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ミッドサマー 見ました

見ました




見ました

アマゾンプライムにて視聴、23:30には見終わっていたのですが、
あまりの内容に咀嚼してnoteに落とし込むのにものすごく時間がかかりました。

端的に言うと好みの内容ではなかったです。
だけど見てよかった、間違いなくそれだけの映画でした。

まずストーリー
「明るいことが怖い」をテーマにカルトを題材として制作されたこの映画は、
幽霊などの怪奇の類がおらず、悲鳴もあまりないのに怖く精神を揺さぶる脚本。

そしてそれを後押しするような演出やCG技術も見事で、
舞台となるホルガ村の人たちの心理描写を描かないことで得体の知れない不気味な印象を持たせている一方で、
調べるとこのような感想が。

要約すると「カルトの人間たちはこちらと同じ価値観を示すことによって理解しあえる存在である」とすり寄ってくること。
このふたつの描写を共存させることにより絶妙な不気味さ、そして質感を醸し出すことに成功している。

さらに主人公であるダニーがドラッグを摂取してからのCG処理も緻密で丁寧。

元々が夢(悪夢)のような、異世界のような全く未知の文化の中で
ドラッグによる幻覚、これによりなにが真でなにが嘘かの境界線が曖昧になってゆくダニーの精神状態を視聴者も疑似体験することが出来ます。

そしてシナリオ、演出といったところでは描写も本当に見事。
ダニーの精神疾患の症状や、
障がい者を神聖なものとして崇めるカルトの描き方、マインドコントロールの手法……
どれもが経験者が見てしまうとトラウマを再発しかねないほどリアリティのあるもの。

障がい者を崇める文化や、
ドラッグを用いる他、自作自演で標的の心を折ってから味方の顔で新たな居場所となる洗脳の手口。
(クリスチャンの理性を奪い性行為させ、それを真の標的であるダニーに見せることで最後の心の拠り所であるクリスをダニーから奪うなど)
これらも世界の各地で実際に事例のあることで、

これらの要素を丁寧にフィクションに織り交ぜることで
特別派手な描写をせずにヌルリと心に入り込んで感情を揺さぶる極上のホラー体験が出来る仕上がりとなっている。

そして映像美術も高品質。
上述した通りホラーなのに夢のような世界観で、
笑顔や自然を多く取り入れ民族的な心地よい音楽の流れる一見してホラーとは思えない美しい映像の数々。
そしてそれが一層怖さを引き立たせ、視聴者に違和感と不快感を覚えさせる絶妙なバランスは映像作品として見事としか言えない。


アクションならば「かっこいい」
ミステリーならば「謎」「スッキリ」
サスペンスならば「ハラハラ」
ホラー、スプラッタならば「恐怖」「驚き」
ドキュメンタリーならば「感動」

作品というものはあの手この手で心を揺さぶってくるものですが、
ミッドサマーという映画は人が根源に持つ不安感を増幅させてネットリとした気持ち悪さを感じさせる。
こういったエモーションの形もあるのかと学ばされました。

本当に「エグさ」「気持ち悪さ」にありとあらゆる趣向を凝らした傑作でした。
始めに書いたように好みではないのですが、これは好き嫌いを抜きにして高評価せざるを得ないと、
そう感じさせるほどのオーラを持った作品です。見てよかった。

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