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宮田大樹
2023年12月11日 13:05
―チリンチリン。 入口のドアが開く。「いらっしゃいませ。」 私はコーヒーを淹れる手を止め、来訪者へ笑顔で声をかける。「お好きな席へどうぞ。」 入ってきた男は一目散に窓際の席へと足を運び、腰をおろした。 時刻は午後3時。雨天のくせに忙しかったランチタイムを終え、店は閑散として、広い席はたくさん空いているのに、わざわざこの店で一番狭い、窓向き横並びの二人席を選んだ。待ち合わせ、