無題

『モッシュピット episode.0』

『モッシュピット』本編DVDの特典、付属ディスクです。「なぜハマジムがモッシュピットという映画を撮ることになったのか」といういきさつが約17分の短い映像になっています。

内容的にも、入手経路(ハマジムサイトの購入特典)も見る人をかなり限定したものではありますが、これが本当に素晴らしくて泣いてます。

以前ここにも感想を書いた『モッシュピット・プロローグ版』のことだとばかり思ってたんで、再生して初めて「あれ、違う」と知りました。私はハマジム側からモッシュピットに出てくるミュージシャンを知ったクチであり、ハマジム自体にもたくさん関わってきてしまってるので、このあとは完全にハマジムサイドの目線だけでのお話です。

『テレキャノ』劇場公開でヒットを飛ばしたAVメーカー、ハマジムは、いくつかの劇場公開作品を経て『モッシュピット』に流れ込みました。この流れ、特に『モッシュピット』の登場に違和感を持ったハマジムファンは少なからずいたように感じています。

何度もいうけどハマジムはAVメーカーです。『テレキャノ』で多くのファンをつかんだ翌年に劇場公開した『どついたるねんライブ』は分かる。ライブとセックスの邂逅だから。その後の『501』もまだ分かる。テレキャノの立役者、ビーバップみのる監督だから。そこへいきなり「次は東京アンダーグラウンドです」とかいわれても、唐突感あったと思うのです。

『モッシュピット』を作ったいきさつは、個人的には事あるごとに聞きました。岩淵監督にも聞いたし、他のハマジムの方々からも聞きました。大きな流れを一番具体的に教えてくれたのはタートル今田さんで、そこで初めて「なるほど」と思いました。3組との出会い、『BiSキャノンボール』を見たBiS研究員との間に発生した溝や夏の魔物で交流が生まれた経緯、夏の魔物ライブに伴う心情の変化など。まさにこのEpisode.0で語られていることです。「それはなぜ映画に入れないの?」という話も今田さんとした気がします。今田さんとは『モッシュピット』の話をずいぶんした。でもそれをこの段になって映像で見ることができるとは思ってませんでした。

この『Episode.0』は、「テレキャノは良かったけどねぇ」という人、モッシュピットに抵抗を感じた人にこそ見てほしい。テレキャノからアフターBiSキャノ、モッシュピットに至るまでの道のりが疾走感とともに見事に映像として仕立ててあり、よく伝わります。で、夏の魔物のハバナイ・NDG・おやホロのライブ映像がまた最高にいい。問答無用感が押し寄せてくる。「この3組を撮ろうか!」って気持ちにもそりゃなるよね、という素晴らしく熱いライブ。全ての流れがすごく美しくエモーショナルに、ドラマとして収められてました。リキッドルームへと進むハバナイにも物語があるように、ハマジム側にも物語はあるのです。

テレキャノで楽曲を提供したWeekday Sleepers に対し、私は現在さぞや悔しい気持ちがあるのではないかな…ということを時々思うのですが、ここでは彼らのことも誠実に見せていると思います。この人たちの音楽はやっぱり素晴らしいし、それを再確認することができます。曲のすべてにいちいちアガる。これも問答無用です。

やたら意味なくレースを始めたがる人々、夏の魔物が始まる前のワクワクした高揚感、青森の夜を照らすライトに集まる羽虫たちから設営ステージに流れていくカメラ。この特典ディスクは本当に細部まで全部良い! これ、オマケだけにしとくの勿体ないくらい良い。不親切なので購入先リンクとか張りません。見たい人は探してみてね!


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miyabi yamaguchi
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