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「希望は究極の平安」 ―謹賀新年2024年

明けましておめでとうございます。

あなたに幸せの意味を教えてくれる
あなたを大きく成長させてくれる
あなたに力を与え、あなたの強さを教えてくれる
希望はかけがえのない友達
時々姿を消してしまうかもしれないけど
決してあなたを裏切らない
他人の庭をいくら探しても
本当の幸せを見つけることはできない

 これはパレスチナ・ガザ地区のハン・ユーニス難民キャンプで暮らす少女ルアさん(当時15歳)がつくった「希望」という詩です。

 2016年10月、市ヶ谷の「JICAちきゅう広場」で行われた「トークイベント&写真ツアー 長い道のり―パレスチナ難民の苦難の歴史」で、ピエール・クレヘンビュールUNRWA(パレスチナ難民救済事業機関)事務局長は、2014年のイスラエルの攻撃で破壊されたUNRWAが経営する学校の瓦礫の中からこの詩が書かれたノートを見つけました。見つけた時にはルアさんの消息はわからず安否を心配したそうです。ルアさんが現在のイスラエルの攻撃の中でも無事でいることを願わざるを得ません。

乃木坂46 https://tokyopopline.com/archives/75493


 イランの詩人のルーミーは『ルーミー語録』(井筒俊彦訳、岩波書店・1978年)の中で「神の御慈悲に対する希望を決して断ち切ってはならぬ。希望こそは究極の平安に通ずる道の出発点だ。」と語っています。

 フランスの歌手サルヴァトール・アダモの有名な歌に「インシャラー」があります。1993年のオスロ合意の後で歌詞が改訂され、その7番は、

「数百万人のレクイエムは
子供たち、女たち、男たちのもの
惨劇の双方の墓
流された多くの地、サラーム、シャローム
インシャラー、インシャラー」
 となっています。

 歌詞のサラームはアラビア語の平和、シャロームはユダヤ人の言語ヘブライ語の平和を意味し、アダモのパレスチナ和平への想いが込められていました。イスラエルの作家ア モス・オズ(1939~2018年)は、共通の「抑圧者」という「親(=イギリス)」をもちながらも、イスラエルとパレスチナは信頼し合うことができず、イギリスに対してかつてもった不信や反発の目を相互にもち合うようになりました。そうした両者の憎悪や敵対を乗り越え、共存していくことを彼は望んでいました。イスラエルでオズのように「ピース・キャンプ」に属する人が増えるように、日本をはじめ世界の平和を希求する世論の後押しが求められていると思います。

「狂信主義はイスラームより、キリスト教より、ユダヤ教より古い。どんな国や政府よりも古いし、どんな政治形態、どんなイデオロギーや信念よりも古くからこの世にあります。悲しいかな、狂信主義は人間の本性につねに備わっている成分、いわば悪い遺伝子なのです。」——アモス・オズ『わたしたちが正しい場所に花は咲かない』

アモス・オズ(中央)https://www.afpbb.com/articles/-/3204519

表紙の写真はフランス大使館のフェイスブック・ページより


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