【ライザのアトリエ3】インタビューから読み取る新しい「アトリエ」の挑戦【プレイ感想】
0.【ライザのアトリエ3】本稿について
「ライザのアトリエ」シリーズ完結編としつつも
新規向けに展開された作品なのではないだろうか
本稿は【ライザのアトリエ3 〜終わりの錬金術士と秘密の鍵〜】
PS4版をトロフィーコンプリートまでクリアした感想となります。
本作に対する個人的な感想ですが、結論から言うと
作品としては面白いが新規要素と「アトリエ」のプレイ感が嚙み合わない
本作へのSteam評価は「非常に好評」の一方で他メディア等では「低評価」の意見も見受けられます。評価が割れている理由の一つとして
「ライザのアトリエ3」による新規顧客の取り込みが成功した
この2つの結論を執筆時期と掲載媒体が違う3つのインタビューや過去作との違いを交えて紐解くことで感想を展開します。
ライザのアトリエ3 「公式サイト」
ファミ通.com 「細井Pインタビュー」(2022.09.14)
AUTOMATON 「プロデューサーインタビュー」(2022.11.26)
IGN Japan 「開発者インタビュー」(2023.03.10)
1.【インタビュー】作品について
1-1. シリーズ内の立ち位置、テーマ
コーエーテクモゲームスより発売された「アトリエ」シリーズの一作
錬金術師ライザを主人公とした「秘密シリーズ」の完結編
「アトリエ」シリーズ25周年記念作品の1つ
作品キャッチコピーは『最後の夏、最後の秘密―――』
1-2. ストーリーとキャラクター
テーマは“夏”と“青春”
「鍵」と「錬金術の根源」をめぐる壮大な冒険
パーティメンバーは全11人、初登場となるキャラクターは3人
1-3. システムの特徴
「採取・探索」「調合」「バトル」のゲームサイクル
各要素に関わるさまざまな効果を秘めた「鍵」
広大なマップと「オープンフィールド」
2.【プレイ感想】テーマ
2-1. テーマ(★★★★★)
感想:十分なボリューム、作品コンセプトと合っている
・良い点
3作品完結編に相応しく1,2作品目で描ききれなかったキャラクター間の話や未来に向かうまでの過程、そこで生じたキャラクターの成長を扱っていた。表題でも強調されているように「終わり」「最後」をキーワードにしながらライザたちの旅で経た経験や結果はまさに物語の集大成だと感じた。
共通テーマとして「黄昏」や「不思議」などおよそ3作品毎にわけられるが
これまで多くの「アトリエ」シリーズでは作品毎に主人公が変わっている。
そのため大筋のストーリーに対するキャラクターたちの回答が弱かった。
この部分をマルチエンディング方式でキャラクター毎に終わりを迎えたり
次回作パーティキャラクターとして参戦させることで話を掘り下げていた。
「ライザのアトリエ」シリーズでは冒険の終わりというエンディングに対し各キャラクターがどのような回答を出すか、という作りになっている。
同一主人公による3部作としたことでテーマへの掘り下げが強みになった。
プレイした1ユーザとしてはそれぞれの道を歩み離れてしまうことの郷愁、新たな出会いや見知ったキャラクターと冒険することへの喜びを感じた。
3.【プレイ感想】ストーリーとキャラクター
3-1. メインクエスト(★★★★☆)
感想:丁寧ではあるものの表現方法がもったいない
・良い点
"カーク群島"の調査と「万象の大典」の意味、「鍵」と錬金術など
クーケン島を救うことから始まる壮大な冒険のストーリー。
新しいマップへの移行やキャラクターのパーティ加入が非常にスムーズで、
問題が発生する⇒現地で調査する⇒キャラクター加入のループが綺麗。
「錬金術の根源」をめぐるということでストーリー上にて新しい手掛かりを発見しそれにまつわる道具を調合することで話が進んでいく。
話の根幹は錬金術だが、ライザたちの世界に根付くのは加工技術や道具など人の手で扱える知識に収まっていた。錬金術は問題解決の選択肢のひとつと位置付けたことで錬金術の強みと弱みがあらわれていたように思う。
物を作ることに対する情熱や、技術力を漫然と享受する人々への啓蒙は
錬金術ファンタジーを主とした「アトリエ」としては新しい切り口だった。
・悪い点
一方で、ストーリーに対する錬金術への比重が軽い事が気になる点だった。
ライザは優れた錬金術師として「万象の大典」へと導かれた、とあるように
かつて師であったアンペルを凌ぐほどの技術を身に着けている。
