ワインになる前の葡萄汁:トルボリーノ
10月はTorbolino(トルボリーノ)の季節。
ワインを買いに行ったら興味深いトルボリーノの話を聞いたので書き記しておく。
まず、トルボリーノとは発酵途中の葡萄汁。
アルコール度数は5%もあるかないか。
9月に収穫した葡萄を絞って発酵させ、ワインになる前の状態。
糖分が残っているので甘味があり、葡萄ジュースのようなアルコール飲料。
発酵途中なので生きた酵母が残っており保管が難しく、約1ヶ月の販売期間中でも発酵が進んで味が変わるとのこと。
この酵母が浮遊しているせいでトルボリーノは濁っている。
“torbido (トルビド)”、イタリア語で「濁っている」が語源。
主にイタリア北東部のフリウリ・ヴェネチア・ジュリア州からヴェネト州で飲まれるが、近年は見かける事が少なくなったとの事。
「昔はこの季節だったらみんながトルボリーノを飲んでいたのに、今は限られたワイン屋さんでしか見かけなくなった。ナッツを食べながらトルボリーノは飲むんだよ」と教えてもらった。
この話を聞いた時は別のワインを買ったのだが、翌日に落花生とクルミを買い、空のプラスチックボトルを持ってお店に向かった。
お店の人に「昨日のワイン、もう飲んだの?」と驚かれたが(2本も買っていたので)、「トルボリーノを買いに来た。ナッツも買ってある」と答えたら嬉しそうだった。
トルボリーノは量り売り、1リットルが2ユーロ20セント(約270円)。
保存は冷蔵庫で。
でないと発酵が進んで酸味がでて微炭酸になるから。
「室温で瓶で保存していると蓋を開けた時に吹き出す事もあるから気を付けてね」と指を差されたお店の天井には黄色っぽい染みが付いていた。