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旅の序章

書いてみたいこといくつもあるので、順番とかあまりこだわらずに上げて行こうかなと思います。ちょうど一週間まえ、滞在させてもらった友人宅を離れる前日の文章です。


雨の朝です。今日で家を離れて14日目。普段の日常とかけ離れた二週間だったので、日にちの感覚がいつもと違いすぎて、長かったのか短かったのか現時点ではよくわかりません。去年の秋に地域おこし協力隊として北東北に移住した友だちが、この春から古民家で暮らし始めて、ゴールデンウィーク明けに運良く三日間の休みを確保することができたので遊びに来ました。朝6時台発の東北新幹線に乗り込んで、iPodで音楽を聴きながら窓側の席で外の景色をぼんやり眺めてたら、日々忙しなく過ごすうちにいつの間にか季節は田んぼに水が張られる時期を迎えていたことに驚きつつ、わたしは水田が水鏡になった情景を心から愛しているので幸せをじんわり噛みしめ、そして、ふと気づくと車窓からの緑が目に優しい新緑の萌黄色に変わっていて、最初は気のせいかと思ったのですが、考えてみると、北上するにつれて気温は低くなるはずだから結果としてまるで季節を遡るかのように感じられるのか、列車が時間を逆行して進んでるみたい!タイムトラベラー!!と内心いたく感動していました。全く予期しなかった出来事で、これだから旅はいいよなあと。新幹線を降り立って初めての街でなじみの友だちが迎えに来てくれて、レンタサイクルで街をあちこち案内してもらってから夕方に車で連れて行ってくれた先は、二十代の頃にバードウォッチングや環境アセスメントの調査バイトで人里離れた山奥へ何度となく出かけたのですが、その道中でただ通り過ぎるだけだったいつかの風景が自分の中に蘇るかのような、山村の集落の一軒家でした。当時は、どんな人がどんな暮らしをしてるのか想像すらつかなかったようなところで、東京で出会った、生まれも育ちも東京の友だちが生活を始めたことが、なんとも言えず感慨深かったです。築百年を超えるという家には広い土間があって、子供の頃に訪れた九州の父の生家の匂いをなつかしく思い出しました。林檎の白い花が咲く春の東北には関東とは違った勢いがあって、聞いたことのない山菜を食べさせてもらったり、クレソン採りを体験したり、冬場は開催されないという街中の土曜市にたまたま遭遇したり…これは是非とも秋の収穫の季節にまた来なければ!と心に決めたのでした。

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