そのためかストーリー上で難しい調合をすることは一度もない。システム的に用意されたキーアイテムに対しカテゴリの合う端材を混ぜるだけで調合ができてしまう。「鍵」についても必要な調合は一度きりだった。
要するにストーリーとシステムが全く交差していないように感じる。
例えば優秀な錬金術師の証として「賢者の石」の調合を課しても良かったのではないだろうか。導きに足る実力の証明に加えて「無垢の鍵」の調合でもレアリティUpの効果に素材利用できるため導線として最適だったと思う。
3-2. ワールドクエスト(★★★★★)
感想:ライザたちと相互に影響し合う世界観の深掘り
・良い点
各地方の文化や抱える問題を中心とした別の物語。クエストをクリアするとフィールドの景観やお店の品ぞろえなどが変化する。
メインクエストでライザたちが取った行動によりその後の世界がどのような影響を受けたかを掘り下げるストーリーとなっていた。メインクエスト内で描かれなかった問題に着目し、その地方で暮らす人々の悩みを解決した。
クエストクリア後は建物が増えるなど目に見えるレベルで変化が表れた。
ライザの冒険が終わっても世界が続いていくことを感じる良い表現だった。
3-3. キャラクタークエスト(★★★★☆)
感想:キャラクターの経験に伴う成長を感じた
・良い点
パーティキャラクターに関係するクエスト。地方を問わずマップ上の様々な場所で発生し、キャラクターの過去や旅に関連した話を聞くことができる。
キャラクターたちがライザと別れて行動していたときの経験や、旅を通して成長した姿を見ることができた。作中で描かれない部分でもキャラクターは様々な影響を受けており、思わぬ一面に驚かされることもあった。
これまでのマルチエンディング方式では主人公が軸となってキャラクターと話を展開する必要があったが「ライザのアトリエ」シリーズではライザとは別々の道を歩むことを肯定的に描いており、自立や成長を感じさせられた。
・悪い点
思い出深いエピソードが多いキャラクタークエストだが、性質上その内容をプレイヤーにも伝わるよう描写に注力してほしいとも感じた。
作中、クラウディアのクエストでは絵を描くイベントが発生する。そのまま進めていくと「タイムカプセル」イベントに連なり、クラウディアは自身が描いたみんなの似顔絵を未来に残すことにする。
このエピソードにおいてクラウディアの描いた絵について視覚的に表示されることはなく他の場面でも言及されることは無い。クエストクリア時の報酬として模様替えアイテム「立派な写真立て」が貰えるが、写真であるうえに「ライザのアトリエ1」のイラストが使用されている。この冒険で一緒にいたことを未来に残そうという趣旨にしては弱い表現だと感じた。
あるいは他の作品でクーケン島を訪れた際のイベントとして回収されるのだろうか、結局ライザたちだけの秘密となってしまい少し疎外感を覚えた。
4.【プレイ感想】システム
4-1. 採取・探索(★★★☆☆)
感想:挑戦的ではあるがややシステムとマッチしていない
・良い点
『ランドマーク』
各マップ上にて点在するポイントに到達することでその地域のマップ情報が開示される。ファストトラベル地点として利用でき、時間経過と共に溜まるランドマークパワーを消費することで「鍵」を生成することも可能。
いわゆるスクショ映えするようなポイントに設定されていることが多い。
マップ端までランドマークがあるうえ特に機能の制限がないため気兼ねなく何度でも利用できる。移動に関してはほぼランドマーク単位で行っていた。
新しいランドマークを訪れると固有会話やイベントが発生することもあり、ランドマークを目的地にすることでより探索が捗っていたと感じる。
・悪い点
『採取』
草や木からは植物や花など、岩からは鉱石や宝石などマップオブジェクトの違いにより採取内容が異なる。前作から引き続き道具やスキルにより採取ができるものが増えていくシステムになっている。
オープンフィールドということでマップの奥地や見つけにくい場所まで行くと珍しいものが見つかるかというとそうではない。特定のオブジェクトからしか取れない素材もあるが基本的には地方に依存していてマップ入口で採取しても品質や特性は変わることがなかった。
「エーテルコア」などの一部素材は敵からのドロップ、希少素材はゴールドコイン交換というように採取場所を探すというより手段が限られている。
