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ドビーめに靴下をくださった

「ご主人様がドビーめに靴下をくださった」

『ハリーポッター』のドビーがマルフォイ家から解放されたときのセリフである。

ドビーは意地悪な当主から解放され、喜びつつこのセリフを言ったが、僕の場合は違う。

上司に忠誠を誓いたいと思ったときに、「靴下をくださった」と言いたくなるのだ。

つまりドビーの逆である。靴下をくれる上司こそ、尽くしたい上司だ。

先日、別部署の部長から「〜課の〇〇はどうなったの?」と声をかけられた。これは僕が所属する課のことであり、この部長とは何度か会議で会っただけなので、まさか顔を覚えられているとは思わなかった。

面を食らったまま「その件は〜」と説明すると、部長は「困ったことがあったら言ってくれればいいからね!」と締めくくり立ち去った。

ジーンと感動してしまった。

というのも、僕の直属上司はパワハラ系で、機嫌を損ねればその日の課内はお通夜状態になるほどの気分屋でもあった。

優しい言葉なんて一度もかけてもらったことはない。

この部長の言葉は五臓六腑に染み渡り、思わず直角になるくらいのお辞儀をして「ありがとうございます!」と言ってしまった(今思うと恥ずかしい)。

仕事は、結局のところ人間関係に左右されると思う。

どれだけ仕事が楽だろうが、人間関係がダメなら苦痛でしかない。

僕もこの上司の下で働けたら......そんなことを思いながら、シリウス顔負けの我が当主の元へ戻るのであった。

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