弁護してわかった闇バイトの恐ろしい実態
こんにちは!
弁護士の宮田です。
今回は弁護してわかった闇バイトの恐ろしい実態という話をしていきます。
わたしは少年事件や若年者の刑事弁護を扱っている弁護士なのですが、
最近は本当に異常なくらい闇バイトの事件が多く、その実態も手の込んだものになってきています。
そこで、そうした経験を踏まえて、わたしが弁護活動を通じて知った闇バイトの実態というのを書いていこうと思います。
世間で闇バイトに対する意見やコメントを見ていると、
「手軽に稼げるという理由で犯罪に手を染めるなんてバカだ」
「何も社会のことがわかっていない」
「心が傷まないのか」
などの意見が多いように思います。
これはまあ一部はその通りなのですが、
実は闇バイトの実態はそう単純なものではありません。
どういうことか。
闇バイトの弁護をしていると、ほぼすべての人が口を揃えていうことがあります。
それは、
「脅されて怖くなってやってしまった」
というものです。
「いやいや、そんな嘘はええねん」
「罪を逃れるために言ってるだけだろ」
そんな声が聞こえてそうです。
現に、わたしも初めの方はそう思っていました。
ですが、色んな話を聞いたり、証拠をみたりしていると、どうやらほとんどの場合でそれは本当のことなのです。
闇バイトの募集というのは、実に巧妙になされています。
なかには初めから強盗などをさせようとするパターンもありますが、
わたしが弁護をしたほとんどの事件では、適法の仕事をさせることから始まっていました。
人を運ぶだけの仕事
交通量を測るだけの仕事
調査活動をするだけの仕事
まあ怪しいものではあるのですが、特に犯罪というわけでもない行為から始まることが多いのです。
そうした仕事をさせる際に、まずは身分証明書を送らされます。
怖いのここからです。
初めの方はその仕事をして、お小遣いのようなお金をもらうわけですが、
次第に個人情報を知っていることを武器にしてあの手この手で犯罪行為をするように脅してくるのです。
普段弁護活動をしていると、聞き飽きたというくらいこのパターンです。
「おまえを紹介した奴が飛んで仕事に穴があいた。」
「お前がその損害分100万円を払うかその代わりの仕事をしろ。」
「家も実家もわかってるんだぞ。」
ほんとにこれが決まり文句です。
「毎回飛ばれすぎだろ」
ほんとに毎回そう思うくらい同じパターンです。
きっとマニュアルがあるんでしょう。
こうして応募者はいわゆる受け子や出し子といった特殊詐欺の一旦を担わされていくわけです。
ですから、驚かれると思いますが、
犯罪行為をしているにも関わらず、金銭を全く受け取っていないなんてこともザラにあります。
なぞの損害金とやらと相殺されていくわけですね。
「はい、あと2件で完済ね。」
「次の案件はいくらだから残りは◯◯円だね。」
といった具合にです。
怪しい仕事に応募した本人が悪いのですが、なんとも恐ろしい末路です。
当然裁判所もそういう経緯があるからといって無罪になんてしてくれません。
脅されたとはいえ意思が全くなくなるレベルではなければ警察に行くこともできたんだから、「結局は自分で選んでやったんでしょ。」となるわけです。
自分からお金欲しさに進んでやった時よりかは同情すべき点があるとされても、それで無罪になるような甘い世界ではないのです。
被害者の方からすればそんなことは知った話ではありませんしね。
なんとも恐ろしい末路です。
さらにわたしが弁護をした人の中には、1円も報酬を渡されていないにも関わらず、100万円200万円を超える弁償金をその人が支払うといった方もいました。
それも1人2人ではありません。
今の刑事裁判では被害弁償をしているということが本当に大きいんですよね。
だから、上層部しかお金をもらっていないとしても、末端の者が全額の被害弁償をするというわけです。
キャッシュカードを引き出しただけでもです。
犯罪行為に加担したから当然といえば当然ではありますが、どこか理不尽な気がしなくもありません。
ちなみに、
応募者はこうした末路をたどるわけですが、上層部が捕まることなんてほとんどあり得ません。
上層部はどこか遥か遠くから、スマホで指示を与え、お金を巻き上げ、バレれば末端が捕まっていくだけ。
こうした状況が今の闇バイトの実態なわけです。
どうでしたでしょうか。
今回は闇バイトの実態という話をしてきました。
・必ずしも犯罪行為の募集がされているわけではない
・個人情報をもとに脅されることがほとんど
・謎の損害金と相殺をされるという形で報酬をもらっていない人すらいる
・裁判所は当然無罪にはしない
どれも非常に怖い話です。
たくさん闇バイトの弁護をしていると、普通の大学生や会社員といった方もたくさんおられます。
それも、これまで書いてきたような巧妙な手口があるからなんですね。
ですが、こうしたことを知っているとそうした罠に引っかかることもないと思います。
ぜひこうした内容を周りにもシェアしてみてください!
それではまた次回。
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