物語とはなにか?
物語はどこにあるか?それは残念なことだが、それぞれの人の中にある。
どんと物理的な書物としてあるように見えても、書物はその人から抜き出したもので、
物語を作って、その人に見せるのだ。
だから、物語そのものを書くことはできないし、
それが物語の原理でもある。
物語はそれぞれの人の中に違う形である。
書かれる形の物語は、それを引き出して、
動的に物語を作る、操作書なのだ。
つまり、それは心に対するプログラムでさえある。
だから物語は心を変える。
物語は読む時に、読む人に動的につくられるのだ。
物語は読者に押し付けるのではなく、
読者の内側から外側へ向けてその場で生成することで、
その人の目前に物語を展開する。