「超特性」がついた素材の入手についてはほぼランダムクエスト頼りのためランドマーク付近にあるレア採取を周回することになる。
中盤以降は採取のためにマップの奥まで探索することはなかった。
『宝箱 / サプライポート』
本作における宝箱はマップ上の固定位置もしくはイベントで生成される宝箱「鍵」によって開けられるサプライポートの2つが存在する。
宝箱の中身については、基本的に特別なものはなく周囲で採取できる素材やコール程度の物。明けた数によって報酬が貰えるサブイベントが存在する。
サプライポートについては、マップ上のランダム位置に生成され使用した「鍵」のレアリティに伴い新レシピや素材が入手できる。
宝箱は探索場所に依らず満足する報酬が得られない。対してサプライポートは開けるためのレアな「鍵」を作ることができるのが4マップ目になる。
どちらもクリア後に全て回収したが道中で有用なものはなかった。
フォウレのメインストーリーにて「光の種」を回収するクエストでは宝箱を探す必要があるがアトリエの宝箱表示効果に引っ掛からないためマップ上の宝箱は基本的に無視して進めても構わないと感じた。
『霊獣』
ライザ2では存在が薄かった「霊獣」の要素を強化し新たな役割をもたせた
探索アイテム「風の精の靴」の代わりに地上や水中の移動速度を向上させ、滝を登ったり岩を壊すなど探索範囲を広げるのに一役買った。
この「霊獣」だが騎乗中は採取道具が使えず素手採取のみに限られる。
また「調べる」判定がライザの眼前にしか現れないため宝箱を開ける際に「霊獣」の頭身が引っ掛かり僅かな段差もジャンプしないと超えられない。
強化をすれば移動は快適なものの呼び出す際に数秒の待ち時間が存在する。
広大なフィールドに対してゲーム序盤で解放される要素だが使い勝手が悪く
景色を眺めて冒険したり道具を切り替えながら採取するなら生身で良い。
結局、探索や寄り道をせずに目的地まで高速で移動していたように思う。
『キャンプ』
マップ上の固定位置に設けられている焚火にて「休憩」と「料理」が可能。
「休憩」は指定の時間帯まで休むことで体力を回復する。「料理」はレシピ一覧から選択した料理の効果を10分間付与することができる。
休憩をすることでキャラクター同士の会話やイベント発生などは無かった。
料理についても手持ちの素材を消費するでもなくただのボーナスバフ扱い。
そもそも焚火の場所が限定的なうえファストトラベルがあるため道中で休む必要が無い。レシピはサブイベントで解放されるが対応NPCが分かり難い。
4-2. 調合(★★★★★)
感想:簡素化されつつもカスタマイズ性が高い
・良い点
採取した素材を調合し、様々なアイテムを作成する。攻撃・回復アイテムや探索道具・装備品を揃えることで遊びの幅が広がる「アトリエ」の代名詞。
中和剤の調合に中和剤自体を利用できるようになってから高品質・強特性の調合が楽にできるようになった。またアイテムとしては利用できないが調合に役立つ多くの属性や効果をもつ調合中間素材が充実している。
以前までの「アトリエ」シリーズでは素材採取の時点で品質や特性が良い物を厳選する傾向が強かった。「ライザのアトリエ」シリーズでは調合品から次の調合へ繋がるようなリンケージシステムへと変更されており「調合」が上手なほど「調合」が楽になるという面白い仕様だと感じた。
「鍵」の登場により簡単に汎用性のある調合品を作成することができた。
元のアイテムに対し火・氷・雷・風属性の追加や属性値の上昇など今までの調合ではできないような効果を発揮することも可能。難しい調合品にはそれに見合うリターンがあるのだが「鍵」によりバランスが崩れたと感じる。
賢者の石と比較すると汎用性ではクリスタルエレメントがやや勝る。効果を高めて作りこんでも良いのだがややオーバースペックになってしまう。
全体的に調合の難易度が下がったこともありどうしても「鍵」を利用しないと調合が完成しないというシチュエーションは無かった。アイテムリビルドによる誤魔化しが効くことも加味すると事前に「鍵」を厳選して最大効果の調合品を作るのは最終盤かクリア後になるバランスだと感じた。
『リンクコール』
調合中に「リンクコール」で別の材料を投入すると元の調合レシピを上書きし全く別の効果に変化させることができる。
チュートリアルで氷属性ダメージのフラムを作成し、これまでの概念を打ち壊した全く新しい試み。投入回数を消費しマテリアル環の属性が変化するといったデメリットを差し引いても調合のやり込み要素として面白かった。
