Xデザインでの学び - #11 組織デザインとデザイン文化 -
Xデザイン第11回では「組織デザインとデザイン文化」です。第7回でもデザイン組織について学びましたが、こちらはデザインの力を活かす為の企業変革という側面が中心的議題でした。
創造的な組織文化を作ることが重要
アントレプレナーシップで議論されるような話、例えば「エフェクチュエーション」のような行動原則を取り入れたとしても、ビジョンやアイデアだけでは乗り越えられない壁が多くの企業には存在しています。実際、個人として優れていても、日本では出る杭は打たれますよね。大企業のスピンアウトも昔からありますが、どちらかというと計画的、ある程度利益が計算されスタートアップで苦しむ要素(人的リソース、運転資金、有望な販売チャネル、など)は最初から見えてる状態でのスタートが多いのではないでしょうか。本社が「失敗して当たり前だ」としてお金出すことはまずありません。
そうして醸成された「組織の創造性のなさ」。これをデザインで乗り越える為の一つの視点としてEX(Employee Experience)が挙げられました。近年組織論で提唱されている「社員として働くことによる体験」のことで、契約(コントラクト)という概念によりその構成を紐解くことができます。
EXが上がることでUXも上がっていく。そこには、アウトサイド・インとインサイド・アウトという相互志向性のスパイラルが存在している、というのが基本的な考えとのことでした。
コンテクスト、リチュアル、バウンダリーオブジェクト
EXについて考えるとPC、 心理的契約のような見えないものをどう培うのかという疑問が出てきます。講義の後半では文化のデザインについて3つの視点、コンテクスト、リチュアル、バウンダリーオブジェクトについての紹介がありました。
まずRItual Designですが、Ritualは儀式という意味で何か意味のある儀式的な体験を通じて文化のデザインを行うアプローチです。卒業式、成人式、入社式、何かの節目の儀式には「リセット」という概念が含まれてる気がしますよね。企業文化を大きく変えるような時にはそれにふさわしいRitualのデザインが有効、というのは直感的に腑に落ちました。
あと、バウンダリーオブジェクト。異なるコミュニティやシステムをバウンダリー(壁)を超えてつなぐ存在のことです。今はいろんな共創スペースがありますよね。空間だけでなく、ツール、イベント、共創を促す存在であればどんなものでもバウンダリーオブジェクトになり得ます。
個人的には知識のバウンダリーオブジェクト化というこのブログの考えが面白いなと思いました。共創という言葉だと少しフワフワした印象を受けますが、何らかのアウトプットはやはり重要ですよね。オバマ元大統領の「Yes, we can」もバウンダリーオブジェクトになり得るという指摘もあります。アウトプットはシンボルにもなり得るということですね。