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鳥の啼く人生(原稿用紙250枚)

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尺八を吹く以外何の取り柄もない社会不適応の主人公(ノリホ)だが、未開民族と接したとき意外な力が発揮された。言葉ではない他者とのコミュニケーションと運命性の物語。
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2020年9月の記事一覧

鳥の啼く人生(小説)

鳥の啼く人生(小説)

   一

「どうして自分はここにいるのだろう?」
 法帆(ノリホ)は中空の暗闇を見つめながら考えた。確かに自分の肉体はここに在る。ここに在るということは、過去という現実の舞台を一歩一歩歩いてきた結果だ。知らぬ間に瞬間移動し、ここに現れたわけではない。船室のベッドは狭い。法帆は一九五センチの長身なので体を丸め膝を折らなければベッドに収まらない。船のエンジン音は四六時中低く苦しげに唸りつづけ、ベッド

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