
「あなたみたいな人がいるってだけでね、あ、私も社長になれるって小さい女の子がイメージ出来るんだよ。」
連日まめ夫ネタが続いている。
「大豆田とわ子と三人の元夫」に登場するセリフひとつひとつが、登場人物のクセひとつひとつが心に刺さって深堀したくなるのがこのドラマ。
普段、私はドラマを見るタイプではないのだけど
まめ夫は何度も見たくなる不思議なドラマ。
かごめがとわ子に向かって言う表題のセリフ。
たぶん30年くらい前ならこのセリフがあっても
現実味を帯びなかったのでは無いかと思う。
1990年代はまだまだ女性の社会進出途上で
シングルマザーだった私の母は
「小学生の子供を1人で留守番させて仕事なんて」と批判されながら働いていた(母も時々そんなことを言われたなんて顔を伏せながら愚痴をこぼしていた)。
とはいえ私はもう小学校高学年だったし、
近くに祖父母もいたので不自由なかった。
なにより生きるため食べるために仕事してるのに何で何も知らない他人から文句言われなきゃいけないんだ
と批判してくる周囲の声に子供ながらに憤りを覚えたのを覚えている。
それから20年経ち
2010年になる頃には女性の社会進出の一般化し始めて、
丁度就活をしていた私は大学に置いてあったベンチャー通信という雑誌の表紙に載っていた株式会社DeNAの創業者の南場智子社長を見た。
「女性でも社長、なれるんだ!」
当時の私は本当にそう思った。
まさにかごめがとわ子に言った台詞そのものだった。
働く母を見ながら育ったので、結婚して専業主婦になるというのがどういうものかイメージのなかった私にとって、南場社長の働く姿というのは私にとっての新たな理想像になった。
社長になりたい訳では無いけど
実業界でプレイヤーとして活躍する女性がいる、というのは当時の私に少なからず影響を及ぼした。
それからさらに10年経ち、
上場会社に就職して管理系の仕事をしているときに
私は結婚して、母になった。
今は一時的に仕事は辞めてしまったけど、
子育てが落ち着いたらまた仕事復帰しようと思っている。
でも復帰しようと思えるのは「復帰出来ると思わせてくれるロールモデルが格段に増えたから」だと思う。
子育てを終えても復帰出来る。
女性だってなりたいものになれる。
そう思える理想像が増えているのは
子供たちだけでなく、同世代の働く女性達の背中を押してくれてるんじゃないかなと思う。
私にはもう1人理想とする女性がいる。
それは緒方貞子さん。
緒方さんは、国連の難民高等弁務官も務めた方で、そのご活躍ぶりは語るまでもないけれど
私は緒方さんの事を子供の頃に社会科の資料集で見たのがきっかけだったと思う。
その後大人になって緒方さんの著書を読んだ時に
「女性にはその時その時でやるべき事がある。子育てをしている間は母として、子育てが終わったらやりたいことをまたすればいい」
という趣旨のことを語られていて、
(手元にいま本がなかったのでニュアンスで申し訳ない)
子供が出来てキャリア形成との不安で悩んでいた時
この言葉に何度救われたか分からない。
実際、緒方さんは難民高等弁務官になられたのも40代以降。
その後のご活躍は言うまでもないけれど、
「長い目で見なさい」と教えて貰った気がした。
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かごめちゃんが言った何気ないセリフは
心に刺さることが多くて
「ああ、かごめちゃん、もっと見てたかったなぁ」
と今日も思う。いや、毎日思う。
最終回、来て欲しくないなぁ。
まめ夫、ずっと観ていたいなぁ。
まめ夫の森の住人になりたい。