元ある長所をさらに伸ばしたり不要な効果の変更ができる「リンクコール」だが、装備作成時のロール効果書き換えに大きく役立った。
上位ロールは「鍵」の装備効果でしか発現せず、シンセサイズ効果があれば他のロール効果を無視して該当のロールに割り当てられる。したがって武器や防具のロール効果は不要になってしまう。「リンクコール」を用いることでスキルやパラメータアップ効果に置換し無駄なく運用することができた。
システムの嚙み合わせの悪さを「調合」の自由度を上げることで解消し、
プレイ感を損なわずに遊びの幅を広げることができた良い要素だと感じた。
・悪い点
気になる点として特性の種類が極端に少なくなっていることが挙げられる。
超特性を含めた調整という認識ではあるが、アイテムや装備に付与する際の選択肢として有用なのが3、4種ほどに絞られる。++特性の最大効果が強くそれ以外の特性が下位互換となっている。
装備強化やリンクコールでの効果付与が増えたことで、最大の特徴であった「調合」システム自体が薄味になってしまっているようにも感じる。
DLCで新特性が追加されるようなのでそちらに期待。
4-3. バトル(★★☆☆☆)
感想:バランス調整不足に加えて「鍵」が噛み合わない
・良い点
パーティ最大5人と魔物が入り乱れるスピード感のあるバトル。時間の経過で行動タイミングが決定され、ポイント消費により行動回数が増減する。
戦略性が高いコマンドバトルと比較して画面内の動きが激しくアクションに近いシステム。アクションと消費を往復することで出来ることが増える。
戦闘中の基本的な流れは以下の通り。
通常攻撃、ガードでAPを溜める
シフトスキル、アクションオーダーでタクティクスレベルを上げる
APを消費してスキル、CCを消費してアイテムを使用する
オーダードライブ、フェイタルドライブでダメージを与える
操作キャラクターと攻撃対象が1対1になるようなカメラワークになっているため派手な演出が画面いっぱいに広がり見ごたえがある。パーティメンバーの多さに加え固有スキルによる個性があるためスタイルの選択幅も広い。
・悪い点
悪い点として爽快感に繋がるまでの初動やテンポの悪さが挙げられる。
タクティクスレベルが上がると通常攻撃の回数やAP上限が増加するのだが、戦闘開始後しばらくはアクションオーダーの消化作業となる。
コアアイテム「時空の天文時計」によりタクティクスレベルを上げることも可能だが、素材の関係で作成可能な時期は4マップ目あたりとなる。
コアクリスタル調整にて戦闘開始時の初期CCを増やし強力なアイテムを使いまわすか、パーティの全装備を見直し特性を付け直すことを強いられる。
この初動の遅さを解決する手段として「キーチェンジ」が用意されており、バースト効果の付いた「鍵」を使用することで一時的に行動が強化される。
しかし「バトル」においても「鍵」の噛み合わなさが目立ってしまう。
通常攻撃の連撃数が無限になりAPの最大値が99になるのだが、時限強化かつタクティクスレベルを1消費する。タクティクスレベルを上げる準備をするためにタクティクスレベルを下げるという無駄な工程が挟まっている。
またオーダースキル発動のために連撃の手を止めスキルカットインが終わるまで操作待機をするといった具合で爽快感とは程遠い。
そして開発側の想定としてタクティクスレベルが上がった戦闘や連撃による爽快感を楽しんでほしいという思いがあるのだろう。フィールド上の魔物はライザたちのレベルに応じて強化される仕組みとなっている。また別の魔物と連戦になることも非常に多く一回の戦闘にかかる時間が非常に長い。
これらを打破するべくレベル上げや装備の調合に注力すると、シナリオ上のボスのレベルが固定なことも相まって盛り上がりに欠ける結果となる。
種類についても色や大きさを変えバリエーションを用意しているだけで魔物毎に大きな変化があるわけではない。そのためかストーリー上では竜にまつわる話が多いにも関わらず魔物として巨大な竜が出現することは少ない。
最終戦ではバトルの作業感に加えて強制イベントによるバトル状態リセットが挟まるため感動よりも徒労感のほうが強かった。
4-4. 鍵(★☆☆☆☆)
感想:一番の特徴でありながら大きな問題点
・悪い点
「採取・探索」「調合」「バトル」の全てにおいて関係しており、「鍵」を使用することで様々な恩恵を受けることができる。
