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椎骨動脈解離に関する解説①

本日、テレビにて椎骨動脈解離の取材を受けたこともあり、詳しくまとめてみました。

病態

脳の動脈は心臓からの血液を脳に送る土管の役割をしています。しかし、ただの土管ではなく周囲は3層構造の膜になっています。この膜が突然損傷することにより、起こる病気を解離と呼びます。

血管を輪切りに切開した模式図を書いてみました。



一部が損傷すると、内弾性板という青いゴムバンドのようなものが損傷して、血流が内膜や中膜に入っていきます。すると、頭痛の症状とともに血管が拡張したり、あるいは狭窄したりすることがあります。


発症形態

以下の3つの発症形態があります。

出血発症(クモ膜下出血)
梗塞発症(ワレンベルグ症候群など)
頭痛発症

です。教科書的には出血発症が多いと言われていましたが、昨今はMRIの発達と解離を疑うDrの増加により頭痛発症で発見される事例が増えて来ました。出血発症はすぐに治療しないと命に関わりがありますので、カテーテル治療が主ですが、すぐに手術を行います。梗塞発症ですが、解離の際に血管が狭窄して流れが悪くなることにより生じます。この場合、抗血栓薬といたいわゆる血液サラサラの薬を投与するかどうかは、状況と担当Drの判断によりまちまちです。

今回は頭痛発症について更に考えてみたいと思います。解離は内膜の損傷の仕方で、狭窄を伴うタイプ

と、拡張を伴うタイプ

があります。実際は、この血管のように狭窄と拡張を伴うタイプも少なくありません。

頭痛発症ですので、この時点では経過観察で良いと思いますが、狭窄部が更に狭くなってきた場合は脳梗塞になるリスクもありますし、拡張部がさらに大きくなった場合は出血(クモ膜下出血)のリスクもあります。
まずは安静と血圧管理を行って、MRIで経過観察しながらどのように解離が変化をしていくかを観察して、必要時は治療(手術)を行うのが良いと思います。

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