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吾輩は、ACである。特に問題は無い。⑨

霊感商法の話④

という事で、週末明けてまだ世間はゴールデンウィークだというのに、こんな悲惨な話題をお届けしているという。もっと楽しい話を書けばいいのにと自分でも思うんですが、なんだろな。

もしもこの文章を読んで「あるある、それ!」って思った方はぜひ、感想をお聞かせください。よろしくお願いします。(唐突)

じゃあ、前回の続き。お約束した通り、霊感商法の具体的なお話をしようと思います。では始めますか。

私が最初に霊感商法の当事者になったのは、小学校五年生くらいの時だったか。ちょっとうろ覚えなんですが、小学生だったのは確かです。

ある日母親が、こんな事を私に言いました。
「お母さん、仏壇買うのに200万使ってもた。お父さんに話した方がいいと思うか」と。

それで私はこう答えたのでした。
「正直に話した方がいいよ」と。
そしてどうなったかというと、夫婦の大げんかが始まり……
私は間に挟まれて、両方の意見の聞き役と、伝言役になっていました。

と、ここまでの話を見て、ある程度見識のある方は気が付いておられると思うんですが、私がAC(アダルトチルドレン)たるゆえんは、この一連の出来事から始まったのです。

ACの定義についてはこちら。

アダルトチルドレン: adult children)
親がアルコール依存症の家庭で育って成人した人[1][2]。「adult children of alcoholics」の略語(ACOA、ACA、アルコール依存者のアダルトチルドレン)。アメリカでアルコール依存症治療との関わりの中で生まれた言葉である[1]
親や社会による虐待や家族の不仲、感情抑圧などの見られる機能不全家族で育ち、生きづらさを抱えた人。
どちらの意味も、医療における診断用語、病名ではない[6]

Wikipedia「アダルトチルドレン」より抜粋・引用 2022/05/01閲覧

まあ、はっきり言って親が悪いんですよ。今自分が三人の子供の親になって、一番上の子が高校受験を経て、改めて思ったんですが。

しかしながら、当時小学生だった私には、そんな世間を見てきたかのような発想はありません。
「私が正直に話せと言ったせいで、親たちが喧嘩している」と思い込んで、二人の伝言役を自ら買って出ていたところが、今思えばあると思います。

だけど、もっと視点を広げて「世の中」全体から判断するに、霊感商法(悪徳商法)をやる人間とか団体が一番悪いんですよ。なにせ商売の仕方が悪どい。

いわば空気を売るような商売ですからね、霊感商法は。「○○山の空気は霊力が高い! 一回吸ったら今までの罪は無くなりますよ~、はいはいはいはい今なら一袋一万円! 売れ切れご免だよ!」とか言って、後ろめたい人生を気にして生きてる、なおかつ頭が弱い人を狙い撃ちする感じ。(自虐)

よく、騙される人間がアホだからだめなんだという意見を聞くけど、そもそも騙す人間がいなければ騙される事も無いんですよ。
と一人キレたところで、さっきの話の続き。

何で母親は200万円もする仏壇を買ってしまったのか。六畳二間しかない風呂無しの長屋で、しかも子供が三人もいて、バラック小屋のような家でひしめき合いながら住んでいるような貧乏人なのに。

分不相応な買い物だとは思わなかったのか。常識的に考えて。
何で母は分不相応な買い物をしちゃったのか。それは母が、先祖供養や因縁話(カルマ)をすごく信じている人だったからなのです。

元々「立正佼成会(りっしょうこうせいかい)」という日蓮系の新宗教の信仰をしていた母が、私が小学校3年生くらいの時に「天地正教(てんちせいきょう)」という宗教に移籍してですね。

立正佼成会の地区の担当だった支部長さんが天地正教に移籍すると言うんで、母は数名の佼成会信者と一緒に、支部長さんについてったんです。*1

*1)このへんの事情は前回語っています。良かったらご覧ください。立正佼成会と統一教会の関係が書いてあって、上層部が行った信者のトレードの事が書かれています。天地正教に関しては、こちらをご覧ください。

その移籍した先の天地正教で「先祖供養のため」と買うように勧められたのが、200万円の仏壇(弥勒菩薩像付き)だったのです。
(説明長くてすいません)

その仏壇の購入を皮切りに、あれはおいくら万円だったのか……120万円の壺……大人が抱えるくらいの大きさの、大理石っぽい素材の壺*2)がいつの間にか家にあったり。

*2)壺の商品名は霊石(れいせき)。悪霊を吸い込む壺というキャッチフレーズ。いかにもあやしいぜ! 何でそんなもん買っちゃったのかな!

