君は薔薇より美しい/diminishコード
早速楽曲分析に入っていきたいと思います。年代別の分析をするために、とにかく数をこなしていけたらと思ってます。(スピード上げていくよ!)
記念すべき分析一曲目はこちら。
君は薔薇より美しい/布施明
1979年1月17日発売の布施明さんの名曲ですね。個人的にカラオケに行ったら必ず歌う曲でもあります🎤笑
今から10年近く前に作曲家岩崎太整氏とやっていた、オンラインの音楽理論番組【ベロベロ音楽理論】でも幾度となくベロベロで熱唱した記憶が…。
Wikipediaによると、
久しぶりに会った女性が美しく変わった様子と、それに対する自分の気持ちを歌った内容の曲である。
とのことです。ステキですね。
作詞は門谷憲二さん、作曲・編曲はミッキー吉野さん。
ミッキー吉野さんはゴダイゴのリーダーで鍵盤奏者。バークリー音楽大学卒業とのことで、私の大先輩でもあります(バークリー卒の著名人のことを誰でも彼でも先輩っていうんじゃないよ問題はひとまず置いておきます)
星野源さん、鈴木雅之さん、山崎育三郎さんなどさまざまなアーティストのみなさんにカバーされていますね。
そして分析する前に予め以下の準備をしておくといいものを紹介します。
①その曲のキーのダイアトニックコード
この曲の場合はAメジャーのダイアトニックコードになります。
②セカンダリードミナント
③そのⅡm-Ⅴ7分割
④モーダルインターチェンジ用の同主調のマイナーダイアトニック
以下こちらになります。
これで準備万端です!分析していきましょう!
まず印象的なイントロから。
ここではイキナリdiminished chord(以下、dim)が使われています。
ジャズのアドリブを勉強し始めた若者たちに見て見ぬふりをされるというディミニッシュコード…。ディミニッシュコードは短3度(全音+半音)の積み重ねのコードで、増4度が2つ含まれているので、単体で聴くととても不協和な響きがします。
しかし曲の中ではその不協和が安定しているコードに挟まれ、コード進行を滑らかにしてくるという、とてもいい仕事をしてくれます。以下の使われ方あります。
①パッシングディミニッシュとして
ターゲットのコードに対して半音で進行します。半音上から進行する下行形と、半音下から進行する上行形とあります。
こんな感じです。
上行形はドミナントセブンスコード□7(b9)の代理としても考えることができます(その話はまたの機会に)
どちらかというと上行形のdimが使われる楽曲が多いので、この君は薔薇より美しいは、下行形のdimが使われるという珍しいパターンかと思います。
② Auxiliary diminishとして
何度も書いてるのにレッスンでいつもスペルが書けない。これはターゲットのコードと同じルートをもつdimです。
このような感じで、そのキーのトニックだったらトニックディミニッシュとも呼ばれます。
コード1つしかないところに、dimを挟むとコード進行に独特な動きが出ます。私は上品に感じます。
個人的な見解では、これは映画音楽やミュージカル、ジングルなどによく使われている印象です。
ということで、なんと!この君は薔薇より美しいでは、
イントロの間に①と②のdimが両方とも使われています!!
とても粋なコード進行です。
他のイントロのコードはダイアトニックコードで、D/Eの部分は前後の流れと構成音で、E7sus4と解釈してます。
Aメロではイントロのコードがそのまま使われていて、その後ダイアトニックコードで展開されます。また最後の方に下行形のdimが使われてるのが分かるかと思います。
Bメロの始めの2小節はⅤ7→Ⅰのドミナントケーデンス。次の2小節はⅣ→Ⅰ,Ⅳ→Ⅴ→Ⅰのケーデンス。ベースが順次進行になってます。
Cメロでは今までほぼダイアトニックコードとdimでしか構成されていなかったコード進行に、C#7というⅥm7に進行するがセカンダリードミナントが登場します。
そして最後『変わったー!!』と盛り上がるところの前の小節が1拍分足されていてとても面白いです。
こんな感じになりました。この楽曲の特徴はなんといってもdimの使い方でしょう。パイセン、勉強になります。
【まとめ】
①分析するときにはあらかじめダイアトニックコード、セカンダリードミナント、Ⅱ-Ⅴ分割、モーダルインターチェンジなど、準備しておこう。
②ディミニッシュは半音で進行するパッシングディミニッシュ(上行、下行)とルートが変わらないオグジュアリーディミニッシュがあるよ!
最後に宣伝ですが、
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