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大切なことは、目には見えない*《スカイ・ステージ・トーク リクエストDX#72「壮一帆・水美舞斗」》
タカラヅカ・スカイ・ステージで、《スカイ・ステージ・トーク リクエストDX#72「壮一帆・水美舞斗」》を見た。
マイティーこと水美舞斗さんのトークリクエスト、壮一帆さんゲスト回を見ました。二人のことを見てきたから余計に増しまして感じ取ってしまうのかもですが、それにしても、こんなにも相手にまっすぐ向かっていくトークも珍しい。二人ともなんだもの(笑)。もう、わたし、ときどき目をそらしてました。
— 絹子 (@miyama_kinuco) June 7, 2019
あの(!)『外伝ベルサイユのばら』のアランが、マイティーにとってそんなに重要なはたらきをしていたなんて。作品の出来だけでは測れないんだとしみじみ。壮さんは言わなかったけど、あのときのマイティーとれいちゃんに、若き日の蘭寿とむと壮一帆の姿を重ねていた人は少なくなかったと思う。
— 絹子 (@miyama_kinuco) June 7, 2019
ばあちゃんみたいなことを言うと、マイティーの情の深さみたいなものを感じて、ああ、この子は大丈夫、と思いました。こんなひたむきさがあるんだもの。ファンの人は絶対しあわせにしてもらえるんじゃないかなあ。どんなことがあっても、きっと明るい道を歩いていくような気がする。
— 絹子 (@miyama_kinuco) June 7, 2019
Twitterにこんなふうに書いたのだけど、ハートのマークをつけてくれた方がたくさんいたので(自分比)、調子に乗ってもう少し。
マイティーなら仕方ない
水美舞斗さんをキライな人っていないんじゃないかと思う。
いわゆる「人好きする」タイプ。素直で屈託がなくほがらかで、心の扉がいつも開いている。ハッピーなオーラではち切れそう(笑)。何かをやらかしたり、言い過ぎたりするようなことがあっても、「マイティーなら仕方ない」と、誰もが納得してしまう。すばらしい才能です。
マイティーに対するわたしの立ち位置は、壮一帆さんと縁の深い下級生だからということもあって、かわいい孫を見るおばあちゃんといったところか。マイティーの魅力が、わたしをばーちゃんにさせるというのは言うまでもないでしょう。
番組の中で、壮さんの宝塚花組二番手時代に、マイティーが壮さんのお手伝いをしていた話が出た。なにしろ舞台裏のことなので、実際にどんなことをしているのかは私たちは知る由もないのだけど、「壮さん」「壮さん」と、無邪気に走っていくマイティーが容易に想像でき、それがまた、あまりに屈託なく可愛いものだから、嫉妬の感情すら起こさせないという(笑)。愛される人というのはこの世に確実にいる。
そんなマイティーが話してくれた、お手伝いをするなら「この人!」という決心に至るまでの経緯が面白かった。
お手伝いにつくのは一人の人だけということに、まずドキッとし、「この人」と決めるまでに、そんなにも深く悩んだりするものなのかとさらに驚いた。マイティーだから、そこまでこだわったのかもしれないけれど、ともあれ、マイティーにとっては一世一代の決意だったんだなあ。
「私はこの人のことが本当に好きなんだと思った」
そんな強い気持ちを、目の前にいる本人にきちんと伝えるマイティー。言われている壮さんも、その気持ちをまっすぐ受け止めている。組が分かれても、壮さんが退団しても、お互いのことをしっかり「見ている」ことにも打たれてしまう…。
そんな、めちゃくちゃに重く濃い関係性が、CS放送の特殊なチャンネルとはいえ、映像に映し出されているのだもの、さすがにちょっと動揺してしまった。二人を見守ってきたから余計に? だったりする? わからない(笑)。
熱い、重い、濃い
そんな壮さんとマイティーだもの、熱い、重い、濃いトークになるのも必然だった。なんせ、二人とも、まーっすぐに相手に向かっていきますからね。
放送の少し前に、壮さんのファンミーティングがあって、そこでもマイティーとのトークの話題が出ました。