「鍵」の生成自体は非常に容易だが、高レアリティの鍵や狙った効果を厳選するには「調合」からアダマントなどの特定の素材を用いる必要がある。
特定の効果は特定レアリティにしか付与されず場合によっては中レアリティの「鍵」が生成されるよう調整する必要があった。作品のコンセプトとしては適宜マップ上で「鍵」を生成することを狙いとしているようだが「調合」難易度の低下やアイテム収集の都合で利用する機会は少ない。
ストーリーにおいてはマップの先々で「鍵」に新たな力が付与されていくが「アトリエ」として「調合」に落とし込まなかったのは理解に苦しむ。
また「鍵」の効果は生成時にランダムで付与される。ある程度調整は効くが狙ったモチーフ・効果を発現させるのにそれなりの試行回数が必要となる。
「調合」で利用する「鍵」の素体を調合し「ランドマーク」や「バトル」で実際に効果がついた「鍵」を生成するという二重の準備が必要になる。
つまり各システムに作用させる「鍵」が動き始めの足枷となっている。
本作自体がプレイ難易度がそこまで高くはないことも相まって、やり込みを目指さない限りは「鍵」を利用することが億劫になってしまう。
メリットとしては魅力的だがその環境を用意するためのアクセスが悪い。
他には「鍵」生成時の画面明滅が非常に激しいこともあり、何度も往復していると目が痛くなってしまった。さすがに調整が甘いと言わざるを得ない。
5.【ライザのアトリエ3】評価について
5-1. 評価が別れた理由
初めに述べたように、本作については新規要素の評価から
作品としては面白いが新規要素と「アトリエ」のプレイ感が嚙み合わない
という感想を抱いた。
低評価のレビューについては、シリーズ過去作との比較や新規要素に対するネガティブな印象が大半を占めていた。
対して高評価のレビューでは、シナリオやキャラクター面での扱いと描写の内容の丁寧さにポジティブな評価を受けていた。
これらの評価についておおむね同意しているが、実際の評価点数については
「アトリエ」を知っている層と知らない層での乖離があると考えている。
つまりもう一つの評価理由でもある
「ライザのアトリエ3」による新規顧客の取り込みが成功した
のではないだろうか。
5-2. プロモーション
SNS上では「アトリエ」を知らない層の高評価割合を多く感じた。
・ライザのアトリエ1,2をプレイしたことは無いが3を購入した
・YouTubeなど動画でおすすめされているから気になった
というようにメディアや口コミから新規参入していることが分かる。
また「ライザのアトリエ1」発表当時からキャラクターデザインの特徴より「ライザリン・シュタウト」自体が先行して有名になった点も考えられる。
特に「アズールレーン」とのコラボイベントでは大きく認知度を伸ばした。
公式では楽曲タイアップやコスプレイヤーの公認起用によるゲームイベントの出展をはじめとした様々な方面にプロモーションを行っていた。
また「ライザのアトリエ」のアニメ化も決定している。
このことから「ライザのアトリエ3」は歴代の「アトリエ」シリーズで最もプロモーションに注力し、新規ユーザーの獲得に成功した作品といえる。
5-3. ターゲット
プロデューサーや開発者が意図した「ライザのアトリエ3」に対する答えが以下のインタビュー記事にあらわれている。
日本のサブカルチャーが海外でも受け入れられる一方で作品を展開する際はより広い視点で進める必要を感じさせられる内容だった。
シリーズユーザー・新規ユーザー・海外展開の全てを楽しませるのは容易ではなく軸足として日本での知名度を伸ばす方向に舵を切ったのだと感じた。
6.【アトリエ】25周年記念作品について
2022年5月に25周年を迎えた「アトリエ」シリーズ。「25周年記念作品」として【ライザのアトリエ3】を含めた3作品が展開されている。
他の「アトリエ」シリーズにも興味があるのならば、自身の手でプレイして調合の更なる難しさと楽しさ、ファンタジーな世界観で広がる優しい物語を体験してみてほしい。
【ソフィーのアトリエ2 〜不思議な夢の錬金術士〜】
「不思議」の特徴を受け継ぎつつ正当進化を続けた「アトリエ」
【マリーのアトリエ Remake ~ザールブルグの錬金術士~】
時間制限によるシミュレーション色の強い「アトリエ」の原点
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?