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イギリス博士課程のアップグレード試験

今日は午前10時から12時までアップグレード試験を実施。結果は計画書の修正と再口頭試験となったが、修正が加わることで研究の質がより高くなると感じている。特に試験官からウェルビーイングについての日本での議論を追加するよう依頼される。これは私も加えたほうが良いと考え、半年前に指導教官たちに提案した内容だったが、指導教官の意見はウェルビーイングの議論はまだあいまいで競争が激しいから入れるべきではないという保守的な意見だった。指導教官との関係も悪化させたくはないので、アドバイスを素直に受け止めたのであった。

正直、いくら模擬試験を友人と行っても研究計画書を提出した時点で結果は決まっていたと感じる。また、どのような試験官かによっても結果は左右される。試験官は私がなぜこの研究を行おうとしたのかを時間をかけて聞いてくださった。そして私の興味がウェルビーイングに傾いていることを見抜く。そこで学生の興味に裏付けられた論文の独自性にここまでこだわらない試験官だったら、表面的なチェック事項、例えば、研究根拠から理論的枠組み、方法論までが一貫しているかどうかなどを確認して合格を出していたのかもしれない。

試験官二人のうち一人は、学部の発達教育研究センターの創設者で、もう一人は、私の用いた理論的枠組みの作成者本人だった。いくら模擬試験をしても結果は最初から決まっていたと言ったのは、専門的な意見、つまりコンセプトや構成にかかわる意見をいただくかもしれないし、それによって研究計画に変更が加えられるかもしれないという可能性を予感していたからだ。これは正直試験官となる教授の研究そのものに対するアプローチやイデオロギーが大きく影響するし、どうにもできない要因だと思う。

試験官 対 学生、さらには指導教官 対 学生の構図で、研究をどうとらえるかという哲学的な点の不一致で、アップグレード試験に合格できず博士課程を中断せざるを得ないかもしれない事例も聞いている。学生は研究経験値が低い。自分の研究に対する思いやかかわり方を守りながら試験官や指導教官の承認を得ながら、プロジェクトを進めていくことの困難さはここにあると感じる。

いろいろと感じることはあったが、ともかく、本当に学生に寄り添ったプロの意見をもらえた点で、結果は一度の試験で合格をいただけず、やや残念ではあったが、学生の研究に真摯に向き合ってくださった姿を見て、不思議と修正に対するモチベーションが湧いている。

先日同学部で博士課程を終えられた日本人女性と会う機会があり、今回の結果を報告した。予定していた博士課程3年ではなく4年になりそうだと言ったら、ネイティブでも3年で終えるのはかなり困難だと言う。頑張ろう。


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