壮さん曰く、マイティーが番組を回してくれるのかと思っていたけど、始まったら自分がしゃべっていた。でも、最後のほうには、マイティーがきちんと自分はこうなりたいということを語っていて、成長を感じて頼もしかったと。
壮さんの言う通りだった。
マイティーが「こうなりたい」とあげていたポイント――型にとらわれずに自由な芝居をしたいとか、歌でもっと表現できるようになりたいとか、悪役に挑戦したいとか――そんなことからも、ちゃんと自分が見えているのがわかった。うん、間違っていないと、ばあちゃんも思うよ。
そして、番組ではマイティーと壮さんの共通点を初めて見つけたような気もした。
壮さんとマイティー。特別似ているところがあるわけじゃない。ダンスのエキスパートであるマイティーが、なぜ、壮さんだったんだろうと思ったこともあった。
好きという感情に理由や理屈はいらないから、深く考えはしなかったけれど、二人の会話を聞いて、マイティーの中には、壮さんがたくさんいるのかもしれないと思った。マイティーが無意識になぞっていることもあるかもしれないけど、たとえそうであっても、きっと、もうそれもわからないくらい彼女の筋肉になっている。
そういえば、《Brilliant Dreams +NEXT#42「彩風咲奈」》でも、同じようなことを感じたんだった。
咲ちゃん(彩風咲奈)とだいもん(望海風斗)が「宝塚愛」を競ってガチ対決するという回で、大好きなスターさんのことを語ろうというコーナーがあった。咲ちゃんは「彩輝直愛」、だいもんは「大和悠河愛」を語り、ともに熱い思いをぶつけていた。
咲ちゃんと彩輝さん、だいもんと大和さんも、表面的な部分ではつながりを見つけにくくて、「恋って不思議」と、ゆるく理解していたんだけど、マイティーと壮さんの場合に似た現象かもしれない。やっぱり、咲ちゃんの中にはたくさんの彩輝さん、だいもんの中にはたくさんの大和さんがいたりするんだろうか。
もちろん、何かを学ぶのは一人の人からだけなわけはなく、いろんな人からいろんなことを学んだり受け取っていくものだとは思うけれど。遠隔ツボみたいに、え? そことここがつながってるの? というようなことがあって面白い。
そのとき、愛を見た
少し古い話になるけれど、壮さんの現役時代の最後のお茶会で、主な出演作の台本と愛用品を展示してくれたことがあった。
作品にちなんだアップリケなんかがついた手作りの台本カバーや、リサとガスパールがラインストーンで表現されたミンティアケースとか、愛情がはちきれそうな手作りのかわいい品々が並んでいた。
いちばん印象に残ったのが、『サンテグジュペリ』の台本カバーだ。全体が黄色のキルティング生地で、ページの左右をいっぱいに開くとキツネの姿になってるの。ちゃんとしっぽまでついて。壮さんが演じたキツネのイメージにぴったりだった。
その力作台本カバーの数々が、マイティーが手作りしてくれていた物だと壮さんから明かされたときの驚き。
心をこめて作ってくれたマイティーの気持ちと、それを大切にしていて、ファンの私たちにも見せてくれた壮さんの気持ちもうれしくて、いま思い出してもしあわせな感覚がよみがえってくる。「愛を見た」気がした空間だった。以来、マイティーを見るたび、あのかわいいキツネのカバーを思い出す。
「じゃ、さよなら」と、王子さまはいいました。
「さよなら」と、キツネがいいました。「さっきの秘密をいおうかね。なに、なんでもないことだよ。心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』 内藤 濯訳 より)
「大切なことは、目には見えない」
マイティーの中に、壮さんがいる。壮さんから受けとったものがある。目には見えなくても。
それは壮さんだって同じだと思う。いつも一生懸命なマイティーから、たさんのことを受け取り、学んでいたんじゃないかな。
懐かしいな。『サン=テグジュペリ』で壮さんが演じたキツネ、大好きだった。
私たちに大切なことを教えてくれたキツネの中には、マイティーがいたのかもしれないね。