物語は行きて帰りし物語でなければならない

物語は行きて帰りし物語でなければならない。

物語の役割は新しい物語を与えることではなく、
物語を経て新しい現実を読者にもたらすことにある。

日本のアニメは引き込みがうまい。天才的にうまい。こんなコンテンツを作れるのは日本だけだ。

しかし、そこから現実への返しが致命的に下手だ。どんなに面白いアニメでも最終話でがっかりするのが八割だ。

残響のテロルは引き込みが最高にうまかったけど、そこからの返しが弱かったと個人的に思う。あんなに熱狂したのに、ストーリーとしては見返す気がしない。それを思うと心苦しい。

ガンダムめぐり会い宇宙でも、灰羽連盟でも、ゼーガペインでも、行きて、あの物語の底から、圧倒的な存在感を持って物語の外へ向かって浮かび上がってくる返りの期待感は、ひょっとしたら、この物語はこの現実され変えてくれるのではないかという期待感なのだ。そしてある意味その期待感は正しい。物語が変えるのは空想でなく読者の現実感なのだから。

その力が及ばず物語が単に物語の向こうに沈む時、失望を禁じ得ない。物語には新しい現実を与える力がある。だから物語は歴史の中にある。

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