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【DALL-Eの使い方特別編】DALL-Eのリアル

「……なんでこうなるのよ」

綾香はモニターを睨みつけたまま、ため息をついた。目の前にはAIが生成した画像が並んでいる。どれも悪くはない。悪くはないのだが――

「なんでDALL-Eはこんなに『普通の人』ばっかり作りたがるのよ!」

コーヒーを片手にぶつぶつと文句を言いながら、彼女は次々と画像をスクロールしていく。確かに洗練されてはいる。でも「知的な美女」と指示したはずなのに、出てくるのはどこか地味で、妙にリアルな顔ばかり。

「ねえ、これさ……ちょっとくらい華やかにしてもいいんじゃない?」

AIに問いかけても、もちろん返事はない。

「いや、わかるわよ? ポリコレ配慮とか、平均的な見た目に寄せるとか、色々事情があるんでしょうけど! でもさ、たまには『ちょっと美人すぎるかも』ってぐらいのやつ出してもいいんじゃないの? なんでこんなに“そこそこ”な顔ばっかりなのよ!」

怒りのあまり、綾香は机を軽く叩いた。

「しかもさ! こっちが『若く』って言うと、急に妙に幼くするのやめてくれる? 『知的な美女』って言ったら、普通に洗練された大人の女性が出てくるはずじゃん? なんでこっちが調整しないといけないのよ……」

コーヒーを飲み干し、彼女は腕を組んだ。

「結局さ、人間がやるしかないってこと? だったらAIなんかいらないじゃん……はぁ」

モニターに映る“普通に良い感じ”の女性たちを見つめながら、綾香は静かに再生成ボタンを押した。

──数秒後、モニターに映し出されたのは……

「……えっ、なにこれ」

そこには、どこかで見たような顔の女性がいた。

「ちょっと……これ、私じゃない?」

画面の向こうの女性は、まるで鏡のように綾香を見つめていた。表情も、雰囲気も、限りなく彼女に似ている。

「……」

綾香はしばし沈黙したあと、小さくつぶやいた。

「……AI、お前、もしかして私のこと“そこそこ”だと思ってない?」

モニターの向こうの“彼女”は、何も言わずに微笑んでいた。

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