で、みなさんの予想通り(?)父がその壺を見て激怒。それから毎晩、酒を飲んだ父が母を罵るという地獄絵図でした。
これが、霊感商法が引き起こした、私の子供時代の悲惨な現実なのです。

思うんですけど、単なる石とかモノを売る時、運が良くなるとか先祖供養とか言って売ってる霊感商法業者は、それがビジネスだと思ってやってるだろうけど、迷惑だからやめてと思います。

世の中には賢い人ばかりいるわけではないのです。信じられないくらい馬鹿な人がいっぱいいます。

いかにもあやしげな「開運なんちゃら」「天運石」「霊石」「パワーストーン」「癒しのなんちゃらヒーリング」「除霊」とかを信じちゃうおバカな人を狙って稼ぎたい気持ちは分かるけど、あんまり荒稼ぎしないで欲しいです。

おバカな人にも、家庭があるんですよ。子供とかいるんですよ。人間の心があるんなら、酷い商売しないでください。ほんとうに、私は心の底から叫んでいます。あの時の、子供だった自分を代弁して。

そりゃあ買った時は「ああ、これで先祖が救われるんだ。子供たちも救われるんだ」と喜んでいたりしますよ。霊的存在やあの世、来世や因縁(カルマ)、天使や徳*3)などを信じてる人などは。

*3)善行をすると貯まる貯金、的な概念

でも、お金が底を尽きた時、必ず夢から覚めます。そこからが本当の地獄の始まりだという事まで、誰が教えてくれますか。霊感商法の業者は教えてくれないですよね。

霊感商法から足を洗った上で地獄を見た人の中でも、正気を保って何とか生きてる人くらいなのです。「あんた、そんな事してたら破滅するよ」って、心の底から言えるのは。

だけど本当は……霊感商法になんか出会わない人生が一番いいんですけどね。こんな話を語ってる自分が、自分でも嫌になります。(鬱)

変な話ですが……私が見たり聞いたりした範囲でも、霊感商法のせいで自殺した人がいます。気が狂った人もいます。破産した家族がいます。益よりも、害の方がはるかに大きいんですよ。霊感商法は。人を殺してますからね、間接的にせよ。子供の希望や将来の夢も奪ってますよ。霊や霊感商法を信じている親を通して。

霊感商法をする人、業者、団体、それから霊感商法を人々が受け入れやすくするような思想(霊的なもの、スピリチュアル系な思想を語る事)を他人に広める人は、私のような人間がいる事を知っていて欲しいです。そして、それでもあなたは、布教、啓発活動しますかと問いたい。

自分だけそれを信じる分には個人の自由だけど、人にそれを広めるのは迷惑だと私は思います。霊感商法の被害者を増やす事に関与していると思うから。

「表現の自由だし勝手じゃん」って言うのは、霊感商法の被害者の話を全部聞いてから言って欲しいと思います。その上で霊的な情報を広める人に関しては、良心が無い人なんだなと思います。

あとは、人に迷惑をかけない範囲で霊感とかを信じたらいいのではという人に対しては、言いたい事がありますね。

それは、あなたが馬鹿じゃ無いから、または周囲に馬鹿がいないからそんな事が言えるんですよ、という事です。

おバカというのは、仲良くしてる人から聞いた事とか、有名人が言ってた事とか、自分が何となくそうだと思ってた事を他の人が言ってると、半分どころか全部信じちゃうところがあるんですよ。

そしてそれを、何も考えないでそのまんま子供に教えるようになるんです。「自分で情報を取捨選択する」ための前提になる知識が無いと、そんなもんなんですよ。悲しい話なのですが。

馬鹿な人を食い物にする商売に対して私は、だめだと言い続けたいです。しつこいかもしれないけど。

という事で霊感商法についてのお話は、ここで一旦おしまい。読者の皆様、読んで下さってありがとうございました。

追記
今回は感情的な文章で、遊びが少なかったなあと思います。
次回は、現代の霊感商法について、私なりの意見を語ろうかと思います。
なるべく話が重くならないようにしたいとは思うんですけど、どうなるかは分かんないのです……

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