14、英国プレミア・リーグ・サッカー、アースナルの1ファンが怒る。Theo Walcott(セオ・ウォルコット)と宮市亮の共通点。
14、Theo Walcott(セオ・ウォルコット)と宮市亮の共通点。
今日(9月3日)行われた、イングランドのワールドカップ予選、ハンガリー戦を見ながら私が考えたのは、試合のことではなく、セオ・ウォルコットと宮市亮についてである。
勝負の世界ではご法度の、<たら、れば>の仮定を今回は書きたい。
ウォルコット
前にも書いたが、私はウォルコットが16歳でSouthampton(サウサンプトン)FCで、デビューした時からの大ファンである。既に30歳を越え、色々な批判もあり、Eveton(エバートン) に都落ちして(今は古巣のサウザンプトン)、活躍出来なくても、一度ファンになると捨てられない。アースナルが今のように落ち目になってもサポートするのと同じだ。
ヴェンガーは、何故、彼を右のウインガーに固定したのか。
Leicester(レスター)のストライカーのヴァーディのようなCF に育てなかったのか。
サウサンプトンで爆発的に活躍した時は左ウイングで、センターライン辺りでボールを受け、ポーンと前に長く蹴って、追っ掛けてくるDFを置き去りにし、中へ切れ込み、ゴールというのが定番だった。
タイプとしてはオバミヤンやオンリのようなストライカーだった。
その前のユースの時は、ボールを蹴り、そこへ、誰もついて行けない速度でたどり着き、楽々と点を取るゴール・スコアラーだった。
彼にとっては、ウイングからクロスを出すのは本来の仕事ではなかったので得意ではない。
だから、アースナルに来てから学ぶことになる。キャリアの後退である。何年も何年も無駄にしてしまった。
代表戦アウェイのクロアチア戦で19歳でハット・トリックをした時は、ファンでなくても、どんなに素晴らしい選手になるかと期待を持ったのは不思議ではない。バルセロナ戦でゴールした時は、あのメッシに、<アースナルの一番危険な選手>とまで言わしめた。
だが、脱臼癖のあった肩の手術やふくらはぎ、ハムストリングの怪我などで、彼のキャリアは度々中断される。一つの怪我が治ると、また次が、の繰り返しで中々、元に戻れない日々が続いていた。
そして、やっとストライカーで起用された、その日、ライバルのトッテナム戦で、ACL(前十字靭帯断裂)をしてしまう。
彼の様に高速で走ってボールを運ぶ選手には、方向転換時に、一瞬無理に止まる感じになり膝に負担が掛かる。
この日を境に、怪我が治ってから一度も本来の選手に戻れなかった。(多分、怪我をするのを恐れる、というメンタルのせいで)
若いうちに余りにも、とんでもない事を成し遂げたが為に、ファンの期待が大きすぎて、年間20ゴール以上した年もあったにも関わらず、<ちっとも良くないダメな選手>の烙印が押された。私は今でも、ウォルコットはUnderrated(過小評価された)選手だと思う。期待の若手は、レンタルに出し、その後チームに呼び戻すのが常道のアースナルだが、ヴェンガー監督にとっての彼は、何処にもレンタルしないで、手元で育てたいと思うほど稀な素材だったのだろう。
怪我がなければ、最初から身体に負担の少ないストライカーで使っていれば、現在どんなFWに育っていたことか。
開花が早すぎた天才少年の悲劇である。
宮市亮
宮市選手(これから宮市で統一)が高校生でアースナルと契約した時、私は、彼の足元の技術がウォルコットよりも数段優れているので、<足の速さは同等だし、これはヤバイ>と思った。
彼もまた、異常に素質に恵まれていたのが仇となってしまった。国代表戦出場不足で就労ビザが取れず、オランダのフェイエノールトへ期限付き移籍、ファンにリョーディーニョとか言われるほどの活躍をした。
その後アーセナルへ復帰するものの、大きな怪我による長期離脱などもあり、ほとんど出場できず。プレミアリーグのクラブに期限付き移籍しても、度重なる怪我により大きな活躍ができない。
怪我も実力のうち、とか言うが、今は<たら、れば>を書いている。
彼の場合は、高校の部活から直ぐに、ヨーロッパのプロ・リーグで活躍してしまった。良い働きをする宮市を監督は休ませない。ちょっと前までは、高校生だったことは忘れられていた。
ウォルコットのところで書いたように、超高速の選手の足、特に膝に掛かる負担は半端ない。
アーセナルとの契約解除後、ドイツ2部リーグのFCザンクトパウリへ移籍。しかしここでも前十字靭帯断裂を2回し、数年間無駄にした。
ウォルコットと同じで、余りにも素質があり過ぎて、本来なら基礎を固めるための期間を与えられずに、起用され続け、<怪我をしない為に、負担をかけた他の所を怪我する>というメリーゴーランド状態に陥ってしまった。もしも、指導者達が目先の輝きだけでなく、宮市の将来も考えていたら、と残念だ。
今年から、日本のクラブでプレイするらしいので、もう一度新しいキャリアを始めて欲しい、と願っている。
この2人に共通するのは、身体が大人のアスリートになっていないのに、素質が飛び抜けているので、トップ・チームで活躍し、余りにも足が速いが故に怪我が多く、キャリアが後退してしまったという悲劇である。怪我がなければ、アースナルのレジェンドとなって居ても不思議ではない二人でとても残念だ。
ではまた。
追伸: サッカーとは全然関係のない、個人的な<徒然草々、ただの英国生活道中記>も書いています。