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奇奇怪怪と雷獣の違いにみる、関東ノリと関西ノリの違い②「令和ロマンに魔人武骨は負けた」補論:バキ童という第三極
(前回までのあらすじ)
両者のミッシングリンク=令和ロマン
『奇奇怪怪』は関東私立高校男子ノリ。『雷獣』は関西進学校男子ノリ。関東私立高校ノリ(≒進学校ノリ)と考えていいだろうから(主の言い方に準拠した)、要するに自分の学業における成績と笑いを含むカルチャー面での知識やセンスに自信を持っている男子の態度というのがベースで共通していることは間違いない。
(あらすじ終わり)
関東ホモソと関西ホモソの違い──センスエリートと落伍者振り
<奇奇怪怪>
<雷獣>
要するに、関東男子ノリの奇奇怪怪と関西男子ノリの雷獣がおり、両妖怪(名称からうまいことつなげられた)のいずれともコラボしてるのが令和ロマンだよというだけの話なのだが、上記のそれぞれ(奇奇怪怪はTaitanだけだしTBS公式のラジオだけど)の動画のサムネを見て驚いた。
サムネの明らかなテイストの違いがそのまま東京男子ノリと関西男子ノリの違いを反映しているように見えたからだ。
関東男子ノリは、世の中に対する疑問をストレートに呈する。既存のリソースをいかに上手に利用してセンスのいい論筋を組み立てるのか。それによっていかに時流に乗りながら流されないかがスマートさを測る指標となる。
関西男子ノリは、とにかく意識が低いように見せたがる。「楽しくいきたいだけ」「別に学歴とかどうでもええわ」社会に対して落伍することをクールにとらえ、しかしてその根底には俺らかしこやしという自信がにじんでいる。
ま、それはアーティスト(ラッパー・バンドマン)とYouTuberの差から生じている部分もあるのかもしれないが、重要なのは一対一ではなく、東京ホモソと関西ホモソという‟群”である。
やがて消えゆく関西よ…
ここまでの書きぶりから察されたかもしれないが、俺はどちらかといえば関西ホモソの方に親近感を感じている。それはひとえに、関西出身だからだと思う。
関西進学校ノリとまとめたが、別に進学校に進んだわけではない関西の友達とある種の「俺ら(それがホモソ感である)」を感じるとき、そこには同種のプリミティブな変態性へのあこがれと、しょせん口だけの社会性の両方が存在する気配がある。
令和ロマンの「魔人武骨」の部分は関西ホモソを志向し、令和ロマンの「令和ロマンくん」部分は関東ホモソを体現している。
関西はお笑いの本場と長年言われてきた。今でもギリギリルミネよりNGKのほうが格が上であろう(というのは新喜劇を土曜日の昼間に見ていた関西人の驕りか)。とはいえ、その構図も崩れようとしている。
魔人武骨は令和ロマンに下ったし、それによって成功を得たのだ。
東大と京大の偏差値が開いていくように、東京一極集中が進む。
でも、それは当然なのだ。だって、東京は反骨的なカルチャーエリートだって官僚主義的な世界をハックし(ラッパーがビジネスマンとしての才覚も持ってメイクマネーするように)、関西はただ落伍・あるいは中央から距離を取ってただおもろく存在していく美学を追う(中島らもややしきたかじんのように)だもの…。
本記事にステイトメントがあるとすれば、関西の男子ノリを維持したまま小さくまとまらず、着実に社会で存在感を高めていく方法はないのんか……!というものになる。
別にそんなことを考えることがサブいねん、というのがまさに関西ノリである。落伍を志向して、大きく何かをなせば大きな落伍につながるし、小さくまとまればそのままだ。しかし、どうにか、この美学を維持したまま、東京モンに勝てる、とまではいかんけど、負けへん方法はないものかなあ。。
補論:バキ童(春ヒコ)というインターネット群
バキ童とは
青山大学落語研究会出身の春トヒコーキを中心に運営されるYouTubeチャンネル。チャンネル登録者数は、2025年1月8日時点で約178万人。
奇奇怪怪と雷獣とも違うベクトルで存在感を発揮している男子ノリとして、バキ童が浮かんだので、アイディアのしっぽをメモしておく。インターネットカルチャーと読書家な面のハイブリッドで人気を博しているという点では、下ネタと意識低さという入りのベクトルは違えど奇奇怪怪と同じく東京男子ノリに分類されるものではあるのかなと思う。
ただ、バキ童チャンネルが奇奇怪怪と雷獣とも違うのは、両陣営が妖怪っぽい名前を冠していることからも感じる「強さ」が不足しており、代わりに馬鹿でもとっつきやすい「大衆性」を獲得しているということである。
それも、バキ童がアーティストでもYouTuberでもなくタイタン(こちらは事務所名)所属の芸人であることに由来するのかもしれないが、以下の3すくみを意識して今後、陣営の動きを注視されたい。
関西男子ノリ:YouTube:雷獣
関東男子ノリ:アーティスト:奇奇怪怪
インターネットノリ??:芸人:バキ童