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彩風咲奈さんが宝塚を退団

 彩風咲奈さんが宝塚を退団した。

 柚香光さん、月城かなとさんの時もそうだったけれど、あまり現実感がないのはどうしたことかと思っていたけど、彩風さんもだったのか。でも、彩風さんが見つけた理由――そもそも毎日が特別だった――っていうのが素晴らしすぎて、何か、思いもよらない贈り物をいただいたような気持ち。

 この言葉だけじゃない。彩風さんが最後に残していった言葉の一つ一つが珠玉のようだった。ここ数年は本っ当にいろいろなことがあったけれど、それらをすべて学びに変え(ようとし)てここまで来たんだなということがよく伝わってきた。
 「後悔や諦めきれなかったこと」もあったと、おだやかに話してくれた姿は、もうプリンスとか、リアル・フェルゼンとしかいえないというか、ちょっと神々しかった。思えばフェルゼンも、後悔とあきらめきれないことの多い役だった。フェルゼンだけじゃない、雪組の舞台では、実に多くの悩める人物たちが登場した。彩風さんが話していたように、役からも多くを学んできたのだなと思う。

 有栖妃華さんが大劇場の退団あいさつで、劇中に登場した「愛」という言葉の回数を数えて報告してくれたけど、咲ちゃん、この挨拶で何回「愛」って言った?

 この『ベルサイユのばら』でわたしが考えていたのも終始「愛」についてだったんだけど、図らずも、その最終回答をいただいたような言葉の数々だった。この話はいずれ。

 あんな役も観てみたかった。こんな場面もあった観たかった。なぜ『ベルばら』なの? と、彩風咲奈への夢がふくらみ過ぎて、現実が受け入れ難かった。でも、今日一日の舞台を観たいま、この心残りを大切にしようと思う。
 この言葉も心から言えます。

 卒業おめでとうございます。

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