《ひと》みやっこベーススタッフ 成田 邦敏
インタビュアーの中村です。
今回は2023年5月にみやっこベースに入社された成田邦敏(なりた くにとし)さんに、みやっこベースへの思い、学生たちへの思い、そしてこれからについてお聞きしました。(取材は12月に行いました)
現在担当しているお仕事について
ーーーみやっこベースに入ってどのくらい経ちますか?
2023年の5月に入ったので、半年経ったくらいです。
私の出身は宮古ではなくて、秋田なんです。前の仕事の転勤で宮古に来たのが平成10年12月で、そこから早いもので25年経ちました。
転勤で宮古に来たときは、郵便局で働いていました。 郵便局自体は23年ほど勤めてから辞め、みやっこベースに来る直前は宮古市民文化会館で仕事をしていました。私自身は来年の春に秋田に帰ることになっており、最後の1年、お世話になった宮古に恩返ししたいなっていう思いで5月にみやっこベースに入りました。
ーーー現在、主に担当されているお仕事はなんですか?
10月まではみやっこタウンの事務局長として、参加企業・団体や関係機関との調整、参加児童の受付、資料の作成や実行委員会の開催などの業務をしていました。
みやっこタウンが終了した今現在は、今年度から新たに始めた自然体験活動の「みやっこネイチャークラブ」に携わっています。7月から月1回開催していますが、内容の企画や関係企業さんとの調整、開催当日はスタッフとして安全面の確認をしながらイベントに参加しています。
また、みやっこハウスで訪問してきた方の対応を行っています。ちょうど昨日も来てくれた小学生たちと一緒になって遊びました。
みやっこタウンの記事はこちら☟
ーーーイベントやみやっこハウスで小学生と関わってみて、率直にどうですか?
自分も小学生の頃は、新しい遊びやルールを自分で考えて作っていたと思いますが、 大人になると、知らず知らずのうちに既にあるものや与えられたもので遊ぶようになっていたことに気付かされました。子どもたちは本当に自由で、想像力があります。そういう頃を思い出させてくれるし、逆に教えてもらっています。
今の学生たちに、進路の選択肢を増やしてあげたい
ーーーお話を聞いているだけで楽しそうな雰囲気が伝わってきますが、仕事をしていてどんなときに楽しいと感じますか?
小学生と関わるのも楽しいですが、高校生たちの進路選択の役に立つ企画をすることも楽しいです。
自分が高校生の頃は、進路について悩んでいても誰にも相談できなくて、限られた将来像しか持てていませんでした。「あの時、もっとたくさんの選択肢を知っていれば、進んだ道は違ったかもしれない」と学生時代を思い出して、自分自身そんな風に感じています。「あの時」感じた将来選択の悩みを、きっと今の学生たちも持っているはずです。将来の選択肢が見えないまま、高校1年生の後半には文系・理系の選択、そしてその後には進学先や就職先を決めなければならない人がたくさんいると思います。私は村上龍さんの「13歳のハローワーク」という本が学生の頃に欲しかったと思うし、その仕事に就くまでの話を大人から直接聞いてみたかったと思います。この自分の後悔を踏まえて、今の学生たちにどうしたら進路の選択肢を増やしてあげられるかを考えて企画しているときが楽しいです。
宮古市にもどんな仕事があるのか、という学びや体験を自分のこととして捉えて考えてもらいたいと思って企画をしています。
ーーー今、この仕事もしてみたかったな、と思う職業はありますか?
職人になりたかったです。祖父は手先が器用でいろいろと作れる人で、近所の人からも頼られる人でした。遊び道具のソリや竹馬も作ってくれて、近所の子どもたちは祖父が作ったおもちゃ目当てで家に来て遊んでいました。祖父のように、手に職をつけるようなことをやりたかったなっていう思いはあります。
ーーー成田さんは春には秋田に戻られるということですが、それまでどんなことをしていこう、という展望はありますか?
スタッフを含め、みやっこベースが地域のみなさんや遊びに来る子どもたちに受け入れてもらえること、そしてそれをどんどん外に発信していきたいと思っています。とても素敵な場所だし、とても素敵な事業をやってる法人なので、ずっと継続してほしいです。みやっこタウンは小学生が対象ですが、中学生、高校生、大学生、新社会人と人生のステージは違えど成長はずっと繋がっていくので、その時々でみなさんと関わっていけるような提案をしていきたいと思っています。
ーーー「子どもたちの未来のために」という強い思いが伝わってきます。
やはり、自分が学生の頃に将来について考える機会が少なかったという後悔があって、私と同じように選択肢が少なくて進路に悩む学生を減らしたいという思いが根本にあります。未来について考える機会がないことで進路を狭めてしまうのは本当にもったいないと思うので、もっといろいろな世界があるんだということを伝えていきたいです。
4年越しで実現できたみやっこネイチャークラブ
ーーーみやっこベースで働こうと思ったきっかけは?
