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ほんタメ文学賞

 2021年下半期ほんタメ文学賞に『アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険』がノミネートされた。
 思えばこれまで本を書いて賞をもらったことなど、ほとんどないので、受賞するかどうかはわからないけど、ノミネートされただけでもありがたい。

 これまでに自分がもらったことがあるのは、「東南アジア四次元日記」が千葉の書店員さんたちが選ぶ「酒飲み書店員大賞」を受賞しただけだ。
 それももう何年前になるだろうか。20年ぐらい経っている気がする。

 受賞歴は作家にとって重要だと思うが、案外自分は気にしないでやってきた。というのも、書いたのがほとんどが旅行記なので、文学賞の対象にならなかったことや、かといってノンフィクションの賞をもらえるような骨太の本を書いてきたわけでもないからだ。
 そもそもが候補になる可能性すらなかったのだ。

 あるとすれば講談社エッセイ賞ぐらいだろうか。
 でも高尚な賞だし、ギャグばかりの私のエッセイが受賞するとは思えない。期待したこともなかった。

 どこかにユーモアエッセイ賞みたいなものがあれば狙いたかったけれど、唯一その手の賞としてあったのは、北尾トロさんとえのきどいちろうさんが選ぶ、すでに廃刊した季刊ルポの「笑う本棚大賞」だが、気づけばそれも早々と終了してしまった。

 そんなわけで、作家によってはなぜ自分の本が受賞しないのかとヤキモキしている人もいるなか、自分が何かの賞を受賞することなど期待することもないまま、われ関せずと好きなことを書いてこられたのは、案外楽な立ち位置だったのかもしれない。
 今回初めて小説を出版したことで、私も狙うべき立場にようやく立ったということか。

 ノミネートされて受賞できなかったときの落胆はどれほどのものだろうか。今回はじめてそれが試されることになった。

 どう転ぶにせよ、今後は受賞を狙えるような作品をもっと書いていこうと思う。


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