高額コト消費が日本に定着する条件
豪華クルーズの旅を満喫したいのはヤマヤマですが、私には豪華クルーズを楽しめるだけの貯蓄や余暇、そして心の余裕がありません。旅から戻ってきたら、私の仕事は別の誰かに取られてしまっている気がします。
高額コト消費の主役はやはり富裕層です。私だって100億円くらいの資産があれば、ただちに休暇を取って横浜港から「飛鳥2」に乗り込みます。
もっとも、資産から得られる収入が減り続けていたり、その結果として資産価値が目減りする場合は、富裕層といえども、あまり豪華クルーズに乗ろうという気分にはならないでしょう。保有している資産が安定した収入を生み、その結果として資産価格が値下がりしにくい状況になって初めて、豪華クルーズやホテルのスイートルームなどの「高額コト消費」が継続的に伸びてゆくことになると思います。
日本では現在、年2%の物価上昇が望ましいとして、各種の政策が運営されています。2%は高すぎるという識者は少なからず存在しますが、それでも1%程度の物価上昇率が妥当という見方が多数を占めています。資産から得られる収益の平均的な増加率が、少なくとも物価上昇率を上回らなければ、わざわざ高いお金と税金と値下がりリスクを負担してまで、不動産や株式等を保有する意味がありません。物価連動国債に移したほうがマシです。高額コト消費が日本経済に定着するためには、物価上昇率を上回る資産の収益性と、収益と整合的な資産価格の上昇が欠かせないように思います。
そんなことを言っていると、資産を持っていない私は、いつまで経っても豪華クルーズを楽しむことができません。富裕層が株式や不動産などを手の届かない価格帯に押し上げるのみならず、豪華クルーズの料金をも吊り上げてしまうかもしれません。仕方ないので、カーシェアで高級輸入車を短時間体験することで満足したいと思います。それも決して安くはないので、小口の金融資産で身の丈に合った資産効果を期待したいと思います。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34089160T10C18A8MM0000/
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