現理事長の早川さんとは震災のときに災害ボランティアで知り合って、その後みやっこベースでいろいろな取り組みをしていることは知っていました。2018年にはみやっこタウンの郵便局ブースとして参加し、2019年には何故か実行委員として関わっていました。前の仕事を辞めるときに早川さんが人手が足りないという話をしていたので、面白かったみやっこタウンにまた携わりたいと思い、みやっこベースで働くことを決めました。
今年度から始まったみやっこネイチャークラブも、実は2019年から構想があったんです。みやっこタウンは会場を借りて行うので、自然関係の第一次産業はなかなか体験してもらえないという課題がありました。そこで、別のイベントを企画して第一次産業や自然に関する体験ができないかと早川さんとずっと話をしていました。コロナの流行により、なかなか形にできませんでしたが、今年私がみやっこベースに入り、やっと実現することができました。
宮古には「森・川・海」というフレーズがあるくらい自然豊富ですが、それを体験できている子どもたちは少ないと思います。10月のみやっこネイチャークラブでは魹ヶ崎に行きましたが、「魹ヶ崎」というワードは知っていても、実際に行ったことがある人は大人でも少ないのではと思います。写真だけでなく、実際に行って学んだり体験し、あのパノラマ風景をこの目で見るという経験から「宮古って素敵なところがあるんだな」と感じてもらって、就職や進学で宮古を離れても「やっぱり宮古はすごいところだったんだな」と思ってもらいたいです。
みやっこネイチャークラブの記事はこちら☟
ーーー結構前から子どもたちと関わって活動されていたんですね。
地方に住んでいるというだけで、いろいろな体験をする機会が少なくなってしまうという「機会の格差」がどうしても出てしまいます。これをどれだけ解消していけるのか、そのためにどんな取り組みができるのかを考えています。そして進路選択で悩んでしまう子どもたちが少なくなって欲しいと願っています。
暇な時間がもったいない!
ーーー成田さんは、お休みの日は何をしていますか?
うみどり公園でバスケのシュート練習をしたり、釣りに行ったり。あとは旧赤前小学校の利活用検討委員会に参加しているので、利活用に関する調査をしたり必要な書類を作ったりしています。休みの日でも何かはしているので、何もしないという日はないですね。予定が入っている方が好きなので、丸一日家にいるということはまずありません。
ーーーこれから挑戦したいことはなんですか?
ありすぎて困っています(笑)今後の人生で、どれだけ自分がワクワクできるものがあるか探していきたいと思っているんです。先日高校生がDJをやってみたいという話をしていて、私もやったことがないので挑戦したいと思いました。本当にやりたいことがたくさんあるので、リストにして管理しないとな、とは思っていますが、次に挑戦するとしたらDJですね。
ーーー多趣味なのですね。
趣味は本当にたくさんあるんですけど、今できていないのはギターですね。みやっこハウスにもギターを持ってきて置いているのですが、コロナ前はバンド仲間で集まってライブ活動も行っていたんです。秋田に帰る前にまたライブができたらいいなと思っています。
無理はせず、でも全力で生きていく。
ーーー座右の銘はなんですか?
いつも心に留めている言葉は「やれるときに、やれることを、やれるだけ」です。今を全力で生きるという意味もありますが、無理をしないという意味でも使っています。災害ボランティアをやっていたときに「あれもこれもやらなきゃ」という思いがあっても、そこで無理をすると、継続させることができないと思いました。やれるときにやれることをやっていれば後悔しないだろうと思うので、この言葉を大切にしています。この信念の元で、これからもやっていくと思います。家族には「また何かを初めて忙しくするんでしょう?」と呆れられている部分もありますが、秋田に戻ってからも休みの日は家にいないと思います(笑)。
ーーー秋田に戻られたら、何をするか決まっているのですか?
仕事としては、林業をやりたいと思っていて、11月には秋田で開催された林業のインターンシップ研修に参加しました。デスクワークよりも体を動かしたいし、自然相手の仕事をしてみたいと思っているので、林業に挑戦する予定です。そして林業をしながら、町の発展のために何かしら動いていると思います。
秋田の林業事業体にも町の活性化に取り組んでいる企業があって、こういう企業に所属して一緒に盛り上げられたらいいなと思っています。仕事って、そのやることをこなすだけではなくて、町とどれだけ関わっていけるかが大事だと思うんです。郵便局で仕事をしていた時ですが、郵便局でも毎年秋祭りの手踊りに出ていたのですが、それが一時期途絶えてしまったときがありました。でもこの仕事をするにあたり、地域との関わりは大事だという思いから、手踊りを復活させました。復活させるのはかなり大変でしたが、地域や町と関わるのが楽しいので、町の活性化に繋がる活動については何かしら今後も続けていくと思います。
自分が住んでいるところを「住みにくい町だ」と言う人もいますが、私は自分の力で少しでも面白くしたいと思います。文句はいつでも言えますが、まずやってみようという感じですね。災害ボランティアをしていた頃も「地域を盛り上げることなんて、他所から来ている人に任せたらいいじゃないか」などと言われたこともありましたが、やっぱり自分たちで動いていかないと面白い町はできないと思うんですよね。
私も早川さんも宮古出身ではないので、宮古に来たときはいろいろなところに足を運んだり、地域の話を聞いてみたりしましたが、宮古生まれ宮古育ちの人たちは意外と地元を知ろうとしていない気がしました。面白いところも楽しいところもいっぱいあるのに、それを知らないで「遊ぶところがない」と言っているのがもったいないと思いました。私は宮古出身じゃないからこそ、ここまで取り組むことができていたとは思います。
ーーー最後に一言お願いします。
秋田に帰っても町づくりに関わっていきたいと思います。それまでは、宮古がこれからも良くなるように、そしてみやっこベースがこれからも良くなるように、最後までしっかり頑張っていきます!
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