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コンビーフのコンってなに?

 会社の先輩と岡山に出張に行った帰り、その日は遅かったので「夜ご飯食べて帰ろうか」ということになった。
メニュー表を一緒に見ていると「コンビーフ」という文字が目に入り、思わず言ってしまった。

「え、てかコンビーフの”コン”って、何ですかね?」

 すると先輩は「知らないよ笑。そんなことどーでもいいよ!笑」と言った。ただそれだけのことなのに、私はひどくショックを受け、その夜はもう遅かったというのに、帰路についてすぐ友達に縋りつくように話をした。

 その先輩は職場の中でもよく雑談を振ってくれる先輩で、つい長話をしてしまう時もある。話しやすく、親しみやすい人だ。その人に会うことだけを希望に通勤した日が何十日もある(恋愛的な好意はない)。
 そんな先輩だからこそ、この職場で数少ない好きな先輩だったからこそ、コンビーフのコンに疑問を持ったことを一蹴された時は絶望した。

 ちなみにコンビーフの”コン”、とは結局...調べてみた。
コンビーフ=corned beefで、cornedは「塩漬けにする」という意味、beefはご存知「牛肉」である。cornはあのトウモロコシのコーンで、じゃあ次は何故それが「塩漬けにする」という意味になるのか、さらに調べてみた。
・塩漬けに使用していた塩が、コーン(トウモロコシ)の粒のような粗塩だったから
諸説あるようだが、この説が囁かれている。それでコン(コーン)なのか!!!!!
いやーー先輩、これ興味深くないですか???



 そんなコンビーフ先輩だけど、素敵なところが沢山ある。全部書いていたら物凄い文量になってしまうので、最近あったことを1つだけ記録しておこと思う。

 私がお客様にメールをする際、ここはもっと詳しく書いた方が親切かな、でも簡潔に...いや、逆に読みにくいかな。などと考えて迷ったので、コンビーフ先輩に相談した時があった。すると、簡潔に伝えるため、それまで私が打っていたメール文を大幅にカットすることとなった。
 私はこのメール分を簡潔にしたいけれど削りどころが分からなくなっていたので、他人から見て必要・不必要な箇所を取捨選択をしてもらえるのは有り難かった。

 それが終わって5分くらい経って先輩が席に戻ってきた。「あの、さっきのメール、お客様にきちんと伝えたい!とか分かってもらいたい!って気持ちは、とっても大事だからね!?」と言ってきた。どうやら、一生懸命考えて打った文章を他人の手によって一気に消されて、ショックを受けていないか心配になったようだった。

 5分経ってから思い返すようにそんな配慮をしてくれたこと自体とっても素敵だと感動した。
「えっ、ご丁寧にありがとうございます!?でも私、全くショック受けてないですよ?むしろ有難かったです!」と言うと、「いやぁでも...きっとお客様に丁寧に伝えたい思いはあったじゃない。その気持ちごと俺があのDeleteで無碍にしていたらと思うと...」とごにょごにょしている。うーんやっぱり、配慮が素敵だなぁ。しかし私が更に感動したのは、ここからだった。

 「宮崎さん、お昼休憩にたまに本読んでるでしょ?前聞いた時、よく読むのはエッセイか小説って言ってたじゃん。俺は本を読まないからあまり分からないけど、自分の書く文章ってなんとなく、自分の読んでいるものに影響されるところあると思うんだよ。ビジネス書とかをよく読む人が書く文章は、どちらかと言うと端的な文章というか。良く言えば簡潔で分かりやすい。悪く言えば淡泊な印象。どちらが良いという訳でもないんだけど、俺も、本は読まないけど話は長いから、文章長くなっちゃうんだよね~~~。良く言えば詳しく把握できるし、思いが伝わる。悪く言えば、長くて一見分かりにくい。エッセイや小説をよく読む宮崎さんは、だからあんなに思いのこもった文章を書いていたんじゃないかなって。そこを無碍にするようなことはしたくなくて」


 びっくりした。最初の、5分後の配慮に感動していたけれど、これを言われた時は流石にグラッときた。
私はこの件まで、本当に本の続きを読むのが我慢できない時だけ、お昼にデスクで読書をしていた。可能であればデスクではなく、外に出て読んでいた。今となっては「なにを隠れる必要があるのか」と思うが、なぜか、デスクで、皆の前で本を読むことが、その当時は出来なかったのだ。だから皆の前で本を読んだのは、2,3回だったと思う。そのうちの1回で、このコンビーフ先輩に「読書するんだね」と話しかけてもらい、その際にエッセイや小説を読むとか、本当は本が好きでよく読んでいるとか、そういう話をした。1回だけ。しかもこの件の、9カ月くらいも前に...。
 そんな前に1回話した内容を覚えていてくれたこと、それに加えて仕事中の私の言動に 私らしさを見つけてくれたこと。感激した。仕事の中に、私自身を見出してくれた気がした。

....とまぁ、これだけじゃあコンビーフ先輩の魅力はこれでは全然伝わらない。じゃあなぜ一度落として上げたのかということになるが、今後もきっとコンビーフ先輩はこのnoteに登場すると思うし、コンビーフの話も欠かせないからだ。今回は紹介の回でした。


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