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大阪の中学・高校将棋大会の運営について考える

8月27日に大阪府立北野高等学校の囲碁将棋部のX(Twitter)アカウントから「大阪府中・高等学校将棋連盟に対して大会運営の改善に関する嘆願書を提出しました」
という内容のポスト がありました。大阪の高校将棋大会の運営で話題になっていたのは、個人戦の大阪府代表を決める大会を団体戦で行うというもので、このやり方を変えて欲しいということも嘆願書に含まれています。

団体戦の優勝、準優勝チームから個人戦の府代表を選ぶ 

毎年1~2月に高校1、2年生を対象に行われる高校新人戦(全国高等学校文化連盟将棋新人大会)は男子個人戦と女子個人戦の大会で各都道府県から男女2名ずつが代表として全国大会に出場します。大阪以外の都道府県では男女別個人戦で予選を開いて代表を決定します。ところが大阪の新人戦の予選大会は、同じ高校の5人チームの団体戦で競い、優勝チームと準優勝チームから男子1人ずつ代表を出し、その2名が全国大会に行きます。女子については、男子に比べ競技人口が少なく、5人チームを組める学校が少なすぎるためか、別に個人戦を行って代表を選んでいます。

将棋部が無い高校、あっても部員が少ない高校がたくさんあります。5人チームで大会に出ることはどの高校でもできることではありません。このやり方ですと、1人がどんなに強くても団体戦を組める高校に通っていない限りは新人戦の大阪府代表になることはできません。

この嘆願書のあて先は「大阪府中・高等学校将棋連盟」です。主に大阪府の中学高校の将棋部顧問の教員により、大会の運営をしている団体です。問題の高校新人戦の他、高校選手権(総合文化祭将棋部門)、中学選抜、文部科学大臣杯中学の部(同じ学校の3人の団体戦)の府代表決定大会などを運営しています。中学と高校が一緒になって連盟を作っているという例は全国的に珍しいです。他県では、中学生までの大会は日本将棋連盟の○○県支部連合会、高校大会は○○県高文連将棋専門部(都道府県により名称が違う場合もあり)が運営することが多く、中学高校が一緒になっていません。大阪は大阪府高文連将棋専門部にあたる組織に中学の部もついて「大阪府中・高等学校将棋連盟」になっていると思われます。

この問題は、高文連(全国高等学校文化連盟)について知らないと理解が難しい面があります。高文連についてはこのnoteの「高校生将棋大会に出るために知ってほしいこと」をご覧ください。嘆願書には、大会参加の申し込み方法をもっと出やすく変えて欲しいことも盛り込まれていますが、高文連の将棋専門部で運営する将棋大会が簡単に出られないようになっているのは大阪だけではありません。

将棋大会は完全に公平に行うことは非常に難しいです。トーナメントは2のn乗の参加数でない限り、優勝までの必要勝数は違います。事前に抽選してトーナメント表ができているところに欠席者が出ると、優勝まで4勝でいい人と6勝必要な人が出てしまうこともあります。クジの結果、右側にばかり強豪が集中することもあります。全員がたくさん指せるメリットがあるスイス式トーナメント(スイス式とは? という方はこちら をご覧ください)は勝数が同じであれば点数で順位が付くので、分かりにくくて不公平という人もいます。誰もが納得する完全な公平は無いので、少しの不公平であれば、目をつぶってほしいと大会を運営する側としては思います。 

団体戦を組めない学校の生徒にはチャンスが無い

ただ、個人戦の全国大会の大阪府予選を団体戦で行うというのは、誰がどう見ても不公平と言えるレベルではないでしょうか。最初からチャンスすら与えられない生徒がたくさんいるわけですから。

この方法はずっと続いていたようです。不満を持つ人はいてもきちんと声をあげる人はいなかったのか改善されることはありませんでした。今回、大阪府立北野高校の囲碁将棋部が声をあげました。これをきっかけに、今よりも公平で開かれた大会運営に変わることを願います。

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