「関係障害論」を読みました。
なぜ読んだのか
会社の方おすすめ!
介護職の方が一度は読んでおくべきと言われる名著
感想
1997年に発行された本なので、平成初期の本ですね👀
たったの27年前に、「老人を縛らないために」というサブタイトルの本が出ていることにまず驚きました。
タイトルからしてものすごく難しそうな本だと思っていたのですが全くそんなことはなく、著者の独特な話し方が親しみやすく、爆笑してしまう箇所もいっぱいありました。
正直、これを読んで人生の価値観が変わりました。それくらい、今まで人間関係でモヤモヤと感じていたことがスッキリ言語化されました。
防衛機制による自虐
寝たきりのお父さんが、ある日献身的に介護をしている奥さんが浮気をしているのではないかと疑います。
お父さんはどうしてそう思うようになってしまったのかというと、介護する側と介護される側には一方的な関係になり、権力が生まれてしまうというのです。奥さんはお父さんのことが全て見えていますが、お父さんからは奥さんのことが見えない時間があります(買い物など)。それで、お父さんの防衛機制が働いてしまったというのです。
どう解決したかというと、お父さんの人間関係を豊かにするためにショートステイに泊まってもらうようにしたそうです。お父さんは「父の顔」以外にも外での顔も持っているので、それを出せたことで良い気分転換になったようです。
ちなみにこの話は、老人だけではなくて、若い人にも当てはまると思います。このケースを聞いて、自分がかつて重度のメンヘラ彼女だった理由がわかりました。
ピアジェとマズローを批判する
3章では、進歩主義を批判しています。
これは、現在でも安楽死を認めるのかという問題や、社会保障費の話、行きすぎた資本主義による環境破壊も関係している話だと、とても強く思いました。
「進化しなければならない」という強迫観念にかられて、いずれ来る老いや、もう目の前に迫っている環境破壊、異常気象、戦争などの”現実"を直視しないという風潮は、27年経った今さらに加速しているのではないでしょうか。
制度を変える前に、まず自分の『老い』や『進化』に対する認識を改めなければならないと深く反省しました
個体の問題が、関係の結果であるという視点を持つ
著者は、社会的関係、自分自身との関係、家族的関係の3つの軸で3次元の座標を作り、関係世界を立体で表しています。
どれか一つでも0になったら、立体ではなくなってしまいます。そうならないように、3つの軸からアプローチしようというお話でした。
最後の感想
本当に、人生の価値観が変わる一冊でした。
私は子供が産まれてからというもの、政治や自然環境の問題にとても関心が高くなりました。そうして自分が仕事を通して何ができるか考えたときに、福祉関連の事業に携わりたいと思って転職させて頂いたのですが、毎日毎日介護の勉強をさせてもらうと、人生の答え合わせをさせてもらっているな、と思います。
自然環境もそうだし、政治的な話でも、自分の子供や孫が住みやすい世界を作るにはどうしたらいいんだろう、とよく考えるようになりました。でも政治や自然環境の話って、一人ではどうしようもできない感じがしますよね。
しかしながら、著者は環境や社会のせいにするな、自分自身が社会の代表なのだとおっしゃっています。これは介護職員の方に向けたメッセージでしたが、介護以外のことでも当てはまると思いました。この言葉を胸に、自分には何ができるのか考えながら生きていきたいです。
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