30,40,
中距離マラソンで走りきった時みたいに、ただ茫然としている。
20になった時、世界一になろうと決めて、さんざんな目にあって、29になった僕には、何も得られなかった。そして、大学からゲーム業界に就職した。
30になった時、30代を全力で走りきろうと決めた。人生は39までで十分だ。平凡な人生よりも、短く走りきろうと決めた。結果、へとへとになって40の瀬戸際に座り込んでいる。ゲーム業界に入って10年強になるのだ。
独身で、40を迎えるのは、おすすめしない。子供がいればきっと、自分の人生に価値があったと確信できるだろう。
30代は、20代よりはまだ良い10年だった。人生は上へ伸びると同時に、深く根を張らねばならない。だから、僕は子供の頃や、10代の頃に、何をしたかったかを思い出す。10代は本当に苦しかった。
この次の10年が終わったら50になる。50って半世紀も生き経ってことか。
その先は、もう、それほど、大きなことはできないかもしれない。
まるで夢のようだ。悪い夢のようで、良い夢のようでもある。
僕はここまで生きることができた。
これで良かったのか?それとも悪かったのか?
それを決めるものは何なのか?
逃げているのか?戦っているのか。
笑っているのか、泣いているのか、
凍えているのか、暖かいのか、
それさえも、わからなくなっているのだ。
何かを達成すれば人生なのか、
何かを達成しなくても人生なのか、
そういえば、初めてヨーロッパに一人で旅行に行ったのは、21の頃だった。
右も左もわからず、とりあえず、空港からホテルにたどり着いた。
ホテルの裏手は小高い山になっていて、丘の向こうに青空が見えた。
僕は今から40日の間、欧州を一周する予定だった。
人生はまだわからず、僕は悩み多き年頃であり、
ただ、がむしゃらに前へ進むしかなかった。あれから20年が立った。
がむしゃらというのは、もう逃げ化もしれない。
もう40年生きたのだから、ある程度のものは見えているのだ。
もちろん、見えないものはいっぱいある。
僕はこの10年どう生きれば後悔しないだろうか。
30になった時、40になった時、後悔したくないと思った。
休むことなく走って来たけど、後悔がないわけではない。
ずいぶんと遠くまで歩いて来たのに、世界はまだもっともっと広い。
僕は、もっと先まで行きたい。