口は災いの元
「三味線ってセーフかアウトの判断するの難しくない?」
先日、友人とセット中に言われた言葉です。
白をグリグリ盲牌しながら
「かぁ〜!おしいっ!」
そう言い放った彼の待ちは⑤単騎でした。
久しぶりの更新になってしまいました。
現在、無職なので書く時間は腐るほどあるのにネタに困っているので、今回はメンバー時代にあった三味線について語りましょうか。
①2人組の新規さん
その日は雨がひどくて、お客さんもまったく来店せず暇だなーと嘆いていました。
そんな中、チリンチリーンと入り口の鈴がなりました。
初めてなんですけどーと新規Aさん。
ルール説明の最中に来たお客さんも、新規のBさん。
珍しい事もあるもんだな。
さっそく2入りで卓を立てる。
お2人ともまだ若く、話を聞くと麻雀始めて半年の大学生だった。
意気投合したのか、2人ともよく喋るんですよ。
(うんうん、楽しそうでなによりだよ)
一応、手牌に関する発言はダメよとルール説明したのですが
「いやーこのアンコ筋は切れないなー」とか
「全然手が入らないわー」とか言い出すんですよ。
注意しようか迷いましたが、新規でメンバー2入りだし今回は大目にみようか。
そしたらオーラス、アガリトップのAさんが赤⑤切りリーチしてきました。
唐突にBさんがこう言いました。
「赤⑤勿体ないねー!」
それに対してAさんはこう答えました。
「使いたかったんだけど、使えないしくっつかなかったんだよねー」
なるほどなるほど。それならばと④を切り飛ばし、テンパイを取りましょうか。
「ローン!初トップげっちゅー」
待ちは①④だった。
ちょっと待て。使いたいけど使えないだと?
これは流石にイエローカードだよね。
今回は良いけれど、次回からはダメだよーと優しく諭したつもりだったが
「もうやめますわ。意味わからんし気分悪いから」
「Aさん辞めるなら僕も…」
(いやいや…意味わからんしは俺のセリフだろ)
大人な私はイラッとしながらも、また来て下さいね〜と笑顔でエレベーターまで見送る。
扉が閉まりかける瞬間に、中から何か聞こえてきた。
「ナイスタイミングだったよB。あのメンバー引っかかってたなw」
おいおいおいーーー!!
まさかグルだったとは夢にも思わなかったわ。
②先輩は偉大だった
要注意人物だったCさんが来店した。
この方は盆面が悪く、アガれないとボヤくし強打も多い。
Cとは同卓したくねぇよ…そんな言葉もチラホラ耳にしていた。
メンバー3入りだし、そんな変な事はしないと思うよと先輩は言った。
3着4着と続いた次の半荘に事件は起きた。
熱くなってるCさんは、常に強打プラス舌打ち。
さすがに…と先輩に目配せすると、うんうんと頷くが何も言わない。まぁ任せるかと思い、私は淡々と打っていた。
Cさんが1打目から字牌を5連続で手出しした後
「うわぁぁぁー失敗したぁぁーー」
大袈裟に赤五をツモ切り強打。
(失敗ってなんや、ミスる所あったか?)
なとど思いつつ様子を見ていた。
次巡、テンパイと思われる先輩から筋のニが切られると
「出たよー!ローン!ローン!32000点」
四暗刻単騎のニ待ちである。
これは流石にダメだろと注意しようとしたら、先輩が静止してきた。
Cさんはその後、1半荘打って帰って行った。
どうしても腑に落ちない私は、先輩になんで注意しないのか問い詰めた。
「麻雀打ってりゃ色々な人いるよ。あれくらいは良くあるし、振ったのは俺だから許してやってくれよ」
なんだこの人は…聖人君子かなにかか?
