたいと思うようになったんだ」
作業が終わる頃、工場は静寂に包まれていた。ピカピカになったフィルターを見ながら、綾乃がぽつりとつぶやく。
「なんだか、機械にも呼吸があるみたいですね」
「呼吸か。そんなふうに考えたことはなかったな」
彼女の言葉に少し驚きながらも、浩一は静かに笑った。確かにそうだ。メンテナンスを終えた機械たちは、再び命を吹き込まれたかのように静かに佇んでいる。
「浩一さん、私、もう少し頑張ってみます」
「そうか。それならいい」
短いやり取りだったが、彼女の声には確かな決意が感じられた。浩一はそんな彼女の姿を見送りながら、機械たちの無言の呼吸を感じていた。
機械も人も、誰かが手をかけなければ動かない。それでも、手をかけ続ければ、きっとその先には何かがある――浩一はそんな思いを胸に、再び工具を片付け始めた。