見出し画像

区分所有者の理事会への立候補を拒否するマンション管理会社(2)

前回のコラムでは、マンションの理事会役員への立候補が管理会社に拒否された、神奈川県のマンション管理組合(Aさん)の事例を述べました。
この事例を通じて、管理規約の解釈や理事会の権限、管理会社の対応の問題点を論じました。
今回は、理事会への立候補を管理会社に拒否・妨害された場合に、立候補せず理事会役員になることができたBさん・Cさんの事例を話します。

※前回コラム「区分所有者の理事会への立候補を拒否するマンション管理会社(1)」はこちら


Bさんの事例(東京都のとあるマンション管理組合)

これは僕が経営するマンション管理会社(クローバーコミュニティ)へ相談があった事例です。当時の管理会社の対応に大きな不満を持っていて理事会役員へ立候補して改善を促そうとしましたが、前回コラムのAさんと同様に管理会社によるバイアスが入り、理事会から立候補が拒否されました。
ただ、Bさんが押しの強い男性だったことと、当時Bさんと同じ気持ちを持つ区分所有者が2名いたことがAさんと異なります。

そこで、Bさん一人ではなく3名全員が連名で、前回コラムで記したような手紙を理事会へ直接提出し、3名が当時の理事会役員のお宅へ一件ずつまわり熱心に説得して、理事会の立候補を承認させました。
Aさんのように「マンション内で課題意識を持つ区分所有者が自分一人」だと、一人の意見として潰されてしまう可能性が高くなりますが、3名で戦えば「ちょっとした勢力」となり、理事会も管理会社も無視できなくなります。数は力なりです。
そして「傲慢で自社の利益しか考えず区分所有者をミスリードする管理会社にNO!」と管理会社を変更してくれたのでした。

Cさんの事例(立候補を拒否されても輪番制を突破した強者)

その発想は僕にもなかった!

これは僕がマンション管理士(メルすみごこち事務所)として15年前に「管理会社を変更したい」と相談を受けた区分所有者(Cさん)の話です。
Cさんは当時の管理会社(こちらも業界大手)の対応や管理委託費の妥当性に疑問を持ち、自らが理事会役員として立ち上がり精査・改善したいと考え、管理会社を通じて理事会へ立候補したものの、前回コラムのAさんと同様に「理事会の選任ルールは輪番制だから」と拒否されました。

そのマンションは500戸を超える大規模マンションで、輪番制に大人しく従ってしまうと、Cさんに理事会役員の順番が回ってくるのは10年後。とても待っていられません。

そこでCさん、思い切った方法に出ます。なんと、自分より輪番が前の区分所有者10名を一軒ずつ訪問し、玄関先で、上述の経緯を説明し「管理会社のやり方はおかしい。自分が理事会役員になってマンションを良くしたい」と語りかけて、10名全員に「管理会社から『あなたが来期の理事会役員候補ですよ』と照会があったら辞退する」ことを依頼したのです。
仮にCさんが112号室の区分所有者で、来期の理事会役員候補が102号室の区分所有者だとして、102号室、103号室、104号室、、、111号室の区分所有者に「役員を辞退」してもらったのです。そしてめでたくCさんに「輪番が回ってきて」晴れて理事会に選任されました。
理事会に入れ知恵をしてCさんを排除しようとした管理会社の担当者はきっと青ざめたことでしょう。

管理会社によって都合の悪い「関心の高い区分所有者」を排除するのではなく、関心の高い区分所有者と一緒にマンションを良くしていく・自社の対応を改善していく気持ちで受け入れれば何の問題もなかったのに。
結局Cさんは僕を雇って管理会社の変更を実現しましたが、Cさんの知性と情熱と根性とに勉強させてもらったのをよく覚えています。


以上でこのコラムは終わり、、、あ、せっかくなので、次のコラムでは視点を180度変えて、管理組合の視点で「良からぬ区分所有者が理事長に立候補してきた場合にどうする?」について話しますね。

※中間マージンを取らない管理会社:クローバーコミュニティはこちら
なり手のいない理事長をプロにお任せ:メルすみごこち事務所はこちら 

いいなと思ったら応援しよう!