大人だなぁーすげぇや、と感心したのだった。
先輩は何事もなかったかの様にカウンターに座り一服を始めるが、タバコを吸う手がぷるぷる震えていた。
やっぱり怒ってたんだなーとニヤニヤしながら先輩を見ていたら
「あんなん無理だよぉぉぉぉぉ!」
可哀想だけど面白かった。
③何故か憎めない
数々の伝説を残し、今なお語り継がれるメンバーT君のお話。
彼は桃鉄の貧乏神にそっくりで、行動や言動もぶっ飛んだものが多かった。
飲むといつも話していた自慢話。
その中からいくつか紹介しよう。
1.彼女が途切れた事がない。
これは✖︎
彼女を見た事もなければ、周りからそんな話を聞いた事もない。
ただ、1度だけ店に美人な彼女を連れて来た事があった。
これにはみんな驚きを隠せなかった。
「どこが好きなの?」「出会いの場所は?」
色々と彼女に聞くが、返ってくる答えは全て
「ん〜内緒です」
麻雀も打たず30分くらい自慢だけして店を出て行ったが、どーも怪しい…
何人かで後を付けていくと、駅で彼女に1万円を手渡し
「またお願いします」と頭を下げるT君。
あの時の彼の笑顔だけは忘れる事はないだろう。
そして、彼女が何者だったのか誰も知らない。
2.卒業式で学ランのボタンを女の子たちが取り合いした。
これは多分✖︎
同じ学校だった人が居ない為、真偽は不明。
ただ、8つあるボタンが〜と話していたが
「学ランに8つもボタンあるか?」
との問いに
「え、あ、ちょっ…長ランだったから…」
長ランを見た事がない為、それ以上深く追求はしなかった。
ちなみに長ランてボタン8つもあるの?
3.昔はヤンチャしてたらしく、毎晩バイクでブンブンやっていた。
これは✖︎
ゼファー乗ってた頃が懐かしいなぁーと良く言っていたが、左のレバーはブレーキじゃなくクラッチなのを知らなかった。
4.家がめちゃくちゃ金持ちで、弟はイケメン。
これは○
1度だけ家に遊びに行った事があるが、庭も広く家も本当に大きかった。
エレベーター付きの一軒家を見たのは初めてだ。
弟は確かにイケメンで、申し訳ないが兄弟とは思えないほど似てなかった。
頭も良く、医者を目指してるとか言っていた。
そんな弟を両親は溺愛していたのだろう。
私から見ても、両親はT君に対して本当に冷たかった。
(なるほどなぁ…)
T君がなぜわかりやすい嘘をつくのか…
少しわかった様な気がした。
お店でもみんなの気を引きたい一心でクズ野郎を演じていたのかもしれないな。
そんな彼がある事件を起こした。
オーラス、上の3人がほぼ並びでT君はラス目。
跳満ツモならばトップだが、満貫ツモだとラス変わらず。
リーチを掛けたT君に対し、他の3人は満貫打つとラス落ち。
こりゃ1.2着の人は押しずらいなーと見ていたら
「どっからでもアガリますよ〜ぐへへ〜」
余計な事言うんじゃないよと…
その言葉を聞いたからなのか、トップ目はテンパイから降りを選択した。
巡目は進み、流局間際にT君がツモる。
待ちは③⑥⑨のメンピンドラ3だ。
ん?③⑥⑨?
捨て牌に目をやると、なんと2着目の⑨を見逃してるではないか。
それに大激怒のトップ目と3着目。
こんなん払えねぇ、納得いかねぇの一点張り。
椅子は蹴るし、サイドテーブルは倒すわで乱闘寸前。
殴りかかろうとしてるトップ目を慌てて止めに入った私がなぜか殴られる始末…
(ツイてねぇな…Tは何してんだよ)
すぐに店長が駆けつけ、その場を丸く収めてくれて事なきを得た。
もちろんTはこっぴどく怒られてました。
とばっちりで殴られて申し訳ないからと、帰りにご飯をご馳走してくれた。
お会計の際に
「さっきのトップ分がなくなったわーうへへー」
やっぱりクズ野郎だったが、なぜか憎めない不思議な奴だった。
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