遺言代用信託とは、そのメリットと活用方法について
遺言代用信託とは?
遺言代用信託とは、遺言書を作成せずに指定した人に財産を引き継ぐことができる制度です。具体的には、被相続人(亡くなった人)が生前に信託銀行に財産を信託し、その信託銀行から指定した相続人に財産が払い出される仕組みです。信託財産は遺産分割協議の対象外となるため、遺言書を作成していなくても、指定した人に確実に財産を引き継ぐことができます。ただし、信託できる財産は現金に限られており、不動産や有価証券などの他の資産をそのまま信託することはできません。
遺言代用信託を活用することで、被相続人の意思に基づき財産の引き継ぎを行うことができますが、配偶者や子どもなどの相続人には遺留分の権利があるため、遺留分に配慮する必要があります。
遺言代用信託のメリット
遺言代用信託には、以下の4つの主要なメリットがあります。
1. 被相続人が亡くなっても現金が引き出せる
通常、被相続人が亡くなると、銀行口座は凍結され、預金などの引き出しができなくなります。しかし、遺言代用信託で預けられた信託銀行の口座では、被相続人が亡くなった直後でも、死亡診断書や除籍謄本を提示すれば現金の引き出しが可能です。これにより、相続手続きが進むまでの間に即座に現金が必要な場合にも対応できます。
2. 孫の代まで遺産分配を定めることができる
遺言代用信託では、孫の代まで遺産分配を定めることができます。通常、孫の代までの分配は、相続人(子ども)が遺言として孫に意思を残すことになりますが、遺言代用信託を利用することで、被相続人の意思を反映し、確実に孫の代までの遺産分配を定めることができます。これにより、長期的な家族の財産管理が可能になります。
3. 遺産の受取り方法を選ぶことができる
遺言代用信託では、受け取り方法を選ぶことが可能です。例えば、被相続人の死後にまとまったお金が必要であれば一括で支払いを受けることができます。また、長期にわたって生活資金として毎月少しずつ受け取ることも可能です。さらに、一部の金融機関では、契約者が生存中に医療費などを引き出し、残額を指定した人に引き継がせることができる商品もあります。この柔軟な受け取り方法により、相続人のニーズに応じた対応が可能です。
4. 元本が保証されており手数料が無料
多くの遺言代用信託では、元本が保証され、管理手数料がかからないことが一般的です。ただし、金融機関や信託商品によっては、手数料が発生する場合もあります。契約前に詳細を確認し、手数料が無料であるかどうかを確認することが重要です。
遺言代用信託と遺言信託の違い
遺言代用信託と遺言信託は似たような名前ですが、実際には異なるサービスです。
遺言代用信託: 遺言書を作成せずに、信託契約に基づいて財産の信託および払い出しが行われます。検認や遺産分割協議書の作成が不要で、スムーズに遺産が分配されます。
遺言信託: 遺言書の作成サポートからその保管、さらに被相続人の死後における遺言執行までを信託銀行が行うサービスです。遺言信託では、遺言書の内容に従って信託銀行が遺産の分配を執行します。
まとめ
遺言代用信託は、遺言書を作成せずに財産の引き継ぎを確実に行うための有用な制度です。現金の引き出しがスムーズで、遺産の分配方法や受け取り方法が選べること、元本保証がされていることなど、多くのメリットがあります。しかし、信託できる財産が現金に限られている点や、遺留分の配慮が必要な点には注意が必要です。
遺言代用信託について興味がある方は、ぜひご相談ください。詳細な説明や個別のケースに応じたアドバイスを